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(~22/08/14)特許法73条 特許権共有者が許諾した通常実施権は、特許権共有者が持分放棄したらどうなるか?

この記事は、修正前の記事です。修正後の記事はこちらです。

 弁理士試験中に考えたことですが、少し前に聞かれたので整理しておきます。

(聞かれた内容)
 共有に係る特許権の共有者は、他の共有者の同意を得れば、その特許権について他人に通常実施権を許諾することができます(特許法73条3項)。この通常実施権は、許諾した共有者が、持分放棄したらどうかるか?
 
 具体例を使って説明します。

(具体例)
特許権Aを、甲と乙とが共有している。
甲が乙の同意を得て丙に通常実施権を許諾した(特許法73条3項)。
その後、甲が自己の特許権Aの持分を放棄すると、丙は通常実施権を有していることを乙に主張できるか?

(判断)
 結論:主張できる。

 甲が丙に対して許諾したのは、特許権A(特許権A全体)に対する通常実施権である。また、甲の持分放棄により、甲の持ち分は乙に帰属する(民法255条)。このため、丙は通常実施権を有していることを乙に主張「できる」。
 仮に丙の通常実施権が甲の持分だけに対するものであり、甲の持分放棄により甲の持分が消滅するのであれば、その持分消滅に伴って丙の通常実施権も消滅すると考えることができる。しかし、甲の持分放棄により、甲の持ち分は乙に帰属する(民法255条)ので、そのようなことは起こらない。


・民法255条

(持分の放棄及び共有者の死亡)
第二百五十五条 共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。

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