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商標法 判例 BOSS事件 昭和61(ワ)7518号

 この判例では、登録商標を付した物品を配布しても、その行為が「商標の使用」に当たらない場合は、商標権侵害にはならない、ということが示されました。

 商標というのは、商品に付される識別標識です。そして、商品には、「商品の包装」や「商品に関する広告」は含まれません。そうすると、ある物品が、「商品」か、「商品の包装」か、「商品に関する広告」か、を判断する基準が必要になります。

(例えば、段ボール箱であっても、古紙としての価値はあるので、段ボール箱は取引の対象になりうる)

 この判例では、商品か否かを判断する基準として、その物品自体が、交換価値を有し、独立して商取引の目的物とされているか否かによって判定する、という基準が示されました。

 したがって、被服を指定商品とする登録商標「BOSS」(第695865号)がある場合でも、楽器の製造販売会社が楽器の購入者に「BOSS」のロゴを付したTシャツを無料配布しても、商標権侵害にはなりません。
この場合は、商品「楽器」について商標「BOSS」の使用になりますが、商品「被服」についての商標「BOSS」の使用にはならないからです。

 なお、実務上は無用な争いを避けるべきなので、ノベルティ制作/配布前に、ノベルティの周囲に他人の商標権が存在しないことを確認すべきです。


・判決文など
 昭和61(ワ)7518号  商標権 民事訴訟
 昭和62年08月26日 大阪地方裁判所
 判決文全文:http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/C79CC817F5A3244449256A76002F8AEE.pdf

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