私の名前が「さてぃ」になった日。(saki_02)
5歳くらいの頃,
ねえねえ,「こま」って言ってみ! いとこに言われ
「こま!」 と言ったら
ね!「とま」って言ったやろ?? といとこが友達に言っていた。
私が覚えている発音の誤りの記憶で,一番古い思い出だ。
他者からの指摘や反応で,
自分が話す「かきくけこ」と「がぎぐげご」が
「たてぃとぅてと」と「だでぃどぅでど」になることを
幼いながらも知っていた。「木琴」は「もっちん」となり,保育園の先生に「かわいい〜〜」と言われていた。けど,どうすればいいのかわからなかった。
小学校に上がった頃には,か行とが行を避けて話そうと意識していた。
例えば小学校1年生の時。
参観日の算数の授業で,「10までの数は何があるかな?」というテーマ(というほどでもあるか?)で,みんなが手を勢いよく挙げて「1!」「8!」とかひとつずつ発表していた。私も手を「はいはーい!」と挙げ続け,ようやく当てられた。
が,ここで残った数字が「5」と「7」だけだということに気づく。
(「5」は「ど」になるから・・・えーっと・・・)
「なな!!!!」
「5」を回避できた喜びで,声も必要以上にでかくなる。周りからも笑いが起こった。
またある時は,
お母さんの旧姓って何? と聞かれ
「なかぐち」と答えたつもりなのに,相手には「え?なた・・?」と聞き返され
あ〜〜忘れちゃった〜〜〜なんだっけ。
と回避したこともあった。うん,いろいろな思い出がある。そんな複雑な思い出たちの中でも際立っていたのが「サティ事件」。
あれは,中学校2年生。体育祭の応援団になって,各学年の応援団が初めて顔合わせをした時だった。(発音はおいといて,声がでかいのは取り柄だった)
先輩たちに「名前は?」と尋ねられ,「さきです!」と答えたら,
きゃーーーっ!!かわいい!!!!
と予想だにしないリアクションが返ってきた。
(え,「さき」ってそんなに可愛い名前??!!)
(名前の由来は「美容室 さき」からとったって,おかん言ってたぞ。その辺からとった名前だぞ(親に失礼。笑))
なんでこんなにかわいいと言われるのか分からなかったが,褒められるのはいい気分だし「えへへ」とはにかんだ。
程なくして,先輩たちが私のことを
サティ〜〜♪ と呼び始めた。
私は可愛いあだ名をつけてもらったな,と喜んだ。(いや,気付けよ)
そんなこんなですっかり私の呼び名が「サティ」で定着してきた,ある日。先輩たちが私にこう尋ねてきた。
「ねえ,サティって名前の漢字,どう書くの〜??」
私は,「普通の漢字ですよ〜」と言いながら,黒板に
早紀
と書いた。(だめだ,思い出した今でも笑える)
瞬間,先輩たちが
「え??え??さき??さき??サティじゃなくて??????」
その反応で私は全てを悟った。(おせーーーーーーよ!!笑)
「サティじゃなくて,さき(多分実際は,さてぃって発音になってただろうけど)です!」と私。
「え,サティじゃなくて,さきなのね????」と先輩。
激しく頷く私。
自分の名前に「か行」が入っている時点でほぼ詰んだようなもんだけど,まさかとうとう自分の名前が伝わらない日が来るとは。ははは。
しかし,当の本人はそんなに気にしてなかった。いや,気にはしてたけど深く病むほどでもなかった。周りからからかわれたりすることはあったけど,「も〜〜違うし〜〜」と私もふざけて返していた。どうしても伝わらない時は,言い換えたりして自分なりに工夫していた。
で,この発音の誤りは,聴覚障害由来なのかそれとも機能性構音障害なのかはわからないけど(おそらく機能性だろうけど),一応,言語訓練をして直しました。20代半ばの時。
この辺りはまた別に詳しく書きます!
まさかの難聴ではなく,ことばに焦点を当てた記事でした。ご参考まで。。。
あとがき
小学校の同級生に10年以上ぶりに再会した時,
そういえばお前,「かきくけこ」ちゃんと言えんかったがね〜〜
と言われた。まだ覚えてんのかよ。笑