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他者依存と自己肯定感

 自己に尊厳や自己肯定感を持つにはどうすればよいのか。自分をなぜ愛せないのか。それは自分の価値を他者から求める”他者依存”が強く関係してくると思う。私たちは常に周りの目や他人を気にして生きている。それはなぜなら、私たちは自分自身の価値を、他者の評価や他者との比較から得てきた過去があり、他者から承認されたり、他者と比較し優位であることが自分の価値に等しいからだ。逆に言えば、他者から評価されなくなったり、他者と比較して劣等感をもつ個人は自らになんら価値を感じなくなってしまう。自分の価値を感じられないのはとてつもない大問題だ。だから自分の価値を失う可能性のある行動や、他者に嫌われる可能性がある行動にとてつもない不安と恐怖を感じ、他者の成功や幸せに嫉妬心を抱く。そしてこうした不安定で不確かな構造から得られる尊厳や自己肯定感はあまりに脆く危うい。それでも不安や恐怖の奴隷となり今もこうしてびくびくしながら生きている悪循環。あー、自らをたたいたら、空洞に音が反響しそうだ。中身がないのだ。

 どうすればよいか。無条件に自分自身に価値を感じられなければならない。そしてその出発点は自分の中に確かな価値観をもち、自らを愛することにつきる。でもそれが難しいのだと声がきこえてきそうだ。そう間違いなく難しい。昔であれば超越した存在である神により、また神を中心としたコミュニティーから自らの尊厳や価値を感じることができたかもしれない。けれども神が死んだ現代社会で私たちが頼れるものなどほとんど残っていない。残っているのは不安や恐怖だけだ。どのようにして実感の得られない世界で自らの価値を実感していくというのか。

 結局は私自身・自分自身に頼らなければいけないのだと思う。いままで他者に丸投げしてきた自らの価値評価を一つ一つ自分の中に取り戻していくことから始めるのだ。いままで奪われてきたものを一つ一つ自らの手で自らの中に取り戻していくのだ。その作業は長く時間がかかるかもしれないし、時に疑問や不安、恐怖を感じずにはいられなくなるかもしれない。けれどもその作業を少しずつ少しづつ続けていくのだ。あなたが価値を感じることは間違いないし、あなたが思うことは正しい。そして何より無条件にあなたには価値がある。でもそのメッセージは私からではなく、あなた自身が自らへ向けて発信させていかなければならない。

この文章は今これを書いている私自身へ向けたメッセージでもある。生きていくということは何とも難しいことだ。

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