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7年越しに読み返したサツバツ・ナイト・バイ・ナイト【ニンジャ読書感想文】

……おお、ブッダ!まだ寝ているのですか!?それとも薄目を開け、この惨劇をよしとしているのですか!?

約7年前、私が『サツバツ・ナイト・バイ・ナイト』を初めて読んだ際、このエピソードで最も印象に残っていたのがこのセンテンスだ。しかし今年に入り、アーカイブズにて「読み返した」ことにより、サツバツ・ナイト・バイ・ナイトといえば

「逢いたい」

である、という認識に至った。この変化の背景には、7年弱の期間における個人的な積み重ねがあった。それらが何年経っても色あせぬ『サツバツ・ナイト・バイ・ナイト』というエピソードの魅力と掛け合わさり100倍濃度の読書体験を齎したのである。


私が初めてフィクション作品に涙したのは約3年前、『スパイラル・アライヴ』という漫画を何年かぶりに読み返したときだった。その何年かの間に生じた変化といえば、偏にフジキド・ケンジのイクサを見届けたことであり、私は復讐鬼の魂の叫びというものに感情を強く揺さぶられるようになっていたのだった。

以来、趣味の分岐点たるニンジャを読み返したい欲求は私の中に在り続ける。そんな中で量がヤバイとか仕事がどうのとかうだうだ言ってる私をぶん殴り、後押ししたのがニンジャスレイヤーPLUSのアーカイブズである。

補足・あとがき付きで名作たちを読み返す極上の体験。初読時と決定的に異なるのは登場人物の、ネオサイタマのその後を知っていること。人物に関しては特にヤモト・コキとフジキド・ケンジの両名においてその影響が顕著である。ヤモト=サン……ニチョームで精神・カラテ両面の成長を遂げた彼女は今、半神めいた実力と精神性を身に着け、且つ以前からの特異な人間味や人たらし力を変わらず有している。そしてフジキド=サン……彼は今、サツバツナイト。

これらを踏まえて『サツバツ・ナイト・バイ・ナイト』を読み返すことはもはやただの追体験ではなく、別次元の体験となる。ニチョームに「迷惑」をかけられぬと苦悩するフジキド=サン、そして何より、過去の亡霊に囚われるヤモト=サン。のちの地獄戦士ヤモトの強さを知っているからこそ、「ニンジャで……ごめんなさ……」の絶望感が倍増する。

知っての通り、窮地のヤモト=サンはアサリ=サンとのユウジョウを確かめ、亡霊に打ち克つ。ここで私がニンジャ以降に摂取した作品(特に百合)の影響が現れる。現在私が愛読する作品たちはほとんどが一見ニンジャと結びつかないものであるが、それらとの出会いは『ニンジャスレイヤー殺』を機にニコニコ静画(漫画)というプラットフォームに触れたことに端を発している。すべてはニンジャなのだ。

私はほぼ初見時からヤモティストだが、ヤモト=サンとアサリ=サンの関係性についてはさほど頓着していなかった。しかしその後出会った作品たち(特に百合)が血肉となり、互いを特別に想う(恋愛感情とは思ってません)彼女たちが互いの支えとなり、確かな力を与えているさまに心打たれるようになった。「逢いたい」と「……逢いたかった」の文字が滲んで見えたし、ヤモト=サンがカラテを取り戻し舞い降りる光景は以前の3倍晴れやかだった。

これら新体験を下支えするのが『サツバツ・ナイト・バイ・ナイト』というテキストが普遍的に有する力強さだ。葛藤・苦悩・執念……様々な泥臭い感情が描かれながら、本作は徹頭徹尾アッパーなエンターテインメントである。クセの強い敵が登場し、ノリにノッた地の文と音楽にボルテージがグングン上がっていき、一千発のオリガミスリケンで爆殺し、最後はミサイルでサーフィンして爆殺する。この高揚感は何年経っても、何度読み返しても色あせることはない。


今後もアーカイブズが随時更新され、鮮烈な読書体験を齎してくれることだろう。特に私はヤモト=サンが地獄戦士として開眼する『ニチョーム・ウォー……ビギニング』を楽しみにしている。

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