オンニャのヒステリー
このタイトルを付けてから、改めてヒステリーの定義を確認しようと思い調べた。Yahoo!でヒステリーとはで検索すると、
解離性障害や転換性障害としてのヒステリーについての検索結果が並ぶ。なるほど。いまは、まず疾患としてのヒステリーの方が有名なのか。
(宇都宮東口ストレスクリニック様より)
ワタクシに馴染みのあるヒステリーは、こちらの方だ。
感情をおさえることができず、病的に泣きわめいたり、怒ったりすること。ヒス。
(精選版 日本国語大辞典精選版 より)
なぜだか、こちらのヒステリーは女の特性と思われている節がある。個人的には、いきなり怒鳴り散らかして自も他も制御不能になる男を何名か知っているけれど。あ、知っていたけれど、にしようかな。もう何の縁もない人達だから。
これって、一般的には女性の方が声が高いから、同じテンションで怒鳴ったり叫んだりしたら周囲が耳障りに感じることが多いからではないのかな。そうだとしたら、生物的特性により女性はちょっと不利だよね。
それで、何の話をしたいのかと言うと、ニコライ宮殿のオンニャのことなのだ。フレイヤ女神様だ。
最近、ニコライくん(ニコライ皇帝陛下)の通院のときに、フレイヤちん(フレイヤ女神様)もいっしょに連れて行っている。換毛期とはいえ、嘔吐が多い。
フレイヤちんは、先月13歳を迎えた。年の割には元気に過ごしているけれど、充分過ぎるおばーにゃんだ。
そんなフレイヤちんは、実は腎結石を抱えていたり、生来片腎がほぼ動いていなかったりという、基礎疾患持ちの猫だ。これ以上の病気は、できるだけ避けたい。
幸いにも軽い胃腸炎のようで、症状が治まるまでの投薬と落ち着くまでの補液点滴で、病院通いとなっている。
フレイヤちんは、病院ではとてもおとなしい。というよりも、恐怖心で動けなくなってしまう。点滴のときなんて、腰が抜けて診察台の上にぺったりと、まるで猫の敷物のような有態になっている。ワタクシたちは楽だ。侍医殿もさぞや扱いやすいことだろう。
だが、彼女の場合、宮殿に帰ってからが問題なのだ。
ニコライくんは、病院では基本シャーシャー言っており、そのまま静かに点滴を受けられる訳がない。いつもちゅーるを食べさせて気を逸らせ、その隙に点滴をする。いまの侍医殿のお世話になり始めてから早や1年8ヵ月、これまでにいったい何本のちゅーる類を食べさせていただいたことか。
そんなニコライくんだが、宮殿に戻れば何事もなかったかのように、ふつうにいつものニコライくんに戻る。
フレイヤちんの何が問題か。
何時間も何時間も、不満を述べて鳴き続けるのだ。
午前中に病院に行けば、夜の8時くらいまでは訴え続ける。夕方に行った日は大変だ。日が変わっても、夜中の1時になっても2時になっても鳴いている。
これは最近始まったことではなく仔猫の頃からそうなのだが、ジョゼフィンお嬢さんがいたときは、お嬢さんがずっと相手をしてくれていた。
時には忍耐強く話を聞き、時にはまるで共感を示すようにいっしょに鳴いていた。そのおかげで、このヒステリーのような「病院でひどいことされたの」鳴きは、時間的には短かった。
ジョゼフィンお嬢さん、あなたは何てすばらしいコだったのでしょう。
ニコライくんもアレくんも、フレイヤちんの不満を聞く気はない。撫子さんも、まったくそんな気がない。だから、フレイヤちんはひとりで気持ちを昇華させるため、何時間も何時間も鳴き続ける。
実は、撫子さんも同じことをする。病院から帰ると、しばらく鳴いている。どう聞いても、あれは文句だ。
しかし、ニコライくんとアレくんにはそういう行動は見られない。
つまりこれは、猫についてもオンニャのヒステリーが適用されているということなのだろうか。サンプル数がたったの4つでは、結論の出しようもないのだけれど。
ちなみに、半陰陽だったジョゼフィンお嬢さんの場合だが、若い頃は鳴かなかったけれど、シニア期に入ってから病院から帰宅後に鳴くようになっていた。シニア期の方が、女性ホルモンの影響を強く受けていたのだろうか。
来週の病院は、午前中に行けないんだよ。夕方の5時を過ぎてから行くんだよ。
フレイヤちん、お願い! 10時くらいまでにご不満を出し切ってくれないかな。あなたにずっと鳴かれてしまうと、全員寝不足になっちゃうんだよ。
なあんてお願いしたところで、フレイヤちんのご不満が小さくなることはないのはわかっている。
猫はかわいい。でも、猫との共生は日々修行だ。
そして、この修行がまた、猫との生活を楽しくする。
そう感じるのは、一種の病気かもしれないと思ったりもするが、治すつもりもない。