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ジョゼフィンお嬢さんのお話 ~1. お嬢さんの基礎知識

ジョゼフィンお嬢さんは猫だ。そして、ワタクシのソウルメイトだった。2007年8月27日に生まれ、10月27日にニコライ宮殿に迎えられ、約13年を過ごした。2020年10月15日に亡くなり、ヴァルハラへ旅立った。

とても賢く利口な猫だった。やさしくて包容力があり聞き上手だった。13年の間、ワタクシのいちばんの友だった。つらいときも苦しいときも、いつも彼女に支えてもらった。

思い出として記録としてワタクシの心の整理として、ジョゼフィンお嬢さんについて記しておきたい。

(1) 出会い

出会いはペットショップだった。先住猫のニコライ皇帝陛下(存命)は当時まだ5ヶ月のやんちゃ盛り。ワタクシもダーリンも勤め人だったので、独りきりの長時間の留守番を強いていた。

さみしそうに見えたこと(人間視点)に加えいたずらも増え、ワタクシたちは陛下のお遊び相手をお迎えする決断をした。そして、陛下と出会ったペットショップへ足を運んだ。

「短毛種で多頭飼い向きの性格のコであれば性別はどちらでも」と、ショップの方に相談した覚えがある。そして勧められたのが、ショートヘアソマリの兄妹だった。

ソマリは長毛猫種だが、健全な血統維持のため、近種のアビシニアンと交配させることがある。

詳しくはこちらで(ソマリ専門キャッテリー PUKU-CHIQ様)。

その結果、短毛のソマリが誕生する場合があり、そのコたちは「ショートソマリ」とか「ショートヘアソマリ」と呼ばれる。お嬢さんの血統では、父方にアビシニアンがいたようだ。

兄はルディで妹はレッドだった。当時のワタクシは、ルディという毛色に惹かれていた。その頃よく訪問していた猫ブログで見かける猫たちの中で、ルディのアビシニアンやソマリのコがかわいかったのだ。

そんな安易な理由でワタクシはルディの男のコを希望したのだが、ダーリンはレッドの女のコを選んだ。理由は、兄よりも大きかったからだ。

「このコはぷくぷくだよ。よく食べるってことだ。生命力があるよ」
こうして、レッドの女のコをお迎えすることになった。これが、ジョゼフィンお嬢さんだ。

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(2) 名前、そしてお嬢さんのお役目

ジョゼフィンという、猫にしてはやや大仰な名前は、すぐに閃いた。由来は「若草物語」の次女だ。ニコライ宮殿の二番目の猫ということと、レッドの毛色がジョーの髪の色のようだったことが理由だ。今考えると、髪の色への思いは、おそらく「ガラスの仮面」の影響と思われる。ともかく、ほどなくこの名付けはこの上なく適格だと知ることになった。

ニコライ皇帝陛下のお遊び相手としてジョゼフィンお嬢さんを迎えたが、いつのまにか、彼女はお世話係になっていた。お迎え時点でお嬢さんは2ヵ月齢、陛下は5ヵ月半齢。仔猫同士とはいえ、当然、お嬢さんの方がかなり小さかったにもかかわらず。

つまり、それは彼女生来の性格だったのだと思う。陛下がいたずらをしたときも、人間の注意よりも先にお嬢さんの鉄拳制裁があった。到底まねのできないスピードで。

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そして、とにかくよく面倒を見てくれた。ワタクシたちはそれに甘え、この後、結果3にゃんの弟妹猫を迎えることとなる。都度、ニコライ宮殿のルールを教え、しっぽで遊び、毛づくろいし、一緒に寝... 全く、頭が下がる働きにゃんだった。

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(3) 神様のお使い猫

お嬢さんについて語るときに、忘れてはいけないことがある。それは、正確には「お嬢さん」ではなかったということだ。「坊っちゃん」でもなかったけれど。

ジョゼフィンお嬢さんは、半陰陽だった。言い換えれば両性具有。不思議なことに、日によって♂顔のときと♀顔のときがあった。しかし、「どちらでもある」というよりは、「どちらでもない」という印象がある。あれこそがまさに、中性的ということだったのだろう。

お迎えしてすぐ、初代主席侍医殿(残念なことに、お嬢さんの死の3ヵ月後に鬼籍に入られた)のもとへ健康診断のために連れて行った。そこで、「うーん、このコは女のコかなあ...?」という疑問が呈された。素人目には女のコだった(おちんちんがない)が、プロが見ると、少々変わった外陰部を持っていたのだ。 

「どういうコなのかはっきりしてから避妊手術をした方がいいので、8ヵ月くらいまで待ちましょう。その頃にはある程度性成長していて、判断がつくと思いますよ」

そして8ヵ月齢。手術前検査を兼ねていろいろ調べたところ、ジョゼフィンお嬢さんは「70%くらい♂、30%くらい♀」ということがわかった。胎児だったときに、♂になるために充分なホルモンシャワーを浴びられなかったのだろう、という説明だった。

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動物なのだから、人間以上に性別は重要だろう。避妊や去勢の手術をされる愛玩動物であっても、それはコミュニケーション上、大切な情報だろうに。

しかし、ニコライ宮殿の5にゃんは、ジョゼフィンお嬢さんを中心に統制が執られていた。全員べったり仲がいい、というわけではなかったが、常にお嬢さんが中心にいてバランスが取られていた。みな、お嬢さんのことが大好きだった。ワタクシも大好きだった。お嬢さん亡き今、ニコライ宮殿では猫団子が見られなくなってしまい、それが少々さびしい。

このようなバックグラウンドがあって、ワタクシはしばしば、ジョゼフィンお嬢さんのことを「神様のお使い猫さん」と呼んでいた。

この神様のお使い猫さんは、生殖器と泌尿器の異常を除いては健康だった。お嬢さんは、ときどき目やにが出たり、(先天的異常由来で)血尿が出たり、ちょっぴりオナカが弱かったりしたが、長期の服薬生活もなく、大病知らずで、医療費のかからないコだった。

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