令和の時代に古畑任三郎(第一シーズン)の初見感想

タイトルの通りです。
第一シーズンの全エピソードの感想を書いていきます
極力本編の決定的な内容のネタバレはないようにしていきますが、内容にはガンガン触れていくのでネタバレが気になる方は気を付けてください。


第一話「死者からの伝言」

中森明菜演じる少女漫画作家が交際相手を殺す話。

最初の話にして、館を舞台にほぼ犯人と古畑の2人だけで話が進んで終わるというストロングスタイル。第一話としてめっちゃ引き込まれた。

第一話でまだ古畑のキャラをつかみきれてなかったんだけど、漫画読んで泣く古畑とそれをみて若干テンション高くなる中森明菜がどっちも可愛いかった。

「ダイイングメッセージはどこか?」の答えが「どこにもない。それがメッセージ」なのがひたすら秀逸。


第二話「動く死体」

堺正章演じる歌舞伎役者が舞台直前に過去の殺人をばらされそうになって殺人を犯す話。

前回もそうだけど、有名人に会って喜ぶ古畑結構ミーハーで可愛い。

犯人、古畑と出会って数秒でものすごいわかりやすい失言してるし、そっから古畑疑いモード全開で笑った。
今回の犯人は大分小物だなって思ったけどラストの茶漬け食った真相が明かされるシーンで一気にサイコ味増して怖かった。「役者の鏡だろ」に対して「でも犯人としては、、」で返すの好きだし、人を殺したことに対するしょうもない説教みたいなのしないのが古畑の魅力だなって思った。

まだ二話しかみてないけど、終盤の「あのときあんたに会ってなけりゃ、、」は古畑を象徴するセリフな感じがある。古畑に出会わなければ本懐を遂げていた者たちの話なのかもしれない。


第三話「笑える死体」

古手川祐子演じる精神科医が恋人の性格を利用して殺す話。

なんか古畑がタバコ吸うの意外だった。

途中で「これストッキング被ったままタバコ吸えるか試す古畑が見れるんじゃね?」ってワクワクしたら本当に見れてクソ笑った。

追い詰め方おしゃれだけどハナから犯人がガバガバすぎるしなあと思ってたら、精神科の医師っていう設定活かして古畑の内面に切り込んだの結構良かった。言われつくしてることだろうけど毎回いろんな職業のプロフェッショナルが犯人だから、それに即した戦いというか展開になっているのがいいね。



第四話「殺しのファックス」

妻を殺してしまった笑福亭鶴瓶演じる推理小説作家が、警察を巻き込んで妻の誘拐と殺害を劇場型で偽装する話。

お察ししますって地味にはじめて言ったよね!? ついに聞けてうれしい。

当事者でありながら誘拐を一人で偽装するって推理小説家っぽい大胆な犯行だけど、正直ボロですぎだし、そろそろ完璧に近い犯人との戦いが見たくなってきた。

鶴瓶のコミカルなシーンがけっこう印象的で面白かった。

「便利な世の中になったものです。今じゃどんなものでもファックスで送れる」に時代を感じるし、ラストかっこいい。

あと序盤に出てくる月が考えられないくらいデカかった。なんなんあれ。



第五話「汚れた王将」

坂東八十助演じる対局中の不正を見破られた棋士が、その相手を殺して対局をつづけようとする話。

封じ手って初めて知ったけど面白いシステムやね。将棋で一番いい布陣は最初の配置とか、将棋詳しくないからおもろかった。古畑将棋強そうなのに弱いの可愛い。

古畑がたまたま居合わせた系の話久しい気がした。

対局中申し訳なさそうに普通に入ってくる古畑でクソ笑ったし、どんどんノンデリが加速している。

犯人を追い詰める決め手のシーン、別に「打つ手を間違えた、思いつかなかった」って言えばいくらでも言い逃れできたのに棋士としてのプライドに賭けた感じがするね。
あと今回犯人に目をつけるのさすがに早すぎた気がしたんだけど特に説明なかったね。
描写されてないだけで古畑はすべての人間を疑ってるってことなんだろうか。

この時代に藤井聡太みたいな対戦相手だったし、将棋の若い才能による世代交代ってこの時代にもあったんだなあ。



第六話「ピアノ・レッスン」

木の実ナナ演じるピアニストがスタンガンで殺人を犯す話。

開幕のナレーションが結構好き。

スタンガンくらってから結構動けてたけどあんなもんなん?

古畑絶対ピアノ弾けないパターンだと思ったけど案の定弾けんかったね。

解決編はわりと予想通りだった。

犯人の高飛車な性格とか、それによって周りから嫌われすぎてたせいでボロが出たってオチからの反動で動悸が今までで一番純愛だった感じする。



第七話「殺人リハーサル」

小林稔侍演じる時代劇俳優がスタジオの閉鎖を計画する御曹司を殺陣の練習に見せかけて殺す話。

殺人シーン、古畑で初めてあんな大量出血みたわ。
てか古畑って血がだめなんやね。

「誰が殺したか」ははっきりしていて、「事故か殺人か」が主題の珍しい回。
伏線回収とかもろもろきれいだとは思ったけど、さすがにそれでは殺意の証明にはなってないでしょうという感想。



第八話「殺人特急」

鹿賀丈史演じる外科医が、自らの不倫の証拠を握った興信所の男を電車内で殺す話。

電車の店員に厄介なクレームつける古畑、今の価値観では普通に笑えないのがおもろい。
あと指紋ついてるかもしれない椅子にどっかり座るんじゃないよ

てか古畑兄貴医者なん?いつか出てくるかな。

たまたま協力頼んだ医者が犯人って、だいぶ不利な状況だと思うんだけど、よく頑張ったよな
まあでも注射の跡見つけた時点でほぼ勝ちだよね
足から静注なんてできるの医療従事者しかいないんだから

途中の「犯人のことを古畑がガッツリ疑っててかつ相手もそれを理解した上での犯人との白々しいやりとり」、古畑の魅力の一つだよな。

最後の実験のとこ、だいぶ都合いいよな。リクライニング倒すの忘れてたって言われたら詰みだし。
中途半端な所持品の謎が解明されていって、そのまま犯行の動機も見えてくる流れが綺麗だと思った。全体的に伏線回収が多い回。


第九話「殺人公開放送」

石黒賢演じる自称超能力者が自らの殺人を超能力によってごまかす話。

テレビに緊張する古畑、相変わらずミーハーやね。
冒頭の映像の色合いとか、綺麗な伏線だった。

途中、影響を受けた人物を聞かれていないって言ってたけど今後出てくるのかな。最近の作品なら回収されそうな伏線だけどどうだろう。


第十話「矛盾だらけの死体」
小堺一機演じる議員秘書が先生の不倫相手を殺し、さらにその議員にいいように使われたと気づいて先生も殺してしまう話。

2人殺すの珍しいなって思った矢先被害者が生きてたってのは展開として面白かった。
お笑い芸人が犯人の会に共通してるけど、コメディ色が強いね。容体が悪化しましたのところ、絶対今泉の被せだろだと思ったらそうだった。
古畑いなくても解決できそうだなと思ったけど、それはタイトルが示す通りか。


第11話「さよならDJ」
桃井かおり演じるラジオDJがレコードの放送中に局を抜け出し、恋人を奪った女を殺して生放送に戻ってくる話

桃井かおり鬼奴のモノマネでしか知らんかったから本物の演技少し笑ってしまったけど魅力的な人やね。

序盤としては殺人シーンがだいぶ好き。ラジオの曲が流れる間に起こった犯行としてbgmがかかってたり、全力疾走だったり。
男を奪われても気にしてないように見えた犯人が、殴った後に「痛い?」って聞くところがすごい印象的。最後までサバサバした態度を崩さない犯人の内面が唯一垣間見える一瞬。

終始ラジオの収録現場のわちゃわちゃ感が結構好きだったりするし、犯人との直接対決の前に、みんなに席を外してもらえませんかって強めに言うとこも割と印象に残った。


中盤でも犯人との対話のシーンでbgmがかかったりしてたりとか、ラジオのスタジオという舞台装置を存分に生かしてるのが最高
古畑がラジオで話すシーンとかめっちゃよかったね、疑ってる段階での白々しい犯人とのやり取りが古畑の真髄って感じする


第12話「最後のあいさつ」
菅原文太演じる古畑の先輩刑事が、自らの孫娘を殺したのに証拠不十分で無罪放免になった犯人を射殺する話

ラストにして警察が犯人は盛り上げ方をわかりすぎている。

今回ずっとだけど特に菅原文太にジャンクフードを教えるシーンとか、”後輩としての古畑”が描写されてて良き。

あと実際に現場に立つ古畑が見れたのよかった。銃の使い方知らないの流石に論外すぎて笑う。

最終回にしてcm前のナレーションの演出にメタ的なコメディ入れるの三谷幸喜っぽい。

今まで飄々と犯人を追い詰めてた古畑が今回は素直に残念、って言うのかなりグッときた。
古畑が殺人事件における刑事の立ち位置、在り方について初めて語ったね。それを引き出したのが、偉大な刑事というそれを引き出すに足る相手だったのがよかった。
「君に拳銃は必要ない」「孫娘の事件も君に担当してもらいたかった」
素直だけどいいセリフだと思った。



ネタバレを極力避けると必然的に古畑の人間性メインになるよね。
やっぱり変な正義感がないところが古畑の魅力だと思うから、なんか今後も過去はあまり語られないままのほうがいいよね。
最近の作品を見てて思うけど、登場人物に対して過去を用いてキャラ付けするの食傷気味なところがあるんよ。
第二シリーズも引き続き見ます。

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