「TRIO パリ・東京・大阪モダンアート・コレクション」展@大阪中之島美術館
この間の水曜日(10/30)に大阪中之島美術館で開催されている「TRIO パリ・東京・大阪モダンアート・コレクション」展に行ってきました。
展示替えがあって2日目だからなのか、はたまた通常運転なのか、開館すぐの10時過ぎに行ったら、平日というのに人が結構入っていました。
なかなか面白い趣向の展覧会で、パリ市立近代美術館、東京国立近代美術館、大阪中之島美術館のそれぞれのコレクションを、テーマごとに並べて展示するというものでした。
例えば「モデルたちのパワー」というテーマでは、横たわる女性モデルを描いた絵が並べて展示されており、パリ市立近代美術館からはマティスの《椅子にもたれるオダリスク》、東京国立近代美術館からは萬鉄五郎の《裸体美人》、大阪中之島美術館からはモディリアーニの《髪をほどいた横たわる裸婦》といった形。
優劣を競っているわけではないけれども、なんとなく歌合せっぽい感じで面白かったです。海外のアーティストと日本のアーティストが並ぶどころか、西洋絵画と日本画が並んだり、ポスターと彫刻が並んだりと、ジャンルや形態が異なるものの組合せがあるのも、それぞれが趣向を凝らしてきた歌合せ感がありました。
東京の展示を経て大阪の展示となり、おそらくパリへは巡回しないのかなと思いますが、パリでも開催されたらそれはそれで面白そうと妄想してしまいました。
日本人のアート愛好家(と言っていいのか)は西洋絵画も日本画含めた日本絵画も馴染みがあるだろうけれども、フランス人はそこまで日本のアートに造詣は深くないと思います(浮世絵は別として)。
そんな人たちがこの組み合わせを見てどう感じるのか、ちょっと興味があります。
因みに展覧会のタイトルに「モダンアート」とありますが、実際はモダンアートから現代アートまででした。
個人的にはモダンアートと絵画が好きなので、しかも具象画の方が好きなので、展示会場の前半が好みにドンピシャでした。
本日のBEST:ラウル・デュフィ《家と庭》
元々デュフィは大好きですが、その中でもこの作品は一目で心震えるくらい好きになっちゃいました。
ということで、ダントツのBESTです。大体の展覧会では、BESTを決めるのに迷うのですが、今回は迷うことなくこれがBEST。
ショップで、Tシャツもトートバッグもキャラメル缶も買っちゃいそうになるくらいはまってしまいましたが、なんとかポストカードとクリアファイルと、この《家と庭》の組み合わせとなっている「空想の庭」の3点がチャームとなっているキーホルダーでとどまりました。
遠景に白い建物があり、その前に緑が生い茂って、中央には台に乗ったバラが一輪咲いている、というこの作品。
全体的に青っぽい下地に、青味がかった緑と黄色みがかかった緑がバランスよく配置されています。特に黒っぽい緑が、とても深い濃い緑に見えて、それが緑の豊かさを表現しているし、台の水色っぽい青色を鮮やかにしてもいます。
中央のバラがピンク色で、よく見るとちょっとグレーがかかったピンクではあるのですが、周りの緑のおかげで愛らしいピンク色として輝いています。おそらくこれがもっとピンクだったら、周りの緑と喧嘩していたかもしれないので、本当に絶妙な色合い。
建物と台の白さもほどよいアクセントとなっており、すべての色のバランスがものすごくかっこよくてただただ見惚れるばかり。
デュフィの、誰にも真似できないこのセンスに感服するしかない作品でした。
その他好きだった作品
以降、自分のためのメモです。佐伯祐三の作品も素敵でしたが、佐伯祐三展で見たものばかりだったので割愛。
パブロ・ガルガーリョ《モンパルナスのキキ》
見る角度によって表情が変わるような、3Dの彫刻だからこそ表すことのできる表現が遺憾なく発揮されている作品。
ちょっと右寄りから見た角度が一番好き。唇の形がきれいに見えて、上品な佇まいが感じられる。
ピエール・ボナール《昼食》
全体的に黄色っぽい画面で、陽がさんさんと降り注ぐ部屋の中での昼食という感じ。でも昼食と言いつつ食べ物はなさそうでティーカップを前にしてボナールお馴染みのご夫人が座っている。光の中でちょっとまどろむようなあたたかい作品。
小倉遊亀《浴女 その二》
前期展示だったチラシにある《浴女 その一》は学校の美術の教科書に載っていたし見たことがあったけれども、「その二」があるとは知らなかった。こちらは床のタイル、手前の女性の浴衣、奥のかけてある浴衣の柄が、細かいわりには喧嘩せず調和しているのが良い。おそらく作品自体が大きくて整理しやすいのと、同系色にまとめて、しかも奥の壁が真っ白といったところで落ち着かせているのだろう。
アレクサンダー・カルダー《テーブルの下》
たった1点で台の上に立つモビール。動きそうな作りではあったものの、風などないためかまったく動いていなかった。動くのであればどうなるのか見てみたい。そういう動きがなくても、繊細さと赤を基調にした彩色によって可愛い印象。
でもタイトルを見て、むしろテーブルの上のようだけれども何が下なのだろうかと色々と考えてしまった。ひっかけて立っているように見えている部分が実はテーブルの下なのか?とか、ひっかけている先が台の下の方に位置するので、じつはこっちを注目してくれてということなのか?など。
ファウスト・メロッティ《対位法 no.3》
上の《テーブルの下》とセットになっているもの(もう一つは北代省三のモビールオブジェ作品)。他の二つがモビールであるのに対して、四角い枠の中にどことなくころころしたオブジェがついているもの。金属製なのにかわいらしい雰囲気を持ち、昔見たペギー・グッゲンハイムのベッドヘッドを思い出した。と思って調べたら、なんとこのベッドヘッドは上のアレクサンダーカルダーの作品だったという、ちょっとずれた偶然。
とピックアップしてみたらほぼパリ市立近代美術館の作品でした。なんとなく、ごめんね大阪中之島美術館、と思ってしまいました。
それよりも、遠い昔にパリに行った際には、パリ市立近代美術館には行かなかったので(何せルーブルとオルセーだけでも手一杯)、いつか行ってみたい美術館に入りました。
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