にわ冬莉

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にわ冬莉

カクヨムで色々やってます。 https://kakuyomu.jp/users/niwa-touri よろしくお願いいたします。(。•ㅅ•。)♡

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記事一覧

マジで出掛ける3分前

 私には三分以内にやらなければならないことがあった。  身支度を整え、家を、出る。  次の電車に乗らなければ、完全に遅刻だ。  こんな日に限って昼まで寝てしまうな…

にわ冬莉
4時間前
1

青に、潜る

 穴に、落ちていた。  気付いた時には、私は深くて暗い穴の中にいた。  手探りで辺りに手を伸ばしても誰もいない。音も聞こえない。どこまで続くのか、いつ終わるのか…

にわ冬莉
3週間前
7

人生はいつも1/2ではない選択

 生きていれば、選択の繰り返しであり、そしてそこには、悩みがつきものである。  初めて真剣に悩んだのは中学生の時だったろうか。俺は、運動部に入るか文化部に入るか…

にわ冬莉
4か月前
3

余命は、ずっとある。【5-5】

5  マリアと一緒に過ごさなくなってから一カ月近くなる。  自分で決めたことなのに、なんだか心にぽっかりと穴が開いたみたいな気分だった。  やっぱり俺、マリアが好…

にわ冬莉
4か月前
3

余命は、ずっとある。【5-4】

4  私は足早に去っていくカズ君の後ろ姿に声を掛けたかったけど、すぐに携帯で電話を始めてしまった彼に、声をかけられなかった。  その時、ポロっとカズ君のポケット…

にわ冬莉
4か月前

余命は、ずっとある。【5-3】

3  俺とマリアの付き合いは順調だった。  放課後デートも楽しかったし、休日に出かけたりもしたし、テスト前には勉強会なんかもやってさ。  俺は、罪悪感は勿論あった…

にわ冬莉
4か月前

余命は、ずっとある。【5-2】

2  まさかこんなことになるなんて思っていなかった。だって私、秋斗君のことが好きだったんだもん。なのになんで…、 「わかった。私でよければ、いいよ」  カズ君の告…

にわ冬莉
4か月前

余命は、ずっとある。【5-1】

1 「こんなこと言うのはズルいかもしれないけどさ、俺、あんまり長くないんだよね」 「長くないって……えっ?」  そりゃそうだよな。急にこんなこと言われたら、そうい…

にわ冬莉
4か月前

まほうの て

そこに ふたつのてがあった。 それは とてもちいさなてだ。 このてはすごい! みぎのては おかあさんのゆびをギュ ひだりては おとうさんのゆびをギュ たったそれだけ…

にわ冬莉
5か月前
6

嘘から出た……【短編小説】

「ていうかさ、高橋って未知に気があるよね」  目の前でニヤニヤしながら咲良が言った。  私は思わず口に含んだイチゴミルクを吹き出しそうになった。 「ちょ、なにそ…

にわ冬莉
5か月前
7

さよなら、わたし。さよなら、あした。【短編小説】

誰かがわたしの隣に座ってね、スッ、と手を伸ばすの 伸ばされた右手が、わたしの喉元を捉える わたしは内心ドキドキしながら、だけどすごく期待しながら、少し冷たいその右…

にわ冬莉
5か月前
5

うちゅうねこ【童話】

うちには、「ひなた」というなまえのねこがいる。 ぼくはおもう。 ひなたは、うちゅうねこだ。 ときどきじっとそらをみあげているのは、うちゅうとこうしんしているからに…

にわ冬莉
5か月前
2

月のはなし【短編小説】

 鉄橋を渡り終えた電車が緩やかに、滑らかにホームへと吸い込まれる。さほど混みあってもいない電車を降り、改札を潜る。とっぷりと暮れた空にはもうすぐ真ん丸になるであ…

にわ冬莉
5か月前
10

扉のむこうがわ【777文字小説】

 つかつかと早足で歩く私の後を、彼が慌てて付いてきている。 「待ってくれよ!」  必死の形相なのは顔を見なくても分かる。そりゃそうよね、私、婚約破棄を申し出たんだ…

にわ冬莉
5か月前
3

私の嫌いな「わたし」【777文字小説】

 嫌い。  私は全部が嫌い。  お父さんの髪が薄いのも、お母さんが太ってるのも、親譲りの一重で全然可愛くない顔も。  家がお金持ちじゃないのも、弟が生意気なのも、…

にわ冬莉
5か月前
1

夜のしじまに【777文字小説】

  酔いどれていたのは、間違いない。  いつもよりちょ~~~っとだけ、多めに飲んだような気もする。  健康診断でメタボに引っかかって早十四年。揚げ物や塩分を控えな…

にわ冬莉
5か月前
1

マジで出掛ける3分前

 私には三分以内にやらなければならないことがあった。

 身支度を整え、家を、出る。
 次の電車に乗らなければ、完全に遅刻だ。
 こんな日に限って昼まで寝てしまうなんて……。

 私は慌てて顔を洗い、メイクをする。
 三分しかないのだから、塗ってるうちに入らないようなテキトーメイクになってしまうが、仕方ない。描いたって描かなくたって、大して変わらないのだからこの際どうでもいいだろう。

 眉毛を片

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青に、潜る

青に、潜る

 穴に、落ちていた。

 気付いた時には、私は深くて暗い穴の中にいた。
 手探りで辺りに手を伸ばしても誰もいない。音も聞こえない。どこまで続くのか、いつ終わるのかもしれない穴の中にいたんだ──。

「あ、目、覚めた?」
 目を開けて最初に飛び込んできたのは私のよく知る顔だった。
「……矢島……君?」
 会社の後輩。二つしか違わないのに、彼はとてもファニーフェイスで、そのくせ気が利くというか、抜かり

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人生はいつも1/2ではない選択

人生はいつも1/2ではない選択

 生きていれば、選択の繰り返しであり、そしてそこには、悩みがつきものである。

 初めて真剣に悩んだのは中学生の時だったろうか。俺は、運動部に入るか文化部に入るかで、迷っていた。

 小学校では野球をやっていたのだ。だが、俺の進んだ中学の野球部はクラブチーム上がりが集まるガチなやつ。俺は仲間と楽しくやる野球が好きだったから、あんまりガチなやつは御免被りたかった。
 その頃俺が仲良くしていた友人が『

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余命は、ずっとある。【5-5】

余命は、ずっとある。【5-5】

5

 マリアと一緒に過ごさなくなってから一カ月近くなる。
 自分で決めたことなのに、なんだか心にぽっかりと穴が開いたみたいな気分だった。
 やっぱり俺、マリアが好きなんだな。あの日、手を繋いだ感覚が忘れられない。ああ、ほんとはもっとしたい! 抱き締めたり、キスしたり、色んなこと!!

 だけど……、

 俺は罪悪感ってやつでいっぱいになってた。だってさ、嘘ついて彼女になってもらったんだぜ? そん

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余命は、ずっとある。【5-4】

余命は、ずっとある。【5-4】

4

 私は足早に去っていくカズ君の後ろ姿に声を掛けたかったけど、すぐに携帯で電話を始めてしまった彼に、声をかけられなかった。

 その時、ポロっとカズ君のポケットから何かが落ちた。カズ君は気付いてない。
 私は遠くなっていくカズ君の後ろ姿をしばらく見送った。振り向いてくれないかな、って思ったんだけど、一度も振り返ってはくれなかった。

 カズ君のポケットから落ちたものを、拾うと、水族館の売店の小

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余命は、ずっとある。【5-3】

余命は、ずっとある。【5-3】

3

 俺とマリアの付き合いは順調だった。
 放課後デートも楽しかったし、休日に出かけたりもしたし、テスト前には勉強会なんかもやってさ。

 俺は、罪悪感は勿論あったけど、なんていうか、マリアと一緒にいられるのが嬉しかったし、一緒の時間を過ごせば過ごすほど、マリアを好きになったし、だからもう、とにかく好きだ、って言い続けてた。

 マリアは、最初のうちは俺に気を遣ってたみたいだけど、一緒に過ごすう

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余命は、ずっとある。【5-2】

余命は、ずっとある。【5-2】

2

 まさかこんなことになるなんて思っていなかった。だって私、秋斗君のことが好きだったんだもん。なのになんで…、

「わかった。私でよければ、いいよ」
 カズ君の告白を聞いて、私ったら笑顔でそう答えてたんだよ!!

 私の返事を聞いて、カズ君、飛び上がって喜んでて……そんな姿見てたら、なんだか嬉しくなっちゃってさ。単純だよね、私。なんか、必要とされてるってことが嬉しかったんだ。それにさ、カズ君て

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余命は、ずっとある。【5-1】

余命は、ずっとある。【5-1】

1

「こんなこと言うのはズルいかもしれないけどさ、俺、あんまり長くないんだよね」
「長くないって……えっ?」

 そりゃそうだよな。急にこんなこと言われたら、そういう顔しちゃうよな。俺、すんげぇズルいし最低なことしてるってわかってるんだけどさ、でも、同情でもなんでもいいから、どうしても振り向いてほしいって思っちゃったんだよ。

「あ、ごめん。なんか、嫌な言い方だよね、こんなの。同情買うみたいで」

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まほうの て

まほうの て

そこに ふたつのてがあった。
それは とてもちいさなてだ。
このてはすごい!
みぎのては おかあさんのゆびをギュ
ひだりては おとうさんのゆびをギュ
たったそれだけで
「しあわせ」をあたえてくれる

まほうの、て

そこに ふたつのてがあった。
それは パンやさんのてだ
このてはすごい!
こむぎこを コネコネぐるん
くるくるまるめて オープンへぽい
ほかほかのパンができあがり
おいしいね、とっても

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嘘から出た……【短編小説】

嘘から出た……【短編小説】

「ていうかさ、高橋って未知に気があるよね」

 目の前でニヤニヤしながら咲良が言った。
 私は思わず口に含んだイチゴミルクを吹き出しそうになった。

「ちょ、なにそれ!」

 昼休み、中庭のベンチ。朝は寒いけど、今日みたいな天気の日はお日様が心地よいぬくもりをくれる。

「だってさぁ、さっきも授業中未知のこと見てたもん!」

 うりうり、と肘で私の脇腹をつつき、咲良。完全に楽しんでる。

「そりゃ

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さよなら、わたし。さよなら、あした。【短編小説】

さよなら、わたし。さよなら、あした。【短編小説】

誰かがわたしの隣に座ってね、スッ、と手を伸ばすの
伸ばされた右手が、わたしの喉元を捉える
わたしは内心ドキドキしながら、だけどすごく期待しながら、少し冷たいその右手を感じる
左手もまた、添えられるようにすっと伸ばされ、ゆっくり、ゆっくりと指に力が入っていく

わたしは頭の中が真っ白になって、まるで宙に浮いてしまいそうなほどフワリとした感覚に身を委ねるの

トクリ、トクリと音を立てていくわたしの心臓

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うちゅうねこ【童話】

うちゅうねこ【童話】

うちには、「ひなた」というなまえのねこがいる。
ぼくはおもう。
ひなたは、うちゅうねこだ。

ときどきじっとそらをみあげているのは、うちゅうとこうしんしているからにちがいない。
ひなたがみているほうをみても、てんじょうがあるだけでなにもいないもの。
きっとちょうおんぱでうちゅうじんたちとはなしをしているんだ。

ひなたはあさおきるとぼくにすりよってくる。
ぼくがしゃがんでひなたのあたまをなでると、

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月のはなし【短編小説】

月のはなし【短編小説】

 鉄橋を渡り終えた電車が緩やかに、滑らかにホームへと吸い込まれる。さほど混みあってもいない電車を降り、改札を潜る。とっぷりと暮れた空にはもうすぐ真ん丸になるであろう少しだけ歪な白い月が浮かんでいた。

 ああ、と、漏れてしまう声を飲み込んで、空を見上げる。
 あの月の向こうに、彼女はいるのか。儚くも強く生きた彼女は、あの場所で笑っているのだろうか……。

 ゆっくりと歩きながら、同じように動く月を

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扉のむこうがわ【777文字小説】

扉のむこうがわ【777文字小説】

 つかつかと早足で歩く私の後を、彼が慌てて付いてきている。
「待ってくれよ!」
 必死の形相なのは顔を見なくても分かる。そりゃそうよね、私、婚約破棄を申し出たんだから。

 事の発端は三日前。あなたは私に内緒で女と会ってた。
 それを見た私の気持ちがわかる?
 結婚しよう、ってプロポーズされて、お互いの両親に挨拶も済ませて、結婚式の話をして、幸せの絶頂な私の心を裏切ったのはあなた。
「もう、付いて

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私の嫌いな「わたし」【777文字小説】

私の嫌いな「わたし」【777文字小説】

 嫌い。

 私は全部が嫌い。
 お父さんの髪が薄いのも、お母さんが太ってるのも、親譲りの一重で全然可愛くない顔も。
 家がお金持ちじゃないのも、弟が生意気なのも、成績が中の下なのも、運動神経鈍いのも全部嫌い。
 この前だって体育の時間、バレーボール頭で受けるとか、有り得ない。
 何でああいう時、女の子って『ちょっと抜けてる感じ、可愛いよ』とか嘘言うの?
 そんなわけないじゃん。
 ただの運動音痴

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夜のしじまに【777文字小説】

夜のしじまに【777文字小説】

  酔いどれていたのは、間違いない。
 いつもよりちょ~~~っとだけ、多めに飲んだような気もする。
 健康診断でメタボに引っかかって早十四年。揚げ物や塩分を控えなさい、なんて言われたって、旨いものってぇのは油と塩分で出来てんだから仕方ねぇだろってんだ、おっとっと。

 帰り道は静かで、人っ子一人、歩いちゃいない。
 田舎の一本道を、ひたすら歩く。
 いつもなら電話一本でかぁちゃんが迎えに来てくれる

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