「難聴者と中途失聴者の心理学」第4章読書感想文。
第4章 高齢期の難聴
高齢者は人生の先輩。でも、こと難聴においては僕の方が先輩なので、上から目線で読めた章でした笑。
小さい音は聞こえにくく、大きな音はより大きく、うるさく聞こえ、ちょうどよい音の大きさの範囲が狭くなってしまう
早口で話しかけられると言葉が聞きとりにくくなります。反響する環境下での言葉の聞き取りも困難になります。
そうそう。そうなんですよね。健聴者にお願いしたいのは、高齢者や難聴者に聞き返された時に大きな声で繰り返すことではありません。
ゆっくりと、ハッキリと話して欲しい
のが我々、難聴者の求めるサポートです。
早口で大きな声ってどんなときに発するでしょうか。そう。イライラしたり怒っているときにそうなりがちです。そのため、
「都合の悪いことは聞こえない」と誤解され、人間関係に影響を及ぼすこともあります。
これ、メチャメチャあるあるです。
適度にゆっくりとハッキリと話すこと以外にも、有効な配慮はたくさんあります。
「文章は短く単語は平易に」「わからないことは言い換える」「わからないときは書く」(中略)「話す前にトピックスを伝える」
などがそれです。この中から、特に配慮していただけるとありがたい項目についてお話します。
わからないときは言い換える
たとえば「パンダ」が聞き取れなかったとしましょう。(破裂音が多いので聞き取りやすい単語ではあるのですが、例として浮かんでしまったのでこのままゴリ押しします。)
聞き取れないとはつまり、「パンダ」が「はんら」などと聞こえている状態です。
これを言い換えるならば「白黒のクマ」ですとか「上野動物園で人気のどうぶつ」となります。
難聴者にはそれが「いろうろ の うま」と聞こえたり「うえのどうぶるえん で いんい の ろううつ」と聞こえるかも知れません。
しかし突然「はんら」と言われるのよりは、文脈から想像したり脳内で変換候補を探すのが容易になります。
ついでに言うと「イロウロノウマ!」とか「ウエノドウブルエンデインイノロウウツ!」など大きく早口で言われても聞き取りが困難なのは想像してもらえるかと思います。
このように、「言い換える」ことが難聴者の聞き取りにとってたいへん有効であることを僕は身をもって知っているので、「はんら」が分からないときに「言い換えてもらえますか?」と頼むことがあります。
しかし健聴者には言い換えの有効さは認知されていないでしょうし、この僕のリクエストの意味がわからないと思います。
「パンダを言い換えるってなんだよ?パンダはパンダでしかねぇよ」と内心困っている表情をいつも目にして、お互いに困っちゃうことがよくあります。
なので「言い換える」ことの有効性は広くみんなに認知して欲しいとまでは言いませんが、家族や近しい人に難聴者がいる人や、プロとして難聴者と関わることが多い人には、是非知っていて欲しいテクニックです。
聞こえにくさ、聞き取りにくさを持つ人はどのように聞こえるかを言葉やイメージで当事者自身が伝えることが、難聴の理解やよりよいコミュニケーションをするためにも重要になるのではないかと思っています。
とあるので、ここまで僕の聞こえ方をお伝えしてみました。
加齢性難聴の方に伝えたいこと。
冒頭で述べたように、上から目線で言わせてもらいます笑。
もしもあなたが、元々はコミュニケーションが得意だったのなら、その頃を思い出して欲しいです。
ジブリ映画に出てくるような「やさしいおばあさん」を想像してみてください。
その「おばあさん」がニコニコとした笑顔で「ごめんなさいねぇ、このところ耳が悪くって」と言ったとします。それを受けたあなたはどんな印象を抱くでしょうか。イライラして攻撃したくなるでしょうか。
難聴者の悩みの1つとして「理解されにくい」があり、その原因に「見た目にわからない」ことがあります。
でもあなたは「おばあさん」なので、さきの一言で理解してもらうことも出来るのではないでしょうか?
では、元々コミュニケーションが不得意な方はどうしましょう?僕も「コミュ恐」を解消したくてこの本を読み始めました。
そしてこの章の感想文を書いていて、その答えに辿り着いた気がします。
ニコニコしていること。
もしかしたら、これが答えなのではないでしょうか。
さいごに。
僕が昔(診断はされていませんが)鬱病になったときに親友から貰った言葉を贈ります。
お前には世界が変わって見えているかも知れない。恐くてしかたないかも知れない。だけど俺がお前を見る目は変わってないからな。