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全3回】ベースラインって何!?プロのアスレティックトレーナーが呼びかける、これだけはやってほしいスポーツ前の準備/第2回 体調管理

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こんばんは。NITREATのnote編集部です。
「ご自分のベースラインを把握していますか?」そう問いかけるのは、米国BOC公認アスレティックトレーナーの佐保豊(さほゆたか)さん。
アイスホッケーやフットサルの日本代表チーム、Jリーグ名古屋グランパスなどのトップアスリートのトレーニングから、学校へのスポーツ教育プログラムの提供まで、プロ・アマを問わず広く歴任。またNPO法人スポーツセーフティージャパンを立ち上げ、あらゆる世代のスポーツ安全環境を整え、法学と医学の観点から事故を未然に防ぐ活動を推進されています。
佐保さんが大切だと訴えるベースラインとは?全3回の連載。第2回目は、体調管理です。
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          Sports Safety Japan :http://www.sports-safety.com/

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第2回 体調管理
体重、体温、脈拍の3つのベースラインを知る

暑さの続く夏。猛暑の屋外と、冷房の効いた涼しい室内の出入りなどで、身体に負担のかかる夏です。でも体力にはそこそこ自信もあるし、これまでだってうまく付き合ってきた、という方。知らずしらずのうちに、危険が迫っているかもしれません。

「ベースラインを知ることが大切です」アスレティックトレーナーの佐保豊さんが説く、コンディコニングの基本。
スポーツの死亡事故あるいは重度の障害事故のうち、もっとも多いのは心臓疾患なのです。主に循環器系のチェックを日頃から行うことで、スポーツ事故を起こさない準備をすることが大切です。ウォームアップをはじめる前に、安全に運動できる身体かどうかを把握しておきましょう。

ベースラインとは、身体の通常時の数値。「体重、体温、脈拍。一般の方はこの3つを知れば十分」と佐保さん。どのようにチェックすればよいか。測るタイミングや方法についてお話してくれました。


図1


体重は、毎日同じ時間と運動前後に測り
減少分はすべて水分で補う

プロの体調管理は幅広い。でも一般の私たちは、体重、体温、脈拍の3つでOKです。体内から送られてくるサインを数値化して、客観的にみられる状態にすることが基本なのだとか。この3つだけなら、お金もかからないのでカンタンですね。
まずは体重。前回のコラムで、私たちもよく理解しましたよね。脱水症状は命に関わると。
佐保さんは、朝起きたときと、運動前後に測ることを推奨しています。
「一晩の睡眠や、一度の運動など、短期間で体重が減っている場合は体内の水分を消費しているということです。減った分はすべて水分で補ってください。」

佐保さんは続けます。「脱水症状は、心臓の悪い方にも負担になります。他のさまざまな疾患にも悪い影響を及ぼすので注意が必要です。」
体重が減った分は、こまめに飲んで補給する。1.5kgの減少であれば500mlのペットボトルを3本飲む。数値化しておけば、闇雲にたくさん飲むということもありません。具体的な量がわかるので、安心して補給できますね。


循環器系の前兆が出やすい
体温と脈拍は、体調管理に重要なポイント


「スポーツ事故は、循環器系の問題が多くの割合を占めます。その循環器系の問題は前兆が起こりやすい。この前兆を見逃さない、変化を見逃さないとことが重要です。」佐保さんは、体温と脈拍のベースラインを知ることで、この前兆が見えてくると言います。

まず体温。朝は基本的に低めになるようです。35℃台もめずらしくない。
「いつも35℃前半の人が、35.9℃や36.1℃という数値になったら気をつけたほうがいい。最近は新型コロナでもよく言われている、37℃以上で危険というのは一般的な数値であって、それぞれの方のベースラインからの変化を見てください。」

脈拍にも変化は現れると言います。睡眠不足やストレスを抱えていると、如実に脈拍に出るのだとか。体調が悪いときは脈拍が高くなる。しっかり寝られていて休めているときは、低くなるそうです。「脈拍は人それぞれでベースラインが全然違います。それを知っておかないと体調管理はできません。」佐保さんは繰り返し、ベースラインを知ることの大切さを伝えてくれます。



生活のパターンからでてくる
主観的なサインもお見逃しなく

プロスポーツ選手でも体温と脈拍に体調が現れるようです。
「海外遠征の時差ボケは9割の確率で、体温と脈に出るんです。だいたい4、5日すると数値が落ちる。すると時差ボケが抜けたとわかるんですよね。」アスリートもごまかせない体温と脈拍。やはり信頼できそうです。

佐保さんは体調管理できるウェアラブル端末の利用もおすすめしています。
「Apple WatchやFitbitなど、コロナ禍でみなさんに馴染みやすくなった。心電図も測れる。血中酸素濃度のSpO2※もわかる。いままでプロのためのものが一般的になり身近になった。」コロナで話題のSpO2の値でも体調を測れるんですね。

※SpO2とは
パルオキシメーターを通して計測する動脈血酸素飽和度のこと。
動脈の赤血球中のヘモグロビンが酸素と結合している割合をパーセンテージで示す。

酸素の大部分は血液中のヘモグロビンと結合して全身に運搬されるため、
この動脈血酸素飽和度をみることで酸素がどのくらい血液中に供給されているかを確認することができる

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佐保さんは、こうした客観的数値に加えて、ご自身の感覚で捉えることの大切さも説いています。今日の食欲や、睡眠の質。朝起きたときの感覚や、夜中に起きた回数など。ご自身の生活のパターンの中で出てくるサインにも変化があるので、主観もとても大事だということです。

主観と客観的な数値から、運動をするのかしないのか判断する。数値の変化から “ちょっと疲労が溜まっているのかな”と、軽めの運動に切り替える。ぜひこの夏から、体重、体温、脈拍の3つのベースラインを体調管理に加えてみてくださいね。


ニトリートのアプリでは、さまざまな身体のケアに役立つコンディショニング動画を紹介しています。そちらもご参考にしてください。


詳しくは下記画像をクリック↓

アプリ『NITREATサポート』

アプリリーフレットキャプチャ


POINT
・体重、体温、脈拍のベースラインを知る
・ベースラインは人それぞれで違うので、自分の数値を知る
・客観的な数値だけでなく、主観的な感覚も大切に


次回は、ウオームアップ&クールダウンについてお伝えします。

おたのしみに。(9月配信予定)

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