不登校にするにはどうすればいい?
ある共通点
年度末が近づき、一年間が終わろうとしています。私が勤務する中学校では、いわゆる不登校の子どもと保護者の面談が近頃たくさん行われているそうです。
私は勤務時間の関係もあり、同席することはできませんが先生方が情報共有する話し声は職員室にいると聞こえてきます。そこで聞いていると不登校の保護者にはある共通点がありました。
もちろん大々的に調査したわけでも、インタビューを複数したわけでもないので、データとしての信憑性はかなり低いですが、いまのところ100%です。6名中6名。
不登校のお子さんをもつ保護者の特徴、何だと思いますか。
考えながら読み進めてください。
私は中学校の別室登校を担当し支援するのが仕事です。ただ不登校問題は起こってからの対処だけでなく、予防も合わせてしていかないと数は増え続けるのかなとも思っています。
そこで参考になったのは、ひきこもり専門の精神科医である斎藤環さんの本、「自傷的自己愛」の精神分析です。自傷的自己愛をもつ人とは簡単に言うと、言葉で自分を傷つけて続ける人です。
「自分がダメなことは自分が一番知っている。」という価値観のもと、他人からの言葉を拒絶し続け、自分を否定し続けます。
よく言えば向上心が高いということでしょうか。日本人の謙遜しすぎる文化にも通ずるところがあります。特に子ども時代は、自分で自分のことを褒めると、「ナルシスト」とからかわれる危険性があるため、自分を否定することは、割と違和感がないようにも感じます。
私はこの価値観や風土が不登校を増やし続けることの原因の一つだと思いました。謙遜をよしとする日本文化。
努力の天才と言われるイチローさん。もちろん素晴らしい方ではありますが、彼の成功エピソードは「自分をまだまだと否定し続けることが素晴らしい」というようにも捉えられます。
ビックマウスの本田圭佑さん。もちろん素晴らしい方ではありますが、これもまた「才能がないなら、やれることを全部やれてないとダメな人間だ」というようにも捉えられます。
「夢を諦めない」という道徳的に語られるこのエピソードは、私の心にも恐怖として刻まれました。こんなにも成功した人たちがこんだけ努力しているんだから、私なんて全然ダメだ。
そうです。私も自傷的自己愛をもった人でした。斎藤環さんも本の中で言っていますが、健全な自己愛なら何ら問題はありません。
自傷的自己愛をもっていても、私はひきこもりにはなりませんでした。学校で一人きりな時期もありましたし、苦しい体罰も(笑)あったときですが、引きこもろうとは思いませんでした。
何が違ったかと言うと、親のあり方です。斎藤環さんはこの自傷的自己愛について「親の育て方」も大きな要因になり得ると言っています。そしてその親御さんの特徴は・・・
冒頭申し上げた特徴と同じでした。
さて、何でしょう。まだ言いません笑。もう一度考えてください。
不登校決定要因
キングコングの西野亮廣さんは様々な新しいプロジェクトを立ち上げています。ファンの方は知っているかと思いますが、仕事は芸人、絵本作家だけではないのです。
その西野さんは「成功する道は複数ありどれが当たるか分からないけれど、これやったら絶対にアウトだなということには共通点がある」と言っています(内容記憶なので、文言は正確には違うかも知れません)。
つまり失敗が何かを考え、それを避けるように組み立てるということです。
この話から私も考えてみました。
仮に「我が子を不登校にしようと思ったら何をしなきゃいけないか」
不登校にするためには絶対にはずせないということがあれば、それは不登校決定要因となります。逆説的にその行動だけはしないよう心掛けるだけでもある程度の不登校は防げるのではないかと。
これもやれ、あれもやれだと親御さんも苦しくなりますが、「これだけはするな」ならなんとか保てるかなと笑
では、考えてみてください。
あなたのお子さんを不登校にしようと思ったら何をしなきゃいけないか
いいでしょうか。
ちなみに、私が考えたことは、冒頭の親御さんの特徴と一緒でした。
シンプルです。
子どもを否定し続ける
「こんな成績じゃだめだ。分からないところをなくすまでやれ!」
「字が汚い!きれいになるまでやり直しだ!」
これは分かりやすい言い方です。こんな風にいうのはさすがに居ないと思いますが・・・
「90点。あぁー残念。これだけできれば100点なのに。」
「うーん。読みにくいなぁ。これとこれ、なんて書いてあるか分からない。」
どうです?言ったことありませんか?
もちろん一度も言ってはいけないというわけではないですよ。頑張りが認めらず、指摘がずっと続くのが危険だと言うことです。
でも、親御さんの気持ちも分かるのです。期待してしまうんですよね。頑張ればできるはずだ!と。成長してほしいですもんね。
結果として、その思いは子どもには理解できず期待している親御さんの言葉と不登校にしようとする親御さん(実際にはいないと思いますが)の言葉は同じになってしまうのです。
まとめ
「〇年生ならこれくらいできなきゃ」
この価値観。これがあるとこういう発言になりがちです。
冒頭の親御さんはその子の現在を見ているのではなく、〇年生というラベルでその子を見ています。だから必然的に否定の言葉になりがちになると思います。
そして学校の先生も言いがち。というか先生の方が言います。学習指導要領に〇年生ではこれを勉強し、身に付けるというのがありますからね。
するとどうでしょう。心が成長し固まっていく時期に、親からも教師からもダメだと言われると、子どもは自分がダメだということに確信をもちます。
間違ってほしくないのは、不登校がダメだということでもなく、不登校の子をもつ親御さんがダメだということでもなく、これしたら必ず不登校になるということでもありません。あくまでも共通の特徴が見受けられたということです。
不登校はお子さんも親御さんも非常に大きなエネルギーを使います。積極的不登校の場合はともかく、不登校になりたくないのになってしまう事例を少しでも減らしたいという思いで記事を書きました。そのためには、お子さんを否定し続けることは避けた方がよいのではという提案です。
最後までお読みいただきありがとうございました。何かの参考になれば幸いです。素敵な一日をお過ごしください。