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教員の給与改定

給与改定

今朝、文部科学省がまとめた教員の処遇改善案のニュースを見ました。その記事によると、残業代の代わりに支給されている教職調整額を4%から13%に引き上げるとのことです。

教員の働き方問題に関しては以前から散々議論がなされ、教員だった私も「上がるといいなー」と思っていました。それがついに現実味を帯びてきたようです。

この改善案の目的は教員のなり手不足。処遇改善により、人材の確保をめざすと書かれています。

背景には教員の長時間労働があり、教員の採用倍率は00年の12.5倍から23年は2.3倍まで落ち込み、各地で教員を補充できないという「教員不足」が起きているとのことらしいです。

さて、この情報を見てあなたはどうお感じですか?ぜひコメント欄で教えてください。

現場の教員が思う現場

この記事の論理が私的にはあまりピンときません。現在起きている問題は、教員不足。

教員が足りない。それは長時間労働であるから。そのためなりたいと思う人が2.3倍まで落ち込んでいる。だから給与を改定して、残業代にあたる部分をたくさん支給しよう。

これが記事の論理です。「ん?」っていうところがあります。

仮に想定通りだとしましょう。「お!教員の給与があがる!よし!教員やろう!」と希望者が増えるとします。採用倍率が00年の12.5倍にまでになりました。よりよい人材が確保できそうです!

???

で???

どこから新しい教員は補充されるの?

教員不足の問題はどう解消されるの?

そう。採用倍率が低いということは現場の悩みとつながっていないのです。全国には採用倍率が1を下回っている自治体もあるので、そういった自治体はこの給与改定で問題が解消されるかも知れません。

採用倍率が1倍以上なのに、教員不足なのです。きっと不適格な人もいるので、募集人数分採用とはならないかもしれませんが、基本足りないのであれば採用するという方法ができるのです。というかどうしてしないの?笑

学校現場には正規職員だけでなく、常勤講師という人が多くいます。この方達は採用試験に合格していないか、退職した方達です。

そう。教員免許さえ持っていれば、採用試験に不合格であっても現場で働けるのです。というか働いているのです。そして現場の問題とは、こういった方達が働いていても教員が足りない。

きっと本当の狙いは、教員免許を持っているが教員をしない「潜在教員」と呼ばれる人たちを呼び出すことです。大学で単位をとり教育実習もこなしたうえで、教員をしていない人。文部科学省も「潜在教員の活用する」と言っています。

では、その潜在教員の方達はどうして教職をしないと思いますか?

昔からの夢なら、そもそも教員養成課程に通いませんよね。そうでなくても教員免許をとるためには単位を余分にとらないといけないです。

となると・・・

①教育実習で違和感を感じた
②教員をしてから違和感を感じた
③おまけでとっただけ

くらいかと思いますが、そのうち給与が上がったからやろうかなと思う人はどれほどいるでしょうか。

・・・

ものすごく少ない気がします・・・

だって、たぶん給料が低くてやっていないという理由じゃないから。それ以外の部分に惹かれて、それ以外の理由でやめていくと思います。

私も教員をやめていますが、お金が理由ではありません。むしろたくさんいただいているなと思っていました。

給与改定で現場に人が足りる日を楽しみにしています。

お客様感覚

給与改定が楽しみと書きましたが、実は心配もしているのです。給与改定のニュースが世間をかけまわっているからです。

学校に関しては親自身が直接お金を払っていません。だからこれまで先生にお願いしているという立場でした。いや別に今も、変わってはいないんですよ。

ただ学校の先生の給与が上がったというニュースは、先生は忙しいけど給料をたくさんもらっているという風に捉えることもできます。また、残業代にあたる部分が上がったということは、「勤務時間以外にも対応してもらえる」と捉えることもできます。

こう捉える保護者がいるのではとも思うのです。

もはや世間で認知されているモンスターペアレントという存在。過剰な対応や無理な要求をする保護者の方のことです。ただこの過剰とか無理というのが個人によって違うのが難しいですよね。

実際に要求している保護者からすると、「無理な範囲」とは思っていないことと思います(実際には聞いていないので分かりませんが)。無理な範囲かどうか常識の範囲かどうかは親に委ねられるからです。

日本はすごくサービスが行き届いています。だからサービスを受けることに慣れています。というか当たり前だと思っています。お金を払っているお客という立場だからいいサービスを受けるのは当然。そしてお金をたくさん払う量が多ければ、たくさんいいサービスを受けられる。そんな感じです。

先生は仕事。お金をたくさんもらっている。だからよい対応、よいサービスを受けるのは当たり前。そんなお客様感覚が保護者にあるのではないでしょうか。その感覚は子へも影響します。

ちょっと叱られたら「怖すぎる」
ちょっと指摘したら「個人の自由」
気に入らないグループなら「やりたくない」
上手くいかなかったら「やりたくない」

自分で努力することを放棄し、不満、愚痴を言い、先生に対応を委ねる。自分ができないのは先生や同級生のせい。そして保護者も同意し、先生に責任を押しつけ、対応を求める。

大丈夫かな・・・。

いい人ほど

そして、実は一番心配しているのは、教師自身です。現場教員には、大きく分けると2タイプに分けられます。

①仕事で時間を決める人 ②時間で仕事を決める人

①の仕事で時間を決める人とは、自分のやるべきこと(やるべきだと思っていること)が終わるまでやる人です。職人に多いタイプ。自分のやるべきだと感じる量が少なければ定時で帰るし、終わらなければ深夜までやる感じです。

②の時間で仕事を決める人とは、勤務時間で仕事を頑張る人です。サラリーマンに多いタイプ。優先順位を決めて大事なことからやる。勤務時間内でできないことはしないか、工夫してなんとかするという感じです。

当然心配しているのは、①のタイプの人です。もっと詳しく言うと、若手の①のタイプ。中堅以降で①の働き方をしている人は、結構それ自体を楽しんで行っていると思うので、それはそれでいいと思いますが、若手は違う場合もあります。

つまり、先輩からそういうプレッシャーを受けて、そうせざるを得ないことです。これまでもそういうのはありますが、これまで以上に「残業代分もちゃんと出ているのだから」という圧力を受けそうです。しかも絶対に残業代を受け取らなければいけない。

となると、逆に「残業しないとなんか悪いな・・・」という気持ちにだってなるかもしれません。特にいい人ほど。

そういうタイプは頑張りすぎてつぶれちゃうんです。つぶれればまた教員が足りなくなる。この繰り返しです。

お金じゃない

結局、残業代がでないことが現場の教員からすると、問題ではないのです。仕事量が多すぎることが問題なのです。

しかも仕事は、保護者、子ども、管理職からの要求、期待が大きくなればなるほど増えます。現場の教員は仕事量や責任の割には、もらっている額が少ないと感じています。やっている量や責任が多かったり重かったりするのです。

残業代の問題も大切です。そこは議論すべき問題だと思います。しかし最優先ではないし、教員不足の最大の原因でもない。

教員は子どもとふれあい、子どもの成長を直に感じられる素晴らしい職業です。その魅力を教師がもっと実感できるようにしていくことの方が優先事項だと思います。

ぜひ保護者の皆様も教員の給与が上がったからといって、要求度合いを増やすことのないようにお願いします。

※要求するなということではありません。必要なことは相談のもと、交渉して要求していきましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。何かの参考になれば幸いです。素敵な一日をお過ごしください。

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