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あなたの朝食なんて予約されてないわよ。

仕事や旅行でアメリカのホテルに泊まることがしばしばある。

日本にいた頃はヒルトンだ、シェラトンだ、マリオットだ、なんてホテルはきっとラグジュアリーなアッパー層が使う自分とは余り縁のないホテルであって、
温泉やサウナが付いているかどうかでしかホテルを選ばない僕なんかはドーミーインやらアパホテルで十分満足していたし、カンデオホテルなんかに泊まった日にはもうそれで旅の目的を達成した位に大満足であった。

ただアメリカではマリオットやヒルトンとかは至って普通のホテルであり、日本で感じていたようなラグジュアリーな感じは全くと言っても良いほどにしない。

特に日本で当たり前の様に享受してきたホスピタリティなんかは一様に皆無で、
東京五輪招致の時の滝川クリステルが言っていた「おもてなし」は本当に特筆すべき日本の精神性であり文化であると感じるし、またこの時のこの言葉のチョイスの的確さ(端的でありこれ以上ない程に日本を表現していると思っている)を、こちらにいればいるほどに実感している。

日本では、良いか悪いかは置いておいて、お客様は神様です精神が少なからず残っていて、最大限にお客様の為に務めることが当たり前の様な雰囲気があると思う。
サービスを提供する側に立てばシンドいことも多くなるが、サービスを受ける側からすればこれ以上なく快適に過ごすことが出来る。それが日本という国である。
そんな温室で育ってしまった僕の様なスネ夫みたいな人間が、アメリカなんかに来るとホスピタリティのあまりの低さに愕然とすることになる。

先日泊まった星付きのそれなりに良いとされているホテルでは、朝食ビュッフェ付きで予約していたがシステム的な不具合なのかわからないが、とにかく僕の朝食は予約されていなかった。

ホテルのフロント女性は予約されていないのに要求してくるジャポネーゼに苛立ち始めているし、
こちらはこちらで予約されていますが何か?の雰囲気を出して交渉する。

実際、僕は予約時に確実に選択した自信があったし、Trip.com上の予約確認画面には朝食付きと出ていた。

何ならサウナ付きということで喜び勇んでこのホテルにしていたのに、肝心のサウナ室の温度はあらゆるスイッチをいじっても温度は変わらず、外気温と全く変わらない。
何のためにこのホテルにしたんだと前日の夜に意気消沈していた僕だった。

アメリカあるあるだよな、まぁ良いか、とサウナは諦めて寝た翌朝の朝食が今度は予約されていないという。

彼女: あなたの朝食は予約されてないわね。残念よ。

僕: そんなことないよ。予約はしているんだ。ほらここにに朝食付きって書いてあるでしょ。

彼女: そんなこと言われたってこちらのシステムには入っていないもの。朝食は別料金よ。

僕: いやいや、何で二重で払う必要があるのかわからない。そちらのシステムの問題なんだからそちらで調べてくれよ。

彼女: だからあなたのは登録されてないのよ。私にはわからないわ。

彼女: … (怒りの表情と仕草)

僕: …(何をそんなに怒っているの?僕は事実を言っているだけなんだよベイビー、の表情)

彼女: …  朝食チケットよ。

あらゆる事が本当に上手く進まないのがアメリカである。
原因は様々あるが、とにかく予定通りに綺麗に物事が流れない。
ただ、それらをいちいち気に病んでいたらこの国では決して生きていけない。きっとストレスで爆発してしまうことだろう。

サウナは結局動かなかったし、予約していた朝食は付いていないし、それを伝えるとなぜか受付はキレてくるし、何なら部屋のシャワーはいつまで経っても水しか出なかったし、スマホを充電しようとコンセントに刺してもうんともすんとも言わないし、とても星付きホテルとは思えない。

日本では星の数なんて関係なく、ほぼあらゆるホテルや旅館のスタッフはホスピタリティに溢れている。個別に見れば違いはあるかも知れないが総じてレベルは相当に高い。
いつまで経っても日本と比較してしまうのが僕の未熟な所ではあるが、気になるものは気になってしまう。

ただ、その後にいつも「まぁ、良いか。」と言う様にしている。

出て来たネガティブな感情を抑えることはせずに、自然と出てくるものを正面から受け止めずに、「まあ良いか」と流すことにしている。

これがアメリカに限らず外国で生きていくコツなのではないかと思っている。

余談だが今空港でフライトの待ち時間にこの文章を書いているのだが、そう言っている側からニューヨーク行きのフライトが既に1時間遅れている。

でも、まぁいっか、だ。

怒った所で何も変わらない。


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