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トッド本人による『西洋の敗北』の要約

の記事がありましたので、リンクを貼っておきます。

トッドの今回の分析で一番勉強になったのは、通貨発行権の思わぬ弱点というか、間違った使い方です。

アメリカの現物生産という意味での産業力の不可逆的後退(GDP比で1/10以下のロシア相手に生産力で劣後している)を招いた一大構造が「ドル覇権」にあること、すなわち、アメリカを覇権国家たらしめた世界中の生産力を購入できる通貨(米ドル)の発行権を持っているということがアメリカを覇権国家から引きずり下ろす最大の原因であるということです。

資本主義経済を回すためには通貨発行権を駆使して資本主義のエンジンを回すことが重要であり、その財政出動を財務省とマスメディアを中心とした「ザイム真理教」が妨害しているからこそ日本は「失われた○○年」という状態にハマっています。

逆にアメリカは、通貨発行権を行使はしているものの、米ドルが世界中の生産力を購入できてしまう基軸通貨であることで、通貨発行権を行使して財政政策をすればするほどアメリカの産業が弱っていくという一見すると不可思議な現象が起きています。

これは米ドルの循環先がアメリカ国内ではなく国外に流出してしまっていることであると共に、アメリカ人にとっては実体経済で働くよりも財テク=金融で米ドルを回した方が高所得を得られるという、ブルシットジョブ・パラドックスがあり、そのため、アメリカ国内で実体経済部門からブルシットジョブ部門への「頭脳流出」が生じているからということでもあります。

コロナ茶番で財政出動にも経済を弱らせる悪しき財政出動があることが分かったように、通貨発行権の行使も「自国通貨が基軸通貨でない=他国の生産力を購入できないこと」という前提条件が必要であることが分かったのが大きな収穫でした。

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また、日本の進む道への提言も非常に良かったです。

今の日本に必要なのは「何もしないこと」というのは全くもってそのとおりだと思います。

今のアメリカは自国の覇権国家からの凋落を糊塗するためにユーラシア大陸沿岸部(東アジア、中東、欧州)で同盟国という名の属国を嗾けて戦争を押し付けることで覇権国家であることを表向きに演出しようとしています。

しかし、時間が経てば経つほどアメリカの凋落は不可避かつ不可逆的に進む以上、近いうちにボロが出ることは確実です(というかウクライナですでにボロが出ています)。

トッドの言う通り、ロシアが軍事的目標を達成して自動的に停戦する時がウクライナ戦争の終結の時であり、もはや停戦交渉は政治ショーでしかありません。

なのでアメリカは、属国(特に日本とドイツ)がアメリカの覇権から離脱することを防ぐために第二第三の「ウクライナ戦争」をでっち上げてくるであろうことは容易に予想が付きます。

そこで大事なのが、のらりくらりと言い訳をして「何もしない」ことです。

「休むも相場」というのはトレードの世界の金言ですが、これはトレードに限らず国際政治でもその通りです。

なので、今は日本の政治が機能不全に陥ることが現状における最適解であるとも言えます。

そういう点では、トランプが返り咲いた以上に、国民・れいわ・参政の三党の躍進で自民党連立政権が過半数割れしたことの方がはるかに重要であったと言えるでしょう。

日本の今後の大戦略としては、アメリカが自滅するまで同盟国のフリをしつつ「のらりくらり」戦略でアメリカの要求をかわし(できればアメリカの足をわざと引っ張ってアメリカ崩壊を促進させる)、「多極化する世界」の中で「大日本生存圏」といえる一極を日本独力で構築できるように自力の生産力(軍事力を含む)の再建に集中することです。

これから世界は面白くなっていきます。

中共の脅威という厄介な問題はありますが、しかし大東亜戦争での敗戦以来最大のチャンスが巡って来た時代であるとも言えます。

「この中で最も優秀なスタンドプレーを演じられた者が、この事件の勝敗を左右しそうだな」

という攻殻機動隊での隠れた名言を演じられるとても面白い時代と言えるでしょう。

戦国武士として武者震いができる時代に生まれて本当に運が良かったです。

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