garden in the city #1
私は大学で造園を勉強し、卒業後は、建設コンサルタント、造園設計事務所で、公園や屋外空間の計画、設計を行っていました。当時(約30年前)は、パソコンを使った設計(CAD)は普及し始めで、曲線が多く、樹木など不定形物を扱う造園設計は、まだまだ手描きの設計が主流でした。公園の園路を設計する際も、ドラフター(製図台)で、シャーペンやコンパスを使って直線、曲線を描いていました。3Dシュミレーションもまだ普及していない当時は、園路を描き、樹木やベンチ、池などを描き、そこを歩くと何が見えてくるかを脳内でシュミレーションしながら作図していました。
仕事以外で庭園を撮影する際は、三脚は使わず、歩きながら樹木や池、空が織り成す景観の変化を捉えています。これは、設計をしていたころの「脳内シュミレーション」の影響が少なからずあるのだと思います。街を歩きながら撮影する際も、角を曲がったり、坂を登ったりするとどんな景色が広がるのかとても興味が湧き、歩いては立ち止まり撮影することを繰り返しています。
2017年から、TAIWAN PHOTO Fairへの参加がきっかけで、台湾を訪れることが多くなりました。台湾は、暖かい気候のためか、台北などの都市でも、街中に榕樹(ガジュマル)や火炎樹(ホウオウボク)など大きな樹木がそこかしこにあります。そのため、街を歩いて撮影していると、建物の影から突然樹木が現れたり、軒下の大量の鉢植えに遭遇します。台湾は、街中が「庭園」に思えてくるようになりました。
Taipei, Taiwan, 2018 / © NISHIKAWA Yoshiyasu
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