『十三騎兵防衛圏』の思い出 傑作となり得ない良作
以前、評価が高い『十三騎兵防衛圏』をプレイした。
十三騎兵防衛圏は良作だった。
エンディングまで夢中でプレイした。
意表をつく展開の連続でカタルシスも得られた。
これだけ満足したゲームは久しぶりだった。
素晴らしい作品だった。
評価が高いのも肯けた。
しかし
終わった瞬間こうも思った。
十三騎兵防衛圏は傑作ではなかった。
10年経っても色褪せないゲームがある。
20年経っても色褪せないゲームがある。
この作品はそのカテゴリーに入らない。
入るほどの破壊力はなかった。
10年後、この作品を思い出す事はおそらく無い。
なぜだろう。
そうなり得る要素はあったはずだ。
でもならなかった。
なぜだろうか。
結論から言う。
感情が揺さぶられなかったからだ。
驚きはある。
感心もする。
でも感情がない。
救われて欲しい。報われて欲しい。可哀想。可愛い。かっこいい。嬉しい。泣ける。笑える。怒る。頑張れ。負けるな。好き。嫌い。
傑作とは感情を揺さぶる作品だ。
それがなかった。
絵柄のない巨大なパズルを完成させる。
何かは満たされるが、感情は湧かない。
驚きはある。
感心もする。
でも無表情だった。
無機質なキャラクター。
無機質な物語。
無機質な世界観。
感情の揺さぶりがあれば比類なき傑作だった。
現実はそうならなかった。
正確に言えば、なり得なかった。
感情の揺さぶりを入れれば
キャラクターを深掘りすれば
この大きすぎるボリュームが
さらに膨大になる。
膨大になるとテンポが悪くなり
驚きの連続も消え失せる。
どれだけ予算があろうと
どれだけ人員を割こうと
避けられない。
これでよかったのだ。
無機質で壮大で荘厳な建築物。
それ以外の形はなかった。
限りなく傑作に近い良作。
十三騎兵防衛圏はそういうゲームである。
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