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【表現評論】涼宮ハルヒの憂鬱(原作) コアレビュー その4 第3章【再読】

●涼宮ハルヒ、その他作品、様々なネタバレが含まれます。

●前回の記事

●みくるちゃん復帰

バニーガール事件から1日経って復帰したみくるちゃん。なぜ休んだかは謎です。部室はオセロ会場となり、作ったホームページも全くカウンターが回っていないという。出だしから何も起こらずにつまづいてます。まあ待てよ。物語ってのは一回落としてから上げるんだよ。みくると長門がオセロをやっているシーンがありますが、なんとなく気まずい雰囲気に。この人たち、明らかに利害関係が対立してそうだよね。宇宙人と未来人は相容れない存在。

⚫︎小泉登場

謎の転校生として超能力者である小泉君が登場します。爽やかイケメン。部室に来るなり、長門とみくるが何者なのか察している雰囲気があります。多分未来人と宇宙人だけではなく、超能力者も利害関係が対立している。敵同士がSOS団に集まるという構図になっています。長門(情報統合思念体)はハルヒに自律進化の可能性を見出している。小泉(超能力機関)は現状の世界を壊さないように活動している。よくわからないのはみくるなんですよね。未来人が何をしにきたのか、憂鬱内ではほとんどわからない。やっぱりみくるが一番謎。生活も謎で目的も謎。全てが禁則事項。おまけになんちゃって女子高生っぽいし。なんちゃって女子高生といえばガンガンのあの作品を思い出す。

ハルヒが二人を紹介する時のセリフ。

「あっちの可愛いのがみくるちゃんで、そっちの眼鏡っ娘が有希」

涼宮ハルヒの憂鬱 P.107

みくるが可愛いという描写がそこかしこに出てくる。気になるのはみくるは「みくるちゃん」、長門は「有希」、小泉は「小泉君」、主人公は「キョン」と呼ぶことです。小泉だけ仲間外れだろ。どう考えても、同級生は呼び捨てと思いきや、君付けだし。みくるは年上だからちゃんづけなのか。年上にバニーガールの衣装着せて好き放題してるんだから、呼び方に敬意が表れるということもないけど。

⚫︎長門の本

長門に貸した本を早く読めと催促されるキョン君。本の栞に今日の午後七時に公園で待つという趣旨の文言が書いてありました。どうやら長門は貸した日から毎日待っていたらしい。情報統合思念体に未来を把握する能力はないのか。それとも長門にないだけなのか。待ち合わせの場所に向かうと、長門の住むマンションに案内されます。ここで重大な転換点が訪れます。ハルヒ全体を通しての転換点は長門の自己開示と、朝倉の襲撃と、閉鎖空間に行くところですかね。

⚫︎情報統合思念体

長門はいきなり私と涼宮ハルヒは普通の人間じゃないと言い出します。

「この銀河を統括する情報統合思念体によって作られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース。それが、わたし」
「……」
「わたしの仕事は涼宮ハルヒを観察して、入手した情報を統合思念体に報告すること」

涼宮ハルヒの憂鬱 P.119

ここで長門の正体が判明します。なんかよくわからんけど宇宙人だと。仕事はハルヒを観察することだと。生み出されてから3年間ハルヒを観察してたけど、特に何にも起きなかったと。でもキョンが現れてどうも様子が怪しいと。そういうことです。

情報統合思念体は宇宙開闢の時から存在して全宇宙を把握する存在だから、まあ宇宙の意思みたいなもんでしょ。オーバーマインドとか波動存在と一緒。長門はオーバーロード。長門によると高度な有機生命体は地球にしか存在しないらしい。

「そして三年前、惑星表面で他では類を見ない異常な情報フレアを観測した。弓状列島の一地域から噴出した情報爆発は瞬く間に惑星全土を覆い、惑星外空間に拡散した。その中心にいたのが涼宮ハルヒ」

涼宮ハルヒの憂鬱 P.121

後のページで小泉はこの世界が3年前に作られた仮説を述べています。この長門のセリフを考えると信ぴょう性はありそう。長門が生み出されたのも3年前らしいし。

情報統合思念体は初めから完全な存在だったため、進化の余地がなく閉塞状況に陥っていると。それでとてつもない情報爆発を発生させるハルヒに自律進化の可能性を見出し、監視しているというのが、長門がここにいる真相です。

「涼宮ハルヒは自律進化の可能性を秘めている。おそらく彼女には自分の都合の良いように周囲の環境情報を操作する力がある。それが、私がここにいる理由。あなたがここにいる理由」

涼宮ハルヒの憂鬱P.123

宇宙人はハルヒが望んだ存在ですが、キョン君は何を望まれて存在するのか。ここでははっきりしません。そもそも作品内でもはっきりしないのでは。ただ長門は選ばれたのには必ず理由があると言っています。必ず理由があると言ってるんだから必ずあるんでしょう。個人的には暴走する自分に対する調整弁、あるいは日常の象徴として選ばれたんじゃないのかとは思ってます。根拠? ないよそんなもん。コアレビューに根拠はいらない(n回目)。

それをハルヒに直で伝えた方が喜ぶと言ってみますが、ハルヒが能力に自覚的になると危険だと帰ってきます。これは小泉も同じ見解だったはず。そらそうよ。

キョン君は本ばっかり読んでおかしくなった文学女が電波なこと言ってるよ〜と言いながら(言ってない)帰りました。普通に学園生活を楽しめよと。笑えば可愛いと思うのにと。長門にも可愛い描写きたな。みくるはしつこいほどあるけど。

⚫︎メイドみくるちゃん

部室に行くとメイドになったみくるちゃんがいましたと。とにかくメイドのみくるちゃんかわえ〜、みんなで一緒に愛でましょう以外に情報がない。途中でハルヒが長門のことを「有希ちゃん」と呼んでいるのが気になった。基本ちゃん付けしないでしょ。ここだけか?

最後にこの世の不思議を探しに行くぞと言ってシーンは終わりました。集合は明日の朝九時。遅れたら死刑。

おまけでハルヒがメイドみくるの姿をホームページにアップしようとしていたことが判明します。これはキョン君が全力で止めました。なんだかんだでハルヒってキョン君が強く言ったら聞き入れてんじゃないの。キョン君はメイドみくるを秘密フォルダに入れて個人用にしています。これが最後のシーンの伏線に。

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