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涼宮ハルヒの憂鬱(原作) コアレビュー

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原作一巻を再読した感想です
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【表現評論】涼宮ハルヒの憂鬱(原作) コアレビュー その0【再読】

今回は涼宮ハルヒの憂鬱の原作を読んでレビュー(感想)をやっていきます。扱うのはアニメでも漫画でもなく、あくまで原作1巻目の「涼宮ハルヒの憂鬱」オンリーです。 ⚫︎コアレビューってなんなのよハルヒから入ってくる人がいるかも知れないので一応補足。自分はもともとメモリーズオフという家庭用恋愛ADVのコアレビューなるものをやっています。これですよこれ。 このコアレビューはとあるコンセプトの元で書いている記事です。どういうコンセプトかは以下参照。 このメモリーズオフコアレビューの

【表現評論】涼宮ハルヒの憂鬱(原作) コアレビュー その1 プロローグ【再読】

⚫︎前回の記事⚫︎小説の書き出し涼宮ハルヒの憂鬱は全て主人公であるキョンの一人称視点が貫かれています。この一人称視点の軽快な語り口がハルヒの魅力の大きな部分を占めていると言っても良いですが、冒頭一発目からそれを余すところなく魅せてきます。書き出しがここまで有名なラノベはないんじゃないでしょうか。あるのかな。純文学だと色々あるけどさ。雪国とか、吾輩は猫とか。 せっかくなのでハルヒの冒頭を引用してみます。 まず目を引くのは、句読点がめちゃくちゃ少ねえことです。この長い文章の中

【表現評論】涼宮ハルヒの憂鬱(原作) コアレビュー その2 第1章【再読】

●前回の記事●学区内の県立高校キョン君の進学先は学区内の県立高校です。入学したてのホヤホヤ高校1年生。何県とは書いてないですが、少なくとも舞台が都道府でないことはわかる。いや、もちろん舞台になった場所がどこかは知ってるんだけど、作中で出てきてないので、知らないということにして進めます。学区内と言っているので、住所で受けられる高校が変わるタイプの奴ですかね。2003年当時にそんな制度を敷いていた地区を調べれば、ある程度は場所が絞られそうです。えらい山の上にあるということだけど、

【表現評論】涼宮ハルヒの憂鬱(原作) コアレビュー その3 第2章【再読】

●前回の記事⚫︎部活を作るネクタイを鷲掴みにされて部活作りを強要されるキョン君。逆壁ドン的な。ハルヒの方が頭ひとつ分小さいけど。その手の人には刺さりそうなシチュエーションです。 ⚫︎同好会の規定創造的かつ活力ある学校生活。いかにも学校が作る文章っぽくて良い。学校というワードを除けばSOS団に当てはまりそうな内容ではある。しかし予算が配分されないなら会を発足する意味があるのかわからない。この手の部活ってどのくらい予算が配分されるものなんですかね。一般的な文芸部とかどのくらい予

【表現評論】涼宮ハルヒの憂鬱(原作) コアレビュー その4 第3章【再読】

●前回の記事●みくるちゃん復帰バニーガール事件から1日経って復帰したみくるちゃん。なぜ休んだかは謎です。部室はオセロ会場となり、作ったホームページも全くカウンターが回っていないという。出だしから何も起こらずにつまづいてます。まあ待てよ。物語ってのは一回落としてから上げるんだよ。みくると長門がオセロをやっているシーンがありますが、なんとなく気まずい雰囲気に。この人たち、明らかに利害関係が対立してそうだよね。宇宙人と未来人は相容れない存在。 ⚫︎小泉登場謎の転校生として超能力者

【表現評論】涼宮ハルヒの憂鬱(原作) コアレビュー その5 第4章【再読】

●前回の記事⚫一番短い章?一番かどうかは定かではありませんが、相当短い。一瞬で終わる。SOS団で集合してみくると話しして長門と図書館に行くだけ。終了。 ●服装の描写が多い休日に駅前に集合ということで、みんな私服です。なので服装の描写が多い。ハルヒはロンTにデニムスカート。みくるは白いノースリーブワンピースに水色のカーディガン。小泉はピンクのワイシャツにブラウンのジャケット。長門はセーラー服。長門はセーラー服が私服と言っても過言ではない。一番描写が長いのはみくる。とてつもなく

【表現評論】涼宮ハルヒの憂鬱(原作) コアレビュー その6 第5章【再読】

●前回の記事⚫︎ハルヒの不機嫌が増大お出かけイベントの後からハルヒの不機嫌が増大しているとキョン君が分析してます。何も目新しいことが見つからないからなのか、他の何かがあるのか。 ⚫︎古泉の自己開示宇宙人の長門、未来人のみくると来て、超能力者の古泉が最後に自己開示してきます。超能力者は「機関」に所属していて、地球上に10人ほど存在すると。超能力者が10人ほどであることはわかりますが、機関の人間がどのくらいいるかは不明です。機関の目的はハルヒを監視すること。すでに機関のエージェ

【表現評論】涼宮ハルヒの憂鬱(原作) コアレビュー その7 第6章【再読】

●前回の記事⚫︎みくる(大)みくるの呼び出しで部室に向かうと、もっと未来からきたみくる(大)と遭遇します。みくる(大)にとってはキョン君と会うのは久しぶりだったようです。みくる(大)の年齢もみくる(小)の年齢も分からないから、何年会ってなかったかはわかりませんが、そんなに短くない期間であることは間違いなさそう。みくる(小)の実年齢は17歳より下である気がするので、みくる(大)が仮に22歳だとしたら、7〜8年は経過してる可能性がある。みくる(大)は本人アピールで胸のほくろを強調

【表現評論】涼宮ハルヒの憂鬱(原作) コアレビュー その8 第7章【再読】

●前回の記事●なんで俺?宇宙人はわかったと。未来人もわかったと。超能力者もわかったと。で、なんで俺? とキョン君は疑問に思います。不思議ヘンテコ存在達がハルヒに望まれていることはわかったと。なんで一般人の俺が巻き込まれているのかと。当然の疑問だけど、前回も言った通りキョン君はハルヒが望んだ楔だからね。長門は必ずあなたが選ばれたことには理由があると言ってましたが、理由はそれよ。ハルヒ自身が非日常へ乖離しすぎないようにハルヒによって選ばれた楔。なぜそんなものが必要なのか。ハルヒが

【表現評論】涼宮ハルヒの憂鬱(原作) コアレビュー その9 エピローグ(終)【再読】

●前回の記事●エピローグの必要性物語をどこまで語るのか、どこで終わらせるかは、ハルヒに限らずあらゆる小説アニメゲームその他エンターテイメント媒体では重要なことです。ものによってはこの話いるぅ? みたいなことにもなるわけで(いわゆる蛇足)、特に全てが終わった後の話を続けるのは難しいものがあります。 ハルヒのエピローグも完全に全てが終わった後の話を続けています。ここでは古泉、長門、みくると会話を交わし、休日探検隊をハルヒと二人で実施するところまでが語られていますが、個人的にはポ

【表現評論】谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』輪読会記録

はじめにとあるオンラインコミュニティで『涼宮ハルヒの憂鬱』を読む会を開催しました。この記事はその記録です。おまけとして、会の終了後にJoat Lab./いしじまえいわ『精読・涼宮ハルヒの憂鬱』を読んだ感想を記載します。 開催期間 2024年8月から2024年10月まで メンバー 原作既読:Takuma Kogawa、西住 原作未読(アニメ版も未視聴):蜆一朗、けろたん 合計4名 注釈や補足 会を企画したときは精読会としていましたが、実際は精読や解釈に重きをおいて