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本気になった男に金がなくても添い遂げる狂気と忍耐がお前にはあるのか

それは私が20代半ばの時のお話。
いつも遊んでいたクラブで、友達と楽しく踊っていました。
「ご馳走させて」と、色々な男性からお酒をもらい、「友達もいーい?」と、人の金で酔っ払うという、なんとも小ズルい遊び方をしていました。
一晩中遊んで、朝ご飯も帰りの電車賃もその日に出会った人に出してもらっていたので、いつも行きの電車賃しか使わない遊び。
まぁ無理矢理出させていたわけでもないし、お互い楽しく時を過ごせましたし!と、毎週末繁華街に繰り出していました。

大抵の人とは、その後も友達となり「今日はどこいるの?一緒に乾杯しよーよ!」などとやり取りのできる、良好な関係を築けていたと思います。

そんな楽しいクラブ遊びでは、好みの男性には視線を送りまくる私。
そしてあちらから声を掛けるようしむけます。
どれだけ視線を送っても、近付いても声を掛けて来ないのであれば、それは脈なし。
しかし、狩られる準備を常に整えていました。

ある時、長身の男性が目に留まりました。
なんか服装がダサい。
でも顔がタイプ。
じっと見ていると声を掛けられ、一緒に踊り、一杯ご馳走になり、連絡先を交換しました。

んー。
なんだかなぁ。
という感じで、その日は別のメンズ達と明け方まで楽しみました。

今日も楽しかったな〜♪と、ほろ酔い加減で帰路につき、ぐっすり寝て目が覚めると、その人から連絡が。

「昨日は楽しかった!ありがとう!今夜食事でもどうかな?」
うーん。面倒くさいような、、
なんか服変だったよなー、、
うーん。
まぁでも今日も休みだし、食事くらい行こうかなー、、

「こちらこそ昨日はありがとね!お誘いありがとう。是非♪」

そして待ち合わせ場所へ向かうと、バイクで現れる彼。
ん?なんだか昨日よりカッコいいような。
別に変な服でもないし。
昨日のは幻?

「お勧めのカレー屋があるんだよ!そこでいい?」
あら?お酒なしなのかしら?
派手な見た目に反して、マジでご飯で解散?
ここまで1時間以上かけてきたのにダイパ悪過ぎや。
と考えながらも、笑顔で「もちろん!」と答える私。

カレー屋さんに入り、素性を何も知らない私達は、年齢や出身地、家族構成やらなにならかにやらと自己紹介。
そして、驚いたのは彼はスポーツ選手だったこと。
当時まだ日本ではプロとしての年俸がとても低かったスポーツだったため、日本ではプロ契約していないとのこと。
ついこの間、アメリカでの契約を終えて帰国したと話していた。
そして、しばらくしたらまた別の国でプレーする予定だという彼。

飲み屋のお客さんで有名なスポーツ選手に会うことはあっても、クラブのホステスとしてではなく、普通の会社員の私としてスポーツ選手と食事をしたのは初めてだった。

そのスポーツがまだ日本では人気があまりないため、どうしたら稼げるかを試行錯誤しながら頑張っている彼に興味が湧いた。

食事を終え、少し話をして解散となった。
そこから連絡を取るようになり、とてもストイックな彼に惹かれるようになった。

そして、気が付いたら身体の関係を持つようになった。

彼とのデートは、彼の試合について行ったり、筋トレに付き合ったり、、
デートらしいデートはしたことがないかもしれない。
映画を観に行ったり、旅行に行くなんて事はなかった。
それでも、ひたむきに頑張る彼のために何かできるのならと、データ管理や食事管理などを手伝っていた。

それでも「付き合おう」と言わない彼に嫌気がさして来た時、唐突に「遠くに引っ越そうかな」と告げた。
その時「行くなよ。誰のものにもなるなよ。離れるな。俺の彼女になって。」と言われた。

嬉しかった。
もちろん返事はオッケーを出し、半年近くのセフレ枠を脱却した。
それからは、仲間内に彼女と紹介され、色々なところに連れ回され、「見せびらかしたいんだよ〜!」という彼。
私もそれが嬉しかった。

そしてしばらくして、「海外での契約が取れたから、一緒に来て欲しい」と言われた。
その時私はキャリアチェンジし、将来に向けて新たな階段を登り始めていた。
彼と一緒にいたい。
でも男に振り回される人生を歩む女になりたくなかった。
恋愛を楽しみながらも、自立し、依存しない女になりたかった。
「帰ってくるの、待ってるね。」
と言って送り出した。

寂しかった。
一緒に行きたかった。
でもそんな事するダサい自分になりたくないと、会いたい気持ちを振り切った。

海外からよくSkypeを掛けてきて、その度に「契約金でちゃんと生活させてあげられるから、一緒にいて欲しい」と言われた。
何度言われても我慢した。
毎日航空券を調べていたし、うまくいきますようにと毎朝神社へお参りに行った。
彼のことで頭がいっぱいだった。

しばらくしてチームの契約が切れるから、隣国で契約を取ってくると連絡があった。

会いたい気持ちは強かったけど、やっぱり私はここで踏ん張って、手に職をつけるべきだと自分に言い聞かせた。
そんな私は、目標に真っ直ぐで努力を惜しまない彼が好きで好きで仕方なかった。

彼が怪我をしないように、結果を残せるようにと毎日祈りながら、彼が将来に繋がる仕事が出来るようにと念じながら、私も仕事に精を出した。

日本を発ってから数ヶ月し「帰国するよ」と連絡がきた。
その間も毎日のようにメールや電話をしていたので、恋しくて仕方なかった。
帰国して、彼に会えるのがとにかく嬉しかった。

日本に帰ってからは、チームに入ることなくコーチのような役割を担っていた彼を精一杯フォローした。
側で応援できることがこんなにも幸せだなんて、、と、毎日本当に楽しかった。

そして彼の家に泊まっていたある日、朝目が覚めると彼の姿はなく、置き手紙が。
「トレーニングに行ってくる。昼には帰る!」
帰ってくるまでにこの荒れ果てた部屋の掃除でもしておこうかな。と、洋服を畳み、しまっているとメモ用紙が落ちてきた。
捨てていい紙かな?と思い、中を見ると女性の字で「もう付き合って3年だね。ずっとずっと大好きだよ。」と。
あのー。
昔の女からの手紙放置してますよー。
と、呆れたけれど、何か違和感が、、

手紙に書いてある日付、、
先週、、?
付き合って3年、、?
私まだ2年、、
どういうこと、、?
二股、、?

心臓が早くなるのがわかった。
女好きなのは承知の上だったし、多少の遊びは目をつむるつもりだった。
でも、、まさか私が浮気相手だったの、、?

男の人にルーズだった私。
彼に出会って、一切の男遊びをやめた。
両手に収まらないほどのセフレも切った。
彼の為に私の人脈も使ってきた。
全て、彼に寄り添ってきた。
信じてきたのに。

頭が真っ白になり、そのメモをテーブルに置いて帰宅した。
私が寝ていたあのベッドで、彼女と眠りについて、あの部屋で私より長く彼女と時を過ごしてきて、私は後から入ったんだ、、

呆然とし、しばらくしたらやっと現実が理解できてきて、友達に泣きながら電話をかけていた。

「どうしたの!?」
「あの人、彼女がいた、、」
「え!?どういうこと!?あんなに毎日のように一緒にいたじゃん!」
「わかんないよぉ、、」 
「とにかく話をしな。ちゃんと言い分聞いてみな。」

その電話の前からずっとかかってきていたけれど、取ることのできなかった彼からの電話。
やっとの思いで掛け直した。

「今どこ!?」
「もう帰ってきた。ねぇ、手紙見つけちゃったんだけど。」
「やっぱり、、帰ってきたらいないし、これが置いてあったから、、」
「どういうこと?」
「ごめん。こいつには金を貸していて、毎月返してもらってるから、完済するまで切れないんだよ、、でも彼女だなんてもう思ってない!仲間にもみんなお前が彼女だって紹介してきただろ!?信じてくれよ、、」
「信じる信じないというか、、そんな事を隠れてしていたとか、私に知られないように会ってたとか、、なんかもうどう落とし込んだらいいかわかんないよ」
「本当にお前が好きなんだよ!俺、ずっとこんなだから、金もないし、女に金かけたことなんてないけど、プレゼントあげたのもお前だけだよ!大切にしたいから、だから養えるようにってどうにか仕事を形にしたくて、、でも今まだ収入も安定しないから、あいつを切るわけにはいかなかったんだよ、、」
「そっか、、」
「別れるなんて言わないよな?結婚したい。ずっと一緒にいたいよ、、!」
「ちょっとまだ混乱してて。また連絡する。」
「わかった、、本当に好きだから。連絡待ってるから、、」

そして電話を切り、また呆然と脱力した。
プレーヤーとしては退き、自分の仕事はまだ軌道に乗っていない、手探り状態。
彼の話が本当なのであれば、確かに切るわけにはいかない人だったんだろう。
現に私も今お金を貸している。
20万円。
大した金額じゃないが、彼はそれほどお金に困っていた。

情けないが、その頃の私は、彼がもし失敗しても、私が食わせてやると思っていた。
だから、手に職を付けようと必死だった。
本気で惚れていた。
人生でここまで好きになったのは彼を含めて3人。
他にもいるんかーい。って感じだけど、とっかえひっかえ遊びまくっていた私が、自分のお金も時間も労力も全てをかけて支えようと思ったほど惚れていた男は数少なかった。

本当に好き。
信じることはできないけど、離れることもできない。
本当に大好き。
絶対に添い遂げると思っていた。
その覚悟が揺らぎ始めていた。

数日後「もう、全部わかったよ」と、連絡を入れた。
今まで通りの付き合いに戻そうと思った。
心がついていかなくなってしまい、考えることを放棄した。

でも、一緒にいてもこれまでみたいにただただ好きだという気持ちになれなくなってしまった。
離れている時間は、好きなことしてるんだろうなー私ではない女の子と。と、思うようになった。
彼のために何かしたいという気持ちが薄れたのに、それでも一緒にいると離れられないと思ってしまう。

大好きだけど、一緒にいては私がダメになる。そう思って、物理的に距離を取ることにした。

唐突に、彼に「私、沖縄に住む」と告げた。
東京に住んでる彼と、簡単には会えない場所に住もうと思った。
彼は大反対したが、どんなに言っても聞かない私に彼も首を縦に振るしかなかった。

そこまでしても別れなかった理由。
20万の回収。
金額的には、別にあげても良かった。
でも、男に金を貢いだという歴史が自分の中に残るのが許せなかった。
自分を嫌いにならないために、このお金だけは返してもらおう。
当時、残業代カットで実質600円くらいの時給でも、将来の為にとくらいついて頑張って働いていた私の努力の結晶を簡単にあげて、なかったことにしてはならない。

沖縄へ行き、住むところを決め、仕事を探してしばらくしてお金の話をし、返してもらい、別れた。

もう何ヶ月も会っていなかったのに、大きな喪失感があった。

本当に好きだった。
許せないこともたくさんあったけど、それ以上に楽しい思い出を作ってくれたと思っている。
でもそれは、やっぱ金返して貰ったからこうやって思えるんだろうなー。と。

やだわぁ守銭奴。照

めちゃくちゃ大好きだった彼と別れて脳みそが爆発した私が、気が付いたら彼氏8人とかになってたってのは、また別のお話♡


タイトルに戻ると、私はどれだけ好きでも、人から金借りる男は無理だったみたいです!
自営で金うめないなら、プライド守ってないでどんなバイトでもしろよ!(まっとうなやつ)って今の私ならその時の彼に言えるだろうに。

みなさんも貸した金は返してもらいましょう!
そして借りた金は返しましょう!
思い出をキレイなままにするためにも、、♡

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西崎 瑠璃
ポテトチップ以外にチップをもらえる日が来たのであれば、私はその御恩を松代まで語り継ぐことをここに誓います)^o^(⭐︎✳︎✴︎