見出し画像

十三について

普段は目を通さない新聞のテレビ欄に

「おしらせ」

があったのでおお!と思って行ってきました
伊丹十三映画祭。


好きか嫌いかで絶対に分けなければいけない
となれば「嫌い」

嫌い
とわざわざ言っておきながら補足すると
嫌いというよりは
表現の仕方に癖がありすぎてその部分がちょっとね

ということなのですが
「嫌い」だったとしても
喉に引っかかった魚の骨のように
とても気になる伊丹十三。

今回見てきた「お葬式」
が封切られた頃私はまだ9歳だったので
当時はもちろん
気になると言いながら
何故か今まで見たことがなかったのですが
この「お葬式」、

あー
この人誰だっけなーーーーー
絶対に見たことがあって知ってる人なんだけど


ずっと思っていた葬儀屋役の男が

江戸屋猫八

であるとエンドロールで分かって本当にスッキリした
江戸屋猫八は小学生の頃学校に来たことがある

ひょっとしたら金曜ロードショーなどで放送された時に
いくつかの作品を見たこと
があったのかもしれないけれど私は

マルサの女

を見た記憶しかなくてそれも

面白いけれどドギツイ

という小学生らしい感想を抱いたことしか覚えていない
マルサの女は息子に見せたら面白かろう
と思うのでこの機に連れて行ってみようか
と思っていたのですが今回「お葬式」を見に行って

ああ・・・
やっぱりこうだったよね
伊丹十三映画の「濡れ場」・・・

たしかどの映画にも
濡れ場と言うしかない濡れ場が
もれなく入ってくるのではなかったか。
(「お葬式」でのワンシーンも十二分にドギツイ
 と思ったけれど映倫ではG指定なのだな
 あのシーンをどの年齢層が見ても良いか
 というかどの年齢層が見ても楽しいか
 といえば、うーん・・・と言わざるを得ない
 昭和の頃のことは随分と遠いむかしばなしのようだ)


多感な年齢の息子と
うっかり見に行ったりしなくて本当に良かった
14歳の息子とドギツイ「濡れ場」を見に行くだなんて
そのシーンが「態と」「敢えて」のことで「必要」
だったとしてもどうにも気乗りがしない。
気まずいとかそういうことでは全くなくて
おそらく私は
そのことについて何も言わない、

ではなく何等かのかたちで確実に触れるだろうと思うし
(例えば
「ああいう性描写のことを特に濡れ場と言います」
 とかなんとか言う)
そもそも息子がああいうことをそういう描写で見せることを
今のところは好きではないことを知っている
まあいまのところは

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

知っていることをひけらかしたい訳でもないし
批評をしたい訳ではないので細かいことは書きませんが
いかにも小津的なテーマを扱って
小津的な台詞回しも敢えて採用した上であの
これは伊丹十三の映画である
としか言えない仕上がりになっている、
そのことは本当に素晴らしい


それらしいことも言ってみましたが
それはそれとして
息子と旅して飛んで歩いていたこの3年余りのあいだに
何度も伊丹空港を利用することがあったのですがその
空港から梅田に移動する最中

大阪モノレールから
蛍池で阪急宝塚線に乗り換えて
阪急梅田までの途中、大抵は急行に乗るので

蛍池
豊中

を経て次に停車するのが

十三

という駅
初めてその十三という駅名に気が付いた時

え??
うわ!
伊丹十三ってそういうこと?!!

と気が付いた時のことが忘れられない。
目から鱗がゴロリと落ちた。

だからアレです、
その一点だけでもう私は
伊丹十三を
好きなのだと思う。

伊丹十三の笑った顔
いいよね