ダイヤモンド型組織論について~SaaS企業が勝つための組織戦略モデル~
今日もどこかで組織が腐ってる
華々しい躍進を遂げるスタートアップが話題の中心を占める中、今日もどこかのスタートアップが志半ばでその道を降りています。
世間の目に触れる所謂「イケてる/勢いのあるスタートアップ」なんてものはほんのわずかであり、ほとんどはいつか日の目を浴びることを信じて泥の中で美しくもがいている。
そのもがきが限界に達すること、それは多くの場合事業が思うようにいかずに、キャッシュが難航し、あるいは組織の不和によって訪れます。
傍目に見ていたら世間の目に触れるような「イケてる/勢いのあるスタートアップ」ですら、内情では限界にほど近い場所でもがいているなんてことがほとんどで、それらは市況感や戦略によることもあれば、組織がボロボロで事業にまともに集中できないなんてこともあります。
どこかの会社がもがいているとき、事業が純粋に上手くいっていないという声はなかなか届いてこない一方で、組織崩壊の話は芸能ゴシップぐらいの速さで届いてきます。
事業の停滞というものは、スタートアップ特有の深くとがった領域での戦いをしているからこそ、上手くいっているのかいないのか自分ごとに捉えて情報を受け取るものが少なく、一方で組織の話は普遍的な話題だからこそ”界隈”の共通テーマとして流れてくるのでしょう。
それにしても、なぜこれほどまでに多くの会社が興味を持ち、多くの会社が苦しめられている組織の課題は一向に減らずに、むしろ本当に良いサービスやミッションだとしても足元をすくわれ苦しめられるのでしょうか。
なぜ組織から会社と社会を変えたいのか
さて、私の父は3度起業を失敗しています。
物心ついたころから家が豊かになったり貧しくなったりを経験し、一方で父がキラキラとした目で「このサービスは面白いだろ」と語る姿は誇らしいものがありました。
父は俗にいう人を見る目がない人で、騙されたり裏切られたりしながら失敗し、それでもなお立ち上がり新しいサービスをまた考えるとても豊かな人でした。
面白いもの、良いものを考えても「人と組織」を上手く形成できなければ何かを成すことは難しい、という事実は私が組織に興味を持つ理由として十分でした。
世の中を変えたい、豊かな革命を起こしたい人が人や組織で足踏みせずに大義を叶えられる社会
それこそが私の目指すものであり、スタートアップという世界はそんな大義を持つ人にあふれている場所だからこそ飛び込んだわけです。
なぜあの組織論は私たちの組織を救わないのか
少し話は逸れましたが、そんなスタートアップにおいて最高の組織のあり方を考えるべく、そのモデルケースとして「医療のあり方」に革命を起こすコントレアという組織で検証を重ねつつ、事業や管理側も見ています。
この会社を選んだこと自体は直観に近かったものの、改めて全ての人が関わることになる「医療体験」が豊かに変わることは、必ず日本も世界も根底から幸福になれる可能性がある、ということはとても意義のある場だと感じています。
なるべく世の中に出ている組織論に関する本や論文には目を通し、実践できるものを取り入れミクロに検証をしては外すということを積み重ねていますが、そのうえで現在いくつかの仮説を抱えています。
一つ目が「組織論の多くは中規模~大規模組織を舞台に語られていること」。これは仕組み化が進み理論を落とし込みやすい体制があることや、成功したときのインパクトを考えたときに当たり前で、研究はなるべく大きなインパクトかつ普遍性に近づけられるものに触れるという定石通りです。
二つ目は「日本における組織論の多くは労働集約型のモデルに沿っていること」。製造業の隆盛を中心としてきたこの国では、労働集約型のモデルでの経済成長が軸となっており、昨今経済の中心になりつつある人材やコンサルティングなどの業界もまた同様のため、これらの組織を元に語られることが多くなっています。そもそも組織というHR領域は人材ビジネスや組織コンサルティングなどの領域の人が「検証」し「モデル構築」を行っているためそれらに適合されたものになるのは当然と言えるでしょう。
三つ目が「組織の課題を予防する話よりも崩壊からのレジリエンス論が多すぎること」。これは事業成長においてモノ・カネ・情報に対してヒトに対する投資優先度が後回しとされがちで、整えるとすると最後になりがちだからというのがありそうです。そもそもこれらを切り離して独立で施策を考えるのではなく連携させるべきなのですが、基本的なそれぞれ別の専門家によって理論やモデルは描かれるため、別々で語られ、それゆえそれらには独立した優先順位がつくという構造だと考えています。
これらを前提としたときに、スタートアップ特に我々のいるSaaS企業のスタートアップにおいて既存の組織モデルが適応されてベストな事業活動に至るのか、ということです。
もちろん完全不一致ということはないですが、完全一致ということもなく、上手くいかなかったとしても最後は精神論に走るみたいなことが散見されます。
今回は私が考えた「SaaSスタートアップ、特にバーティカルSaaSに特化した組織論」について書いていきます。
組織の組み立てに課題がある、特に既存の組織論を当てはめて運営しているはずなのになぜかしっくりこないという方に届けば嬉しいです。
ダイヤモンド型組織論
ダイヤモンド型組織論とは?
そもそも今回お話する内容は、私が2023年に独自で考えた組織理論であり、その実用性を確かめるためにコントレアで検証し、整理、考察したものになります。
ダイヤモンド型組織論とは、組織内の役割とリソース配分を効果的に設計することで、業務の効率性と柔軟性を最大化する組織モデルです。
この理論は、組織内で最も多くの人員を中間層(ミドルプレイヤー)に集中させるという特徴を持っており、ダイヤモンド型の名前の由来は、組織の各層の分布がダイヤモンドの形に似ている点にあります。
頂点にトップ層(中長期の意思決定を行う経営層)、中央に最も人数の多いミドル層(比較的難易度の高いタスクをこなす専門職層)、そして底部にサポート層(難易度の低いタスクをこなす層)が配置されます。このモデルでは、各層が適切に役割分担をしながら、組織全体が効率よく機能します。
つまり、従来の組織モデルでは労働集約型を想定した「難易度の低いタスクを中心としたメンバーラインの数が売上に直結し、それらを管理する形でマネジメントが機能する」か、あるいはコンサルティングなどのように「独立した強い個がそれぞれ最大限の成果を残すことで組織が成長する分散独立型」かのいずれかで語られていたわけですが、SaaSなどはそうではなく「難易度の高いタスクが最も多くかつ売上に直結する」かつ、そのうえで難易度の低いタスクがないわけではなく、それらもまた誰かがやらなければならないという性質を組織として抱えているという考え方です。
コントレアを例に出すと、初期フェーズで意思決定層に近いメンバーを多く採用したものの、いわば「船頭多くして」に近い状態となり、事業停滞していたところから未経験者の採用を一気に進め組織形態をダイヤモンド型にしていく過程で事業は5倍以上に成長しました。もちろんこれはポジショントークであり、組織理論だけで伸びたわけではないのですが、おそらく組織運営のハンドルを切っていなければ停滞が続いていた可能性もありうると考えています。
ダイヤモンド型組織の構造
トップ層:中長期の戦略やビジョンの策定を主に取り扱う層。意思決定の重責を担い、全体の方向性を導きます。
ミドル層: 組織で最も多くの人員を抱える層で、複雑なタスクや専門性の高い業務を担当します。この層が組織の中心的な働きを支え、トップ層からの戦略を実行に移します。
サポート層: 難易度の低いタスクを担当し、ミドル層が集中して業務を進められるよう支援します。数はトップ層と同程度で、基礎的な業務を担い組織を支える役割を持ちます。
この構造の強みは、ミドル層に多くの人材を配置することで、複雑で難易度の高い業務を効率的に処理できる点にあります。また、トップ層とサポート層の人数をバランスよく配置することで、全体の役割分担が明確になり、各層が本来の業務に集中できる環境が整います。
SaaS企業におけるダイヤモンド型組織の適合性
ダイヤモンド型組織論は特にSaaS企業、そしてバーティカルSaaSにおいて、極めて有効だと考えられます。その理由は、SaaS企業が抱える独自の課題にあります。
1. 複雑な業務と専門的スキルが求められる
バーティカルSaaSでは、特定の業界に深く根ざしたソリューションを提供するため、専門知識が不可欠です。
例えば、ヘルスケア業界に特化したSaaS企業では、医療規制やデータセキュリティなど、非常に高度な専門知識が求められます。このような複雑な業務を効率的に処理するためには、ミドル層に専門知識を持った人材を多く配置する必要があります。ダイヤモンド型組織では、ミドルプレイヤーが多数存在するため、専門的なタスクを効率よく分担しながら進めることができ、各メンバーが本来のスキルを最大限に発揮できる環境が整います。
2. リーダーシップと実行力のバランス
SaaS企業は、市場の変化が激しく、技術革新や顧客ニーズの変化に迅速に対応することが求められます。トップ層が戦略に集中し、中長期のビジョンを持って組織を導くことは不可欠ですが、同時にミドル層がその戦略を現場で具体的な行動に移し、迅速に実行できる体制が必要です。
ダイヤモンド型組織では、トップ層は戦略立案に専念でき、ミドル層は実行力を発揮することで、リーダーシップと現場の実行力のバランスが取れます。これにより、トップダウン型の硬直した構造や、リーダーシップ不在の問題が回避され、戦略と実行の間にスムーズな連携が生まれます。
3.サポート層が基礎業務を支えることで効率性を向上
バーティカルSaaSでは、日々のオペレーションや基礎的なサポート業務も非常に重要です。ダイヤモンド型組織では、サポート層がミドル層を支える役割を果たし、基礎業務をしっかりとカバーします。これにより、ミドル層が複雑な業務に集中でき、全体として効率的な業務運営が実現します。
では、本当にこれらの効果は既存の組織モデルのなかでの発揮は難しいのでしょうか?
全て挙げるとキリがないので代表的に用いられやすい2つの型との比較をします。
既存の組織モデルとの比較
◆ピラミッド型組織の課題
従来のピラミッド型組織は、意思決定がトップから下へと伝達される階層型の組織構造です。トップ層が少数であり、下位層に向けて指示が伝えられるモデルは、大規模な製造業や伝統的な組織で一般的ですが、以下の課題があります。
トップ層への負担が大きい
トップ層がすべての意思決定を行うため、日々の業務にまで関与せざるを得なくなり、戦略的な判断が遅れることがあります。
中間層が薄い
ピラミッド型では、中間層が少ないため、トップ層からの指示を現場で実行するリソースが不足しがちです。つまり、実行部のメインは難易度の低いタスクによって収益を上げる構造でなければ成立しません。
◆ティール型組織の課題
ティール型組織は、自己管理や自律性を重視したフラットな組織モデルで、メンバー全員が対等な立場で業務を進めます。柔軟性と自己組織化を追求する点ではメリットがありますが、以下の課題もあります。
リーダーシップの不在
自律的に運営されるため、明確なリーダーシップが存在しない場合、方向性を失いやすくなります。特にバーティカルSaaSのように高度な専門知識が求められる業界では、戦略的な指示が必要不可欠です。
統制の欠如
フラットな構造は、自由な発想を促進する反面、統制が取れなくなるリスクがあります。プロジェクトの進行やリソースの最適化に課題が生じやすくなります。
改めて比較をすると、ダイヤモンド型組織は、これらの課題に対する解決策としても有効です。特に、環境の変化や新しいプロジェクトに柔軟に対応する能力が強みと言えるでしょう。この理論では、トップ層、ミドル層、サポート層からなる「ダイヤモンド型ユニット」を小規模なプロジェクトチームとして切り出し、個別のプロジェクトに適用することができます。これにより、複数のプロジェクトを同時に進行しながら、それぞれのチームが独立して迅速に意思決定し、業務を遂行することが可能になります。バーティカルSaaS企業は、複数のクライアントや異なる業界に対して並行してサービスを提供するため、この「ユニット化」の柔軟性は大きな強みとなります。
さて、これらを踏まえて結論をChatGPTに聞いた答えが下記になります。
個人的には最適、と言い切っていいものかどうかはまだまだ検証は必要な段階だと考えていますが、少なくともコントレアというモデルケースにおいてはこの形で組織運営をするようになってから露骨にそれぞれのパフォーマンスが上がり、育成のスピードも各段に上がりました。その結論を出すにはもう少し長い時間軸で見つめる必要がありますが、それでも少なからず現段階で一番フィットした組織の形式になっていることは確かです。
また、付け加えるとすると今回はあえて記事としてテーマを絞るために「SaaS企業」という絞り方をしていますが、おそらく多くのスタートアップあるいは成長期の企業において「労働集約型の仕組み化」に至る前段階であれば適用できるモデルなのではないかと見ています。こちらについては検証できていないため、もし読んだ方で実践してみたという方がいたら教えてください。
さて、ここまで簡潔にダイヤモンド型組織論という新たな形に対しての論理構成を書いてきましたが、まだまだ半信半疑の方のほうが多いかと思いますので、ここからは疑問に対して答える形でよりこの理論への理解を深めていきます。(協力:ChatGPTくん)
なんでSaaSにより向いている理論なの?
「ダイヤモンド型組織論」は特にSaaS系企業のような**高度な専門知識や複雑なタスクが求められる業界**に非常に適していると考えられます。以下の理由から、この構造は従来のピラミッド型組織よりもSaaS企業に対して効果的であるといえます。
1. 複雑なタスクを効率的に処理できる中間層の強化
SaaS企業では、ソフトウェアの開発やデータ分析、カスタマーサポートといった高度な専門知識が必要なタスクが多く存在します。このような企業では、日々の業務を推進するミドルプレイヤーが極めて重要であり、ダイヤモンド型組織では最も多くのリソースをこの層に割り当てるため、タスク処理の効率が向上します。
ピラミッド型に比べ、ミドル層が強化されるため、専門的な業務が円滑に進むだけでなく、トップ層が重要な意思決定に集中できるメリットがあります。
2.トップ層が戦略に集中できる
SaaS企業では、迅速な技術革新や市場動向の変化に対応するため、トップ層が中長期的な戦略や革新に注力することが求められます。ダイヤモンド型ではトップ層が余計な業務に巻き込まれることなく、ビジョンや戦略に集中できる環境が整っています。
ミドル層が日々の運用を担うことで、トップ層は市場の変化や技術のトレンドを分析し、戦略的な判断を行う余裕を持てます。
3. 複数のプロジェクトを同時に進行しやすい
SaaS企業では、複数のプロジェクトを並行して管理することが一般的です。ダイヤモンド型組織は、前述の通り、ダイヤモンド型ユニットを複数のプロジェクトに割り当てることができるため、プロジェクトごとに最適なリソースを配分することが容易になります。
各ユニットがプロジェクト単位で自立して機能するため、特定のプロジェクトの進行が他のプロジェクトに悪影響を与えることが少なくなります。
4. 高度な技術者や専門家の育成が容易
SaaS企業では、技術者や専門家の育成が事業の成長に直結します。ダイヤモンド型組織では、サポート層が基礎的なタスクを担当し、無理なく成長できるため、将来的にミドルプレイヤーやトップ層に昇格するためのキャリアパスが明確に設定できるという利点があります。これにより、優秀な人材が自然に育ちやすくなります。
5. 市場や技術の変化に柔軟に対応可能
SaaS業界は特に市場や技術の変化が激しいため、柔軟な組織体制が不可欠です。ダイヤモンド型ユニットを細かく分割して新しいプロジェクトに迅速に対応する能力は、変化の激しいSaaSビジネスにとって大きな強みとなります。環境変化に適応できる柔軟性が、SaaS企業における競争力を大幅に向上させます。
裏を返せば改めてSaaS以外の企業でも上記の特性を持っていれば、十分に有効な理論になりえます。
また、上記のように優秀な人材が育ちやすくなるという側面は割と強い確信度を持っており、これは事実この1年のなかでも未経験からの転職者がビッグディールを獲得したり、マネジメント出来るレベルまで爆速で業務能力を向上させたりとメンバーにより証明しています。
・・・
本当に??
いや、事実として成果は出ているかもしれないが、それは理論のおかげなのか?シンプルに採用が上手くいっているという話じゃないか?
ん?もしかして採用にも何か良い影響を及ぼしている可能性もあるか?
ダイヤモンド型組織論は採用競争力を強くするか?
「ダイヤモンド型組織論」は、SaaS業界においてこれまで課題だった経験者でないと採用が難しいという問題を解決する可能性が高いです。以下の理由から、ポテンシャルのある人材を採用し、育成してミドル層に引き上げることで、組織全体のパフォーマンスを向上させることができると考えられます。
1. 採用競合性の緩和
SaaS業界では、特に高度な専門知識や経験を持つ人材の採用競争が激化しており、優秀な経験者を採用することが難しい状況が続いています。しかし、ダイヤモンド型組織では、サポート層から段階的にミドル層へと引き上げる育成プロセスが組み込まれているため、必ずしも即戦力の経験者にこだわらず、ポテンシャルの高い若手や異業種からの転職者も積極的に採用できます。
これにより、従来の人材市場での競争から抜け出し、独自の採用戦略を実現することが可能です。企業独自の育成プログラムを通じて、未経験者であっても組織のルールや文化に合った人材を育成し、組織のニーズに合ったスキルを身につけさせることができます。
2. 企業独自の文化やスキルセットを強化
ポテンシャルのある人材を採用し、サポート層としてまずは基本的なタスクをこなしてもらいながら、徐々に自社のルールや価値観を学んでもらうことで、組織文化に合った人材の育成が容易になります。経験者を外部から直接採用する場合、その人材が他の企業文化に染まっていることが多く、適応に時間がかかる場合があります。
一方、ポテンシャルのある人材を内部から育成することで、企業独自のスキルセットや文化を早期に浸透させることができ、ミドル層に昇進する際にはすでに組織に完全にフィットした人材が育っています。これは特にバーティカルSaaS企業にとって重要で、業界特化型の知識やスキルを社内で養うことができます。
3. 成長過程でのスキルの最適化
ダイヤモンド型組織の育成モデルでは、サポート層が段階的に難易度の高いタスクを学び、成長過程に応じて業務の範囲が広がるため、スキルの最適化が図れます。特に、専門的なスキルが求められるミドル層へ昇格するまでに、組織のニーズや業務フローに合わせたスキルを獲得できるため、経験者を外部から採用するよりも効率的です。
このアプローチにより、企業は長期的に自社に最適な人材を育成し、より高いパフォーマンスを引き出すことができるようになります。
4. ミドル層の強化と柔軟な人材配置
ダイヤモンド型組織では、ミドル層が組織全体の中核を担っており、ここにポテンシャルのある人材を育て上げることで、複雑なタスクに対応できる人材層を増やすことができます。これにより、特定のプロジェクトや分野に応じて柔軟に人材を配置することができ、企業全体のアジリティ(俊敏性)が高まります。
経験者を採用し続けるハードなゲームルールから解放され、自社独自の人材プールを形成できるため、持続的な組織成長が見込めます。
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なるほど、これについては狙ったというよりは副産物として選択肢の幅を取れたことに起因するのですが、この1年間で組織の人数は倍以上になったもののヒトの問題で突破出来ないというものはかなり少なかった体感です。これは採用においてもダイヤモンド型を崩さないように順番を考えながら組織を増やしてきたことが少なからず影響していると考えられます。
ではこの理論に穴はないのか?
仮にここで「無い」と結論づけるようなのであれば理論なんて提唱しないほうが良いです。ある切り口における正義に対して反例も出せないのであれば、そんなものを発信するのはむしろ無駄に惑わす害悪です。
ここからはこの理論の課題についてChatGPTと私がそれぞれ考察していきます。
ダイヤモンド型組織理論の課題
「ダイヤモンド型組織論」の強みは多くありますが、いくつかの欠点や課題も存在します。以下にその代表的な点を挙げます。
1. 中間層に依存しすぎるリスク
中間層(ミドルプレイヤー)の人数が最も多い構造であるため、彼らのパフォーマンスが低下した場合、組織全体の効率や成果に大きな影響が出ます。特に、中間層が過度に負担を感じたり、モチベーションを失うと、全体の生産性が低下するリスクがあります。
中間層の管理が難しい場合、過労やバランスの崩壊が生じる可能性があるため、適切なモニタリングやサポートが必要です。
2. トップ層とのコミュニケーションの断絶
中間層が多いことによって、トップ層とサポートメンバーやミドルプレイヤーの間に情報のギャップや意思疎通の断絶が生じる可能性があります。これにより、上層部の戦略が下まで正しく伝わらない、または下からのフィードバックが上層部に届きにくい状況が発生しやすくなります。
ピラミッド型に比べて、情報伝達や意思決定のスピードが遅れる可能性も考えられます。
3. 柔軟性の欠如のリスク
ダイヤモンド型の組織構造は、特定の業務や役割に集中して効率化を図る点が強みですが、環境の急激な変化や新しいプロジェクトへの対応においては柔軟性が欠けることがあります。
組織構造が固定化されるリスクがあり、必要に応じた素早い変化への対応が遅れることがあります。
4. サポート層のモチベーション維持
サポート層が単調なタスクに集中することで、成長の実感や達成感を得にくい場合があります。これがモチベーションの低下や離職の原因となる可能性があります。サポート層が自らの役割の重要性を感じ、キャリアパスが明確でないと、長期的には不満がたまりやすくなります。
5. 管理の複雑さ
ダイヤモンド型組織は、複数の階層と役割が明確に分かれているため、各層の調整や監視が複雑化する可能性があります。特に中間層が多いため、リーダーシップや管理能力が欠如している場合、リソース管理や役割の調整が難しくなることがあります。
さて、特定メンバーへの依存や拡大におけるトップとメンバーとの隔絶などはなかなかどの組織論でも解消されることは少なく、ここは組織論よりも個別のコミュニケーション論のほうが向いているもののそもそもまだまだ総数の少ないスタートアップでは前者の課題解決はかなり難しいと考えます。
一方で柔軟性リスクについては上記で触れている「ダイヤモンド型の組織を小さなユニットとして切り出す」という手法を適宜活用することで十分乗り越えられると考えます。
柔軟性リスクに対する解決方法
大きなダイヤモンド一つで運営するのではなく、ダイヤモンド型の組織を小さなユニットとして切り出すことで、組織の柔軟性を大幅に向上させ、この組織論の課題を一部解消する可能性があります。具体的には、以下の利点が考えられます。
1. 小規模なユニットとしての適応性
トップ、ミドル、サポート層を1つのユニットとして切り出し、それぞれのプロジェクトやタスクに割り当てることで、環境の変化に迅速に対応できます。この方式なら、各ユニットが自立的に機能し、複数のプロジェクトを並行して管理できるようになります。
2. プロジェクトごとのリーダーシップと責任感の明確化
トップ層のメンバーがユニット内で意思決定を行うため、各プロジェクトにおけるリーダーシップが明確になります。同時に、ミドル層はそれを実行する力を持ち、サポート層は現場で実務を支えるため、責任の分担が明確になり、プロジェクトが迅速に進行します。
3. スケーラビリティの向上
ダイヤモンド型ユニットはスケーラブルなため、プロジェクトやタスクが増えても、必要なユニットを増やすだけで対応が可能です。つまり、新しいプロジェクトに対しても、組織全体を再編する必要はなく、既存のユニットをそのまま複数のプロジェクトに振り分けることができます。
4. 協調と独立性のバランス
各ダイヤモンドユニットは、自立してプロジェクトを推進する能力を持ちながら、他のユニットとも協力して全体の組織目標に貢献します。これにより、独立性と協調性を両立させることができ、個々のプロジェクトが異なるスピードやニーズで動いても、全体としてバランスを保つことが可能です。
このように、環境変化に対応するための柔軟性を向上させる方法として「ダイヤモンド型ユニット」を切り出すアイデアは、組織の多様なニーズに応じて効果的なソリューションになると考えられます。この視点を加えることで、理論がより強力で応用しやすくなると思います。
さて、その上で「理論を実践に落とし込んでコントロールするという意味での管理」はものすごく簡単です、とは言い切れないのが本音のところです。
おそらくこの理論に沿って組織づくりをしている中でも、言語化の外にあるその他の組織論の一部を活用していることを否定できないからです。
そのため、このままの通りにやれば上手くいきます!最強の理論です!というよりも、少なくとも現時点で最も「組織崩壊を引き起こしにくい構造」だと考えられるこの理論を用いたうえでほころびが出たらそれらを修正する形で多くの方とより強い仕組みをつくれたらうれしく思います。
組織理論に縛られすぎるとハマって抜け出せなくなるため、前提のルールとして組織は変容するものであり、仕組みも可変であるということです。フェーズが変わるあるいは市場のゲームルールが変われば最適解は変わります。そのため、経営陣あるいはHRに関わる人間が常に自社のゲームルールにおける最適解に頭を使うことが組織戦略において最も重要な要素であるということは変えようがないのです。
コントレアにおいてはこれらの組織理論の上にカルチャー形成や評価の仕組み化、あるいはメンター制などの育成スキームを整え理論の穴を塞ぎながら実践をしています。
詳細はスタートアップ初の人的資本開示と呼ばれている『Our Wellness Culture』を覗いてみてください。
不確かな明るい未来をつくる全ての原石へ
組織崩壊なんてやめましょうよ。
大人が集まって、豊かな未来をつくろうとして、人の問題、人が集まったことによる問題でぶつかって、傷ついて、未来が閉ざされるなんて悲しいじゃないですか。
せっかく豊かな未来をつくろうとしているんだから、誰も傷つかず、悲しまず向かっていきたいじゃないですか。
綺麗ごとなんですけど、そもそもみんなが抱いている壮大なミッションだって綺麗ごとなんだからプロセスも綺麗ごと目指してやっていきましょうよ。
何より、組織は事業を前に進めるためのものである。という事実から離れることはあり得ないので、逆説的に事業を進めるために組織を作るというゲームルールからもまた離れることが出来ないということです。
もしかしたらうちの組織でも出来るかも、と動くその一歩は間違いなく組織を少しでもより良くしようと動いた一歩であり、その勇気が事業の、ミッションの未来を明るくします。
私もコントレアという場所から良い仕組みを届けられるように、今日ももがきます。
コントレアに興味がある方、組織を良くして事業を前に進めたいという方、何でも話しましょう。連絡待ってます。
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