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会社の中にある、「見えない資産」とはなにか?

今回は、オープン朝礼の「社長日記」回ということで、
西野の脳内書き下ろし、日常の気づきの公開にお付き合いをいただきます。

(この記事は、2024年5月に社内向けに発信された内容をもとに編集を加えて公開しています)


#106  見えない資産


F&Pジャパンは2月が決算月なのですが、ようやくその決算報告が出て、4月末に株主総会の承認を経て税務申告してきました。

F&Pジャパンはこの第5期、とても大きく成長しましたが、僕としてはまだまだ全体のうちの2合目くらいだなあという印象です。

それじゃあ、F&Pの 10合目にはどんな景色が広がっているのか?
それをまさに今、自分でも言葉やら絵やらで描き表わそうとしているのですが、なかなか解像度が上がってこない。

やっと書けたものを人に見せたり話したりしてみても、そんなよくわからない妄想のぶっ飛んだ話はなかなか伝わらなくて、
周りからは「はぁ??」 というリアクションをいただいており、
しばしば「やばいやつ」だと思われます。

そんな反応は、12年前に日本で「スムージーの専門店を作る」と言ってもなかなか理解されなかった時と同じ。
もうずっと、そんなことの繰り返しです。
(そんな10号目の景色は、少しずつ公開していくことにしましょう)


決算書には「バランスシート」というものがあって、会社の「資産」が数値になって計上されます。

資産には、「現金」だとか「売掛金」だとか「商品在庫」だとかが数えられるわけなんですが、
それだけでなく、目に見えない「無形の資産」も計上されるんですね。

例えば、「ライセンス」や「ソフトウェア」などが「無形固定資産」になります。
「バランスシート上の資産」には、こういったものが計上されています。


ですが一方で、「バランスシートに乗らない資産」というのも、実はたくさんあります。

一般にはよく言われるのは、
レシピ。マニュアルやノウハウ。顧客リスト。
ブランド価値と企業の評判。ビジネスモデルなど。

これらは、金額では表せないので、決算書には載りません。


日本テレビがスタジオジブリを子会社化したとき、
ジブリブランドの価値や、ファンのロイヤルティや、新しい創作物が生み出される可能性を評価しているはずで、

帳簿上から試算できる数値よりも企業価値の評価は高くなっているはずです。
(ジブリは未上場なので推測ですが)


それから、人。従業員は「人的資産」とも言われます。

トヨタやホンダの強さは「人にあり」とも言われますし、
P&Gはマーケターの強さで有名ですし、
任天堂のブランド価値は、マリオの生みの親・宮本茂さんをはじめとした優秀なクリエイターたちが源泉になっていると考えられますね。

F&Pが、F&Pを愛してやまない熱狂的なメンバーで構成されていたら、それは最強の資産です。

でも従業員やチームメンバーは会社が所有しているわけではないので、バランスシートには載りません。


しかし僕は、まだまだもっともっと他にも、会社には「見えない資産」があると思っています。

F&Pはこの1年、いろんなところで「構築」活動をやってきました。

例えば、ソフトウェアは外部委託して開発したら資産計上されますが、
自社の従業員が手を動かして開発したり構築したりしたツールは、一切バランスシートに載らないんです。

こういう「構築されたしくみ」は、まぎれもない「資産」ですよね。

地道な構築は、売上やファンをつくる基盤となって、ボディブローのように後々に効いてくるはず。


それから、僕がこの1年で書き上げてきた記事や出版物も。

F&Pとお客さんが触れ合う入口の面積が増えて、頻度が増えて、F&Pのことを知らず知らずのうちに好きになってくれていたら、
そのお客さんの中に溜まっていく「LOVEゲージ」みたいなものは、「見えない資産」です。


こんな感じで、当期中にはさほど売上になっていなくても、その1年間の地道な活動が起因して次の期に売上が跳ね上がる現象も、これで説明がつきますよね。

だから短期的な目先の利益を追うよりも、新しい価値を生み出すもの (=資産) の形成に投資すべきです。

そして、目に見えるものだけを見ていたら、きっと見誤ります。

実際にいまF&Pは目覚ましく伸びていて、
これまでF&Pは、ファンを創ることやブランド価値を高めることを念頭に意識しながら企業活動を行ってきました。

それはこういう理由だったんだな、というのを決算期を機会にして再確認できたので、みなさんと共有します。

(この記事は、2024年5月に社内向けに発信された内容をもとに編集を加えて公開しています)


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