見出し画像

本の記録「おいしいご飯が食べられますように」

こんにちは、今日は人生初の芥川賞受賞作品です。

川上美映子さんや奥田亜希子さんをはじめとした純文学を読むことはあるのですが、芥川賞受賞作品ははじめましてでした。実を言うと、直木賞受賞作品もあまり読んだことがないです。

「おいしいごはんが食べられますように」高瀬隼子

食事をここまで不味そうに、気持ちの悪い風に言葉にできるなんて……
おいしいであろう食べ物を、食べたくないと感じさせられました。
食べることが好きなわたしからすれば、徹底された食事嫌いの二谷のキャラ作りはさぞ難しかっただろうな……と。


舞台はどこにでもありそうな職場。

押尾さん、二谷さんを筆頭にいい人だなぁと思える人がとにかく出てこない。

ボスパートさん
気持ち悪い社員
空気の読めない支店長。

でも、本当は嫌な人たちじゃないんだと思う。

どこにでも存在する会社の人たちの
嫌な部分にだけスポットライトを当て続けたような作品なんですよね……

個人的に一番怖いのは、
芦川さんがなにを考えているかわからないこと。


彼女の心情は最後まで語られることはありません。だけれど、
一番強かな女なんじゃないかと思います。

どうすれば、最短ルートで味方を集められるか。
それを知っている。
彼女にスポットライトを当てたらのなら、
実はまっくろかも知れないですね。

幸福そうなその顔は、容赦なく可愛い』(引用)

何気ないセリフだけど、二谷という人間が何を考えているかわからなくて最強に怖い。脳内では散々なほどにアレコレ考えておいて、押尾さんの悪口を聞いて、それでも恋人として、芦川さんを可愛いと思ってる。

お前は一体なんなんだ!!!!

と怒鳴りつけたい気分ですが、芦川さんがまっ黒な人間だった場合、二谷は手のひらの上ということなので、そうあって欲しいです。

最強にリアルな不穏。
こんな職場働きたくない!!
と、思うけれど
どの職場もスポットライトの当て方によってはそう見えるのかも知れないですね。


「おいしいご飯が食べられますように」

タイトルは皮肉でしょうか。
それとも、祈りでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?