上臀皮神経(SCN:superior cluneal nerve)
SCNは下部胸椎及び腰椎後神経根に起始し、その経路は上内側から下外側へ斜めに走行し、腸骨稜の頭側で胸腰筋膜を貫通したのち正中線から7~8cmを5mm感覚で3本(内側枝、中間枝、外側枝)が並んで皮下脂肪層の中を通過している。
従来SCNは腸骨稜からの移植骨採取時の神経損傷を避けることで着目されていたが、近年では慢性腰痛の一因としても注目されている。
MaigneらとLuらはSCNは骨線維トンネルを通過しており、このトンネル内で公約される可能性があると結論づけた。
参考論文:Anatomic considerations of superior cluneal nerve at posterior iliac crest region
疼痛は前屈時痛や回旋時痛の臀部やや外側に放散することが多い。稀に「ベルトの締め付けや衣服が触れることでピリピリする」という訴えもある。
臀部の皮膚を腸骨稜に寄せると寛解し、逆に臀部の方へと引っ張ると痛みが増強する。
腰椎の側湾症や変形性脊椎症、パーキンソン病などの筋緊張が更新した病態でも発症する例があるとの報告もある。
個人的には、下部胸椎や上部腰椎の神経根、胸腰筋膜の過緊張、臀部腰部の皮膚の緊張度を評価しながら治療を進めると改善する。
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