「わたしのいないテーブルで デフ・ヴォイス」を読んだ
「わたしのいないテーブルで デフ・ヴォイス」 丸山正樹 東京創元社 を読んだ。
コロナが私たちの社会に現れた頃の描写から始まるので、「そうだった、そうだった」と思い出す。
今もまだ、なくなったわけではないけれど、その頃に比べたら、みんなが気を付けつつ、なんとか普通に生活できるようになってきた気がする。
私の周りはね。
今回の事件の被害者は、コロナ禍で仕事をなくした聴覚障害のある女性。
でも、コロナ禍で起きた、ろう者をめぐる社会の問題、変化がメインではない。
コロナとは関係なく、常にそこにある聴者とろう者の家族の問題が浮き彫りにされていた。
毎回、このシリーズは、いろいろなことに気づかせてくれて面白い。
しかも、これが正解の解決策です、という提示がないのも、また深い。
だって、一人一人違うものね。人間は。
結局、お互い、相手を理解しようという気持ちがないと、ダメなのかな。
言ってくれなきゃわからない。
言ってもわかってくれないから、もういいや。
そんな時でも、やっぱり、もう一度、お互い理解する努力はした方がいいのかな。
理解に固執するのも良くない気がするし、かといって、諦めたらそこで止まってしまうし。
さじ加減も、また微妙。
なかなか、渦中にいるとそんな余裕はないけれど。
とまぁ、本から離れていろいろなことを考えさせてくれる良い本です。
この記事が参加している募集
恐縮です