「雪の鉄樹」を読んだ
「雪の鉄樹」 遠田潤子 光文社文庫 を読んだ。
雅雪が贖罪する事件とは。
と同時に、13年間待った7月7日に何があるのか。
わからないまま、辛い状況のまま、読み進める。
明かされたところで、重たい状況は変わらない。
より複雑さが増し、何故そこまで…という気持ちにもなる。
それでも、グッと引き込まれる、この物語。
前回読んだ遠田作品は「ドライブインまほろば」。歪な家族が虐待という形で描かれていた。
今回は、無関心。
それにしても、この人の書く主人公の救いとなる自然は、美しい。
前回は十年池。
今回は天上の苔庭。
自然に疎い私には、その光景が映像として鮮明に現れるわけではない。
心に直接くる感じ。
それまで、辛く重い状況がじんわりと染みている心に、ふいに、救いとして迫ってくるのだ。
前回もそう思ったけど、冷静に考えたら、やり過ぎ? でき過ぎ? なところもあるような。
もちろん、物語だからね。
でも、さらっと書かれたその奥を考えると…
そうなるのは納得、と思ったり。
遠田潤子作品はクセになる。
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