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旅と料理 vol.1

【中国】インパクトたこ串

◎写真・文=菊池洋一

私は飛行機が嫌いだ。
 
音がうるさい、座席が狭い、そんな事はどうでも良い。座れるだけでありがたい。エンジン音はカッコいいとすら思う。単純に「飛ぶ」という行為そもそもが受け入れられない。
海外に行って何が楽しいのだろうか。インターネットで世界が繋がり、旅行先に何があるのか事前に分かる。旅行は確認作業。東京でも海外製品は手に入る。本当は飛行機に乗るのが嫌いなだけなのに、そんな変な理由を言い続ける事で、私は海外を避けていた。

2014年、にしき食品でも海外事業部が立ち上がり、私はその初期メンバーに選ばれた。毎月1回中国に行く事になるらしい。年間では12回中国へ行く事になる。飛行機は片道の訳がない。最低でも年12回×往復=24回も飛行機に乗る。24回も飛行機に乗れば1回くらいは墜落する気がした。「人生終わった・・・」本当にそう思った。

転職も一瞬頭をよぎったが、骨をうずめる覚悟で入社したにしき食品。簡単に諦めるわけにはいかない。文字通り、命がけで海外事業部の仕事に取り組む事にした。1度目の訪中。気絶する思いで飛行機に乗り、福建省の厦門(アモイ)という街に到着。そして撮影した写真がこの「インパクトたこ串」である。

旅行先に何があるか事前に分かる。旅は確認作業。そんな言い訳を打ち砕き、知らない世界を知る楽しさを教えてくれた事例のひとつ、それがこのタコ串。「大げさな」そんな声が聞こえてきそうではあるが、本当にこのタコ串レベルの「小さな驚き」が海外にはそこら中にある。大げさではなく、この小さな驚きの積み重ねで私はこの後、どんどん海外の魅力に引き込まれて行く事になる。

その最初のきっかけとなった、思い出深い一枚である。


菊池洋一/株式会社にしき食品 営業本部 本部長。2013年入社。レトルト食品の新しい価値を提供することを使命とし、日々奮闘中。