敢えて略さず『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
A journey started on a boat and reach on the Oscar stage. Funny, crazy, exciting, inspiring, a bit confusing but refreshing. Actually, I have no idea what the multiverse is, but I enjoyed a lot just like when I saw Being John Malkovich before. There are so many "shoulda woulda coulda" moments in our lives. And also, this is the story about an immigrant family, especially the mother-daughter conflict.🪨🪨
"We're all small and stupid." What a deep line.
洋上のボートからオスカー壇上への長い旅路。昨日のキー・ホイ・クァンの涙が多くを物語っていた。
これほど好みと評価がくっきり分かれるであろう作品はそう無いかもしれない。マルチバース(多元宇宙論)なる概念もよく分からないながらも、生まれながらの浮き草妄想族故、目まぐるしくかっ飛んだ展開も刺激的で楽しめた。こういう感覚は『マルコヴィッチの穴』以来かも(23年前!)。常にエレガントなミシェル・ヨー姐さんが、くすんだ顔丸出しでコインランドリー店のオバハンになり切っていただけで、どこか潔くクール。時に支離滅裂なカオスとコミカルなカンフーアクションに惑わされながらも、浮かび上がってくるテーマは移民家庭、1世と2世、そして母娘関係のややこしさ🪨🪨。
人生の転機、ふと立ち止まる「たられば」の瞬間。それは誰にでもあるものだし、ヒトの移動ってやはり興味深いなと改めて思う(人類の起源がアフリカだとしたら、全ての人が流浪の民である)。ミシェル姐さんは福建系マレーシア人、冴えない旦那役のキー・ホイ・クァンは、幼少期に一家で渡米した中国系ベトナム人。お2人のスピーチはエモーショナルになりつつも、バンブーシーリング(bamboo ceiling、竹の天井)を打ち破る事も出来るのだという応援歌になっていた。国税局のばあさま監査官もパンチが効いていたなぁと思っていたら、演じたジェイミー・リー・カーティス、ベリーショートの髪で凛とした佇まいも美しかった。