実録:いかにして音楽家じゃないディレクターと曲の方向性を決めたのか
タイトル画像:ディレクターから指示を受ける人のイラスト
ゲームに限らず、BGMを作る時に、ディレクターの考えを聞きながら決めることが普通にあります。
もちろん、全体のコンセプトだけ聞いて、自分から提案することもありますが、その場合、「違うな」の一言で却下される場合も。
自分なりに無駄を減らす工夫をしてました。
どんな無駄が発生?
工夫前は、今考えればかなり効率が悪い受注方法。
ディレクターがゲームの基本コンセプトを説明、音はこんな感じがいい、というのを伝えてくれますが、音楽に詳しくない人の場合に苦労します。
音楽のイメージを言語化する、というのはなかなか難しい。なので、そのまま突き進むと、「なんかクールで格好いいの」とか、「スカッとするヤツ」などの印象だったり、「ビュアーっと」「バシッと」のような長嶋監督ばりの表現だったり。
少し良いのは「あのアーチストのこの曲のこの部分の雰囲気」まで情報があるとうれしいです。
でも、それを聞いて打ち込んで、それを聴いてもらって、という繰り返し。多くのデータがゴミ箱に行く運命です。
そこでどうしたか。
自分の無駄回避法
自分はなるべく作曲作業に入るまでに、大体の音楽を「スタイル」で共有するようにして、作業の無駄を軽減しました。
スタイルとは、ジャズの4ビート風なのか、サンバなのか、ユーロビート系なのか、昭和アイドル歌謡風なのか、和風ポップスなのか、シャッフルなのか、みたいなもの。
画像:メキシコのマリアッチと呼ばれるスタイルの3人組のイラスト
同じメロディでも、スタイルを変えると色々な雰囲気になります。
ここでオーケストラ風、とか入ってませんでしたが、当時のスペックや流行のせいか、あまりオケ風を指定してくるディレクターはいなかったかも。
自分は知ってるけど
このスタイル。自分は演奏ができるものもあるし、知識として音の構成の特徴はわかります。
また、音楽屋さんの間では普通に会話ができます。
でも、ディレクターは知らない。こう言う場合がかなりあります。
さて、どうしましょう?と言うところで、便利グッズの登場。
結構安いキーボードで良い!
割とカジュアルなキーボードには、オート伴奏、という機能があります。左手でコードを押さえると、指定されたスタイルで勝手に伴奏を奏でてくれる。
これを使って、メロディ無しの状態で、スタイルボタンをポンポン切り替えて、どれが良い?と尋ねるのが1番早い。
一通りやると、どれかを選択してくれますので、それでほとんどミッション完了!
グループワークでの共通言語
結構まじめな話が入ってたりします。
今は、昔よりそれぞれの技術が発展して、それに従って専門性も高くなっていきます。
そのため、多くの異なるバックボーンを持つ人と共同で何かを作り上げる必要があります。
このとき、それぞれの専門家がそれぞれの専門用語で話をしたら、通じるものが減っていきます。それはグループとしては不幸。
なので、まずは「伝える努力」、さらに伝える内容の整理。自分たちのグループで消化できる項目を排除して、どこを共有するのが重要か、を見極めます。
そして、今回のように「ツール」。多くは、情報共有がしやすい連絡ツールだったり、スケジュールが一元管理できるツールなど、いわゆるグループワーク向けツールが多数あります。
現在も、出版系、開発系、コンテンツ系が入り乱れるグループで、まさにこの情報共有ツールをうまく使っています。
逆に、これらの共有努力を怠ると、冒頭に書いたような無駄が発生しがちなのです。
結構まじめな結論になりました。