「棍棒」の展示即売会!?いいアイディアに出会うと「感心する」のではなく「悔しくて身悶えする」です。
タイトル画像:悔し泣きする人の顔のイラスト
世の中には感心するようなナイスアイデアのサービスや商品が沢山あります。
奇抜なものもあるし、隙間を見事に見つけたものも、誰もやってなかったこと、などなど。
それまでの技術や知見を組み合わせれば、答え合わせ的に実は誰でも出来たのでは?というものもあります。
しかし!
誰もができるはずなのに誰もやってなかった事、しかもそれが面白かったり役に立ったりする。
こういうのを見ると、皆さんの感情はどんな感じになりますか?
私は、転げ回って手足をバタバタしたいくらい悔しい!
またそんなイベント情報に出会いました。
「棍棒」でイベント!?
「棍棒」を日常生活で使うことはありませんが、あのドラクエの最初の武器として男子にはお馴染み。「こんぼう」とひらがなで書かれてますので、漢字は知らない人はいるかも。
その他だと、原始人のイラストで肩に担いでる太い木の棒。これですかね。
こんなに有名なのに、今使う人がいないから、カインズにも売ってない。
そんな棍棒をテーマに即売会付きイベントを開催してしまう強者がいたのです。
下のリンク:棍棒イベントのノート記事
ロールプレイングゲームの世界
こんぼう、に出会ったロールプレイングの世界。
何を題材にしても「ロールプレイ(役割を演じる)」になればいいのですが、日本に入ってきた時に、本場でポピュラーだったのが、
・中世ヨーロッパ風
・剣と魔法
・ドラゴンと魔女
・妖精や怪物や人間では無い種族
・王様とお姫様
の世界観が持ち込まれました。
そこで戦うための武器は、本当にあった中世ヨーロッパのものがでてくることが多く、聞いたこたもない武器をたくさん知る事ができました。
イタリア行った時に、つい中世の武器の博物館、寄ってしまいましたよ。
モーニングスターなんて、さわやかな感じの名前です。でも、鎖の先に鋭いトゲがウニのように出てる鉄のおもりを回す邪悪なものだったり。
ガントレット、と名前の強そうなものが防具だったり。
いまだにこの世界は人気があり、この日常でお目にかかれない武器知識は、無駄にゲーム好きの記憶メモリを消費してます。
そんな中で、わざわざ語る人も、それについて研究する人もいないと思われた「棍棒」ですよ!
イベントの内容
人間が最初に手にした武器といえば、落ちてる石でしょう。多分次に武器にしたのが「遠心力」が使える「長くて重いもの」。
それが、握りやすかったり、バランス良かったり、とある程度使い勝手まで考え始められたのが「棍棒」であるに違いない。
自分の推測ですが、あまり異論も無いのでは。
この棍棒をどうやって「イベント」に?
展示の様子は是非リンクの記事をご覧ください。握る部分以外は整形されてない「棒」がずらっと並びます。
しかも、本式に使われてた時代のいわれのある品、など残るわけもないので、「新作」。もちろん、遺跡などから出てくる、といったものも世の中にはあるでしょう。でも、そんなアカデミックなアプローチもせず。
とは言え、握り心地が一つずつ違う、ちゃんとした「加工品」。なんなんでしょう、ほぼ無駄にも思えるこの行為。
しかし、ポイントが。
①試し殴りコーナー
握りやすく振り回しやすい「棒」を持てば、やめろと言われても傘で人の家の塀をコンコン叩きながら下校したあの日を思い出すのでしょう。
みんな何か叩きたくなる。
どうぞ叩いてください、のコーナーが用意されてるのです。
記事によれば、会社帰りのハイヒールを履いたお姉さんが、棒を振り上げて丸太を殴るシーンもあったとのこと。
シュールですが、人間の止められない原始的な行動パターンを励起してしまうシステムに脱帽。
②売ってしまう
普通にマーケティングだのターゲットだのをパワポに書いてる人は、棍棒を売る事を勧めてきません。
このイベントは、数千円から、数万円と値付けをして、なんと、かなりの数をさばいてるもよう。
一応木はその辺のものではなく、日本の里山復活に頑張るグループとの連携で入手したもの、という事で原価がかかってない訳ではありません。
さらに、握る部分はしっかり加工されてる。
これを、現代人が「このグリップ感が」とか「バランス的に」とか「サイズ感も携帯にいい」などと試し殴りをしながら時間を過ごす。
なんて不毛で無駄で、素晴らしく豊かな時間なのでしょう。
なんで悔しがってるかと言えば
自分は企画者として、他人に様々な企画やサービスを提案して、開発して、運営して、と言った事をしてきました。
世の中のニーズ、素晴らしい技術シーズ、顧客の課題、などを組み合わせて、「感心されるようなサービス」を心がけて作ってきた自負があります。
でも、最近は提案しても新しいことにGOが出にくいので、自分で立ち上げる形にも進んでますが。
この提案活動、相手先の事情もあって、あまり責めすぎてもだいたい「面白いけど、あまそれは置いといて」「ですよねー、本命はこちらでして」などとかなりトーンダウンしたありがち路線に落ち着く事が多く。
どこの誰が「棍棒」で一発当てよう!なんて思うか。
なので、今回の記事にあるイベントの主催者も誰かの定期案にお金を出した、ってことではない気がします。自前で。その蛮勇とも言える行動力にも脱帽。
作り手側、提案側になるために
今、技術系大学で学生を教えてますが、基本、「提案、作り手」を志向する学生相手。
自分ももちろん心がけてるし、ある程度のノウハウも得たかもしれない、「独創性」を身につけてほしいと常に頭を悩ましてます。
そんなわけでこの記事。
世間を見て「すごーい」「おもしろーい」と言ってる段階は消費者。提案側は「いや、ここがもっと」「自分ならこうする」という見方ができなければ、気の利いたモノやサービスを作れません。
そんなわけで常に自分もあれこれ気になる生活をしつつ、時々それを越えたサービスに出会う時が「悔しい」なのです。
なんで自分がこれを思いつかなかったんだろう、世界で一番最初に世の中に提案できなかったんだろう、と嫉妬、妬み、しか出てこない時。
これまで数回あったうちの一つが今回の「棍棒」です。
くそー、悔しいー。