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アナクロ映像、海を渡る。〜フィルムエストのコメント欄に英語が増えたワケ〜

もしも「Twitter→X」の改称騒動が昭和に起きていたら…というコント動画をつくりました。もはやインフラといっても過言ではない「Twitter」。そこで巻き起こる数々の〝騒動〟に振り回される私たちを、フィルムエスト流に解釈した作品です。

ありがたいことに多くの方にご覧いただき、再生回数は106万回(2023年11月現在)を超えています。たくさんのコメントをいただきましたが、そのなかで目を引くものが。それは…

なぜか、作品を英語翻訳してくださっている方がいたのです。タイムスタンプまでついていて、大変ご丁寧な仕事ぶり…です。

その「英訳コメント」には、さらに別の方が投稿したコメントがいくつかぶら下がっていました。確認してみると…

「this is hilarious」
(これはウケる)

YouTubeコメント欄より

短い一文ではありますが、驚きました。
この作品を「面白い」と感じてくれる人が、日本語話者以外にもいるんだ!と。

タイムスタンプでひとつずつ翻訳を参照するのでは見づらいだろう…と思い、タイトルを英訳し、動画字幕を追加。

すると、英語のコメントがちらほらと寄せられるようになりました。

「Wait, wait... How is this content being created in 2023? WHAT?」
(待って、待って… どうやってこのコンテンツが2023年に作られたの?何?)

「The effort to make sure everything looks exactly like the 80’s. Respect.」
(すべてが80年代っぽく見えるようにするための努力。尊敬。)

「This is too high quality production for just a joke.」
(ジョークにしてはクオリティが高すぎる作品)

「The way this is presented in 80s style is just masterpiece. Exactly what I imagine if social medias exist in 80s. Wish more skits like this exist XD」
(この出来事を80年代スタイルで表現する方法はまさに傑作です。もしも80年代にSNSがあったら…と、私が思い描くものと一致しました。こういう寸劇がもっとあったらいいのに^^)

いずれもYouTubeコメント欄より

私たちが描きたい面白さや、伝えたかった気持ち、感覚が、言語の壁を越えて共有されている。フィルムエストTV特有のコンセプトさえも伝わっている…! その世界観に素直な驚きをもってコメントしてくださる方や、一方で度重なる〝騒動〟についてガチレスする人も…。

「Of course this is the worst rebrand in history, like this has took away personally, and sounds more like p*rn site.」
(これは歴史上最悪のブランド変更で、個々人の価値が奪われ、ポ●ノサイトになったかのようだ)

「I’m still calling it Twitter, tweets, and retweets.」
(私はまだ〝それ〟をTwitter、ツイート、リツイートと呼んでいる)

いずれもYouTubeコメント欄より

違和感を抱いて映像化した作品。それを分解して、制作意図を読もうとしてくださっている息遣いが伝わってくるように思いました。住んでいる場所が違うだけで「思うてることは、みんな似てるんやなあ…」と、しみじみしました。

チャンネルを立ち上げてから約9年。コメント欄にこれほど英語の文章が寄せられることは一度もありませんでした。考えてみれば、これまでに作品をつくるうえで、その視聴対象は「国内」にしか眼差しを向けていませんでした。

「More translations please, these are wonderful
(もっと翻訳してください)

YouTubeコメント欄より

海外の方から見たときに、フィルムエストTVの作品はどのように映るのでしょうか? かなりの興味をもった私たちは、東京外国語大学の学生さんの協力を得て、いくつか動画を翻訳してもらいました。

すると…

「These are very entertaining and well done! Thank you for posting subtitles!」
(めっちゃ面白くて、よくできてる!字幕をつけてくれてありがとう!)

「Is it possible that someone is using ACTUAL analog equipment instead of some retarded filter? Finally! I'm so tired of those obviously fake VHS filters that would look fake even if recorded on an actual VHS tape. If this was indeed a filter...finally a filter that actually looks legit. Evidently it was made by people who know how analog video works.」
(時代遅れのフィルターではなく、本物のアナログ機器を使っている可能性はないだろうか?ついに!実際のVHSテープに記録されていたとしても、偽物に見えるような、明らかに偽物のVHSフィルターにはもううんざりだ。もしこれが本当のフィルターだとしたら…。アナログビデオの仕組みを知っている人によって作られたフィルターであることは明らかだ)

いずれもYouTubeコメント欄より

恐縮すぎるコメントも。さらに!英語ばかりではなく、韓国語やルーマニア語によるものも。

「その時代には日本もその眼鏡を使った」(?)

これまではドメスティックな発想だけで制作を続けていましたが、世界的規模で、より多くの人に楽しんでもらうことができれば、これほど制作者冥利に尽きることはありません。

だからといって、急にインターナショナルな路線に切り替えるつもりは毛頭ありません。

しかし、「フィルムエストTV」というメディアは、もっと様々な切り口で展開できるのでは?
もっと面白いことをしてみたい!

…と思った、そんな秋の夜長でした。

(その前に英語の勉強せなあかんな…)

▼謝辞
「EnderYear」さん。英訳のコメントをつけてくださってありがとうございました。私たちには足りなかった〝新たな視点〟と、良い影響を与えていただくきっかけになりました。改めてお礼申し上げます。


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