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星組BIGFISHを見る

【前述カットイン】
観劇してからかなり遅くなりましたが、2024年のやり残し&時間もできたので書き残しておく。
記憶ティアラの話はまだ見てない時間軸なので追記無しでいきます。笑

#熟成下書き


東急シアターオーブにて上演された星組さんのBIG FISH。シアタークリエでかつて上演していた東宝版(?)は、浦井さんがご出演されていたこともあり存在は知っていたものの生観劇には至らず。
作品自体は気になってはいたものの、なんとなく、泣かされそうだな〜という気配を感じて(笑)足が向かなかったりもした。

が、この度星組さんで公演をするよ!ということやオーブでやるよ!(職場近くなのでアクセスが良いのです)だったり、ここ最近で応援したいなと気になっている大希颯くんが出演されていることだったり……何より礼さんのエドワード・ブルームを浴びてみたい、という気持ちが強かったのもあったと思う。
公演数もあるし1回見れたら万々歳と思っていたが、ありがたいことに2回現地で見ることができた。ご縁に感謝である。

なんとなくあらすじは見たり、AppleMusicで英語版歌詞の音源を聴いたりしていたものの決定的なネタバレまでは見ずで臨みました。
おそらく、あくまでも、この作品はハートウォーミングな物語としてカジュアルに見るのが正しいのかもしれないと後から思ったものの、音楽の良さや演技の良さ、演出の美しさにぐっとくる場面も多く、初回観劇時には無事にマスク下で溺れるくらい涙してしまいました。2回目も、いくらかは堪えられたもののどうしても刺さる場面は涙腺にくるところもあり……という感じでした。
礼さん、BWミュージカルが似合いすぎる。

ペロッ、この座組み……歌うまキャストしかおらん!(気付き)
礼さんはじめ元々歌うまで認識していた演者さんが多いのでわかってはいたものの、改めてあの人もこの人も歌が………うめぇ!と痛感。
他の曲に比べるとキャッチーではないものの高難易度なビッグナンバーを歌い上げる魔女こと都優奈ねーさん、さすがすぎます。

歌はもちろんですがお芝居も信頼出来る主要キャスト陣。
個人的に推し度高かったのが碧海さりおさん演じるサーカス団長。実は狼男という一面を持ち、クリエ版ではROLLYさんが演じてらっしゃる超個性的なキャラでもあります。
もう、、ね、ちゃりお上手すぎ。得意分野としてはダンサーの属性なんだろうけど、ちゃりおの演技はいつも大事なところでいい具合にキラリと光るので毎度ながら星組にずっといて………となる。1789のラマールといい、RRRのエドワードといい、本当に痒いところに手が届くというかお芝居の中にいいアクセントを与えてくれるというか……あ〜〜〜なんて言うんだろう、物語の中で的確にハマるピースのような演技派オールラウンダー感。ありがとう。
そして時系列を越えて繋がる詩ちゃんとほのかぴのサンドラ。
詩ちゃんのサンドラ(特に幼少ウィルがいる年代は!)になんとなくほのか(大人)サンドラの振る舞いが重なって見えてニマニマ。 とってもキュートでエネルギーに溢れた女の子で。詩ちゃんこんなにかわいいのに歌も上手くて……舞台映えすごくて………もう、、何?(何???)
からのほのかサンドラ。エドワードの妻として、ウィルの母として、愛に溢れた大人の女性を歌に芝居にのせる巧みさはこちらも天晴れで、やっぱり実力派だなあと唸ってしまう。
「人生で特別な男性が2人」「屋根はいらない」ほのかサンドラのナンバーには毎度胸がギュッとなる。

あとは子供時代ウィルの茉莉那ふみちゃん。
新公のマッリで見てはいたけど、改めてなかなか小柄なのね(160cm以下で小柄になってしまうの、舞台や宝塚の世界のシビアさを感じますが)…! 娘役ちゃんとは思えないくらい自然な少年に見えてとっても良かった。本当に男の子役だ!と思ったのよ、、さすが首席。
もっといろんなお役を見たいけど、やはり舞台畑である以上身長的にも出世とかお役の幅って限られちゃうのかしら、、、ウゥ〜ン応援したい。

そしてウィル繋がりで極美くん! 歌得意なメンバーの中だと逆に目立つかなとも思っていたのですが、こんなに歌うまかったっけ…!と思うくらい、見れば見るほど歌唱パート良かったです!!!本当に伸びたわね…!
ウィル自体フォーカスされるところも多くて、役としては準主役というか美味しいところだとは思いつつ、お役の仕上がりとしても今回かなり良かったのでは?!と思っています。

別箱でチーム分かれてるのに星組総力祭を感じる。ククク……星組はまだ半分の力でしかない、あと半分以上つよつよなメンバーがいます…(ナ、ナンダッテー!)

作品自体の話、個人的な背景ですが観劇したのがだいたい妊娠27~28週くらいで。自分自身が母になる前のタイミングで見れたのがよかったなと思っています。
もしこれが妊娠前のタイミングでも、産後子育てをしていく中のタイミングでも、きっと違った捉え方になったんじゃないか、と思っている。
父の話す不思議な物語を素直に受け止められなかったウィルが、自分と同じ男の子の、父になる。

エドワードは果たして"いい父親"だったか?と言われると、万人がそうとは答えないと思う。
子育てを積極的に手伝っていたわけではないし、勉強ができてウィルに教えてくれたわけでもない。親として立派な社会人である姿、家庭内での父らしい姿をウィルに見せたり伝えたりしてきた訳でもない。
ウィル側の目線からしたら、当初は自分や家庭に真摯に向き合ってくれない、疎ましかったり恥ずかしかったりする存在であり、見る側としてもここにフォーカスしてしまうとお話の展開も少々モヤっとしてしまうかもしれないな、と思ったりした。
過去の話を辿っても、あくまでも"エドワード・ブルーム"という人の人生の主人公であり、"誰かのために人生を尽くして生きる人"ではない印象を受ける(ジェニーヒルやアシュトンの人々にしたことはそうだけど、それだけを主として生きてるわけではないので…)。

でも、それでいいんじゃないか。
それもいいんじゃないか。
(あくまでも作中の主人公はエドワードですしね)

一方で、「物語のヒーローになれ」とウィルに向けて歌うエドワード自身は、故郷アシュトンを救った英雄で。しかしそれはサンドラやウィルには内緒で。

時代は変わるし人々の価値観や常識も変わっていくけど、エドワードがウィルに対して彼なりに愛情いっぱいに向き合っていたように、自分自身の人生を生きていたように。ウィルもやり方は違えど自分の子に対してたっぷりの愛情を注ぐんだろうな(というのが最後のシーンでもわかる)と思うし、またウィル自身が主人公の人生を歩んでいくのだろう。

"エドワードの人生をなぞる"のではなく、あくまでもウィル自身の人生として、また親から子へ、命を繋いでいくうえでどう在るか(在る"べき"かではなく)ということでいいのではないか。

親子、恋人、夫婦、友人………今すぐにその愛情が伝わらなくても、信頼しあえなくても、周りと人との関係性や時間が解決してくれることもあるし、過去の関係性が今の自分を助けてくれることもある。

立派な親でなくてもいいが、
自分自身が楽しいと思えることをすること。
自分自身が正しいと思えることをすること。
優しさをもって他人と関わること。
そういう姿を子どもにも見せられたらいいな、なんて、自分の話に落とし込むとそんなことを考えてしまう産後でした。

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