やんちゃ学生との格闘(Photoshop授業)
職場では半年のカリキュラムで学生が入れ替わるので、半年に一度はPhotoshopの授業×2クラス分を行う必要がある。今回は2期目のPhotoshop授業の2クラス目の記録だ。
1クラス目の記録はこちら
1日目
後ろのやんちゃ学生、やばすぎ。前からこのクラスの様子は見ていたが、後ろの男子学生がどうもやんちゃだ。何かにつけて色々言ってくる。
特にピーピー言ってくる学生が2名いるのだが、うち1人は私自身も「ナラカイ(悪い)」「ホンダネー(良くない)」と言っているせいか、若干捻くれてしまってる気がする。その様子を見てると、ヤンキーってこんな感じで生まれるのかな?って思う。
2日目
朝、授業を始める時にアユボワンされる。やっぱりサリー着てるとアユボワンされるんだな、と思うと教える時はちゃんとサリー着るのが良いのかもしれない。
課題をやる時間になると、私の席からモニターを見えないことを良いことに、全く皆課題をやってない。誰一人やってないのだが、私が皆のモニターの様子が見える後ろ側に行くと、急にみんな手を動かし始める。なんというか、君らに意思はないんか?
しかし、一方で個人の意思がなくても、なんとなく生きていけるのがスリランカなのかもしれない。(まぁ、こればっかりはどの国でも自分がない方が生きやすいとか意思がない方が楽とか聞くけどね)
3日目
今回のクラスは、突出したやんちゃ学生もいるが、皆のことをまとめようとする学級委員みたいな子もいる。今日は彼女が、授業の開始時と終了時に「ミスにアユボワンしなきゃ」と言って、皆にやるように促していた。
正直、このクラスはもう一つのICTクラスに比べて、学生全体のレベルは高くない。しかし、こうしてクラスをまとめようとしてくれる子はいない。そう思う時もどのクラスも一長一短だし、やればやるほど彼らに対して「出来るやん」「やるやん」「すごいやん」って思う瞬間も増える。
私はスリランカで初めて人に教えるってことをやったけど、日本の学級運営とかもこんな感じなんかなぁ…?
4日目
授業の始まる前にちょっとだけ日本の選挙の話をする。ただ、全員が興味を持って聞いた訳でもなく、前の方にいる学生が反応してくれたぐらいで、後ろのやんちゃ学生は聞いていない。まぁ確かに、遠くの国の事なんて考えても、君らの生活には何も関係ないしな、と思いつつも、話を続ける。
なかなか学生たちに上手く伝えられたかどうかは分からない。それでも今回の選挙の投票率や与党が議席数を減らしたこと、スリランカにいても日本の選挙に投票できること、日本って今はめっちゃ税金高いんだよねって話をした。
授業中に例の捻くれ男子学生に話し流れで「リスペクト カランナ(リスペクトしなさい)」と言った。彼はいつものように「ハーハーハー」と言ったので、「それなら、帰り際にちゃんと挨拶しなさい」と言った。(この挨拶とは学生が先生にひざまずく形のもの。先生に対して学生がやることが多い)
プラクティカルの時間に1人の子から「タミル語喋れるの?」と聞かれた。彼女はタミル人だったらしい。「タミル語教えてよー」と言うと、「アニワーレン キヤラデンナン(絶対教える)」と言われた。そこは「アニワーレン(絶対)」なんだ、と驚きつつも、確かに大多数がシンハラ人のコロンボにおいて、外国人から母国語を教えてと言われれば、そりゃ「アニワーレン」とも言いたくなるか。
今日の帰りから「アユボワン」と「ワナッカン」と言うことにした。ちなみに、捻くれピリミラマイはちゃんと膝まずいて挨拶してきた。
5日目
毎朝、教室に入ると皆アユボワンをしてくれるようになった。いやはや、毎日サリーを着ているだけある。
昨日の授業終了後、いつも教室の後ろに座るやんちゃな男子学生が他の学生と殴り合いのケンカになったらしい。ほんまにやってんなぁ、ピリミラマイ(男子学生)。
午後に同じ職場にいる日本人の知り合いがPCのWi-Fiの調子が良くないらしく、教室にやって来た。少しその人と日本語で話していた時に、私が「そうそうそうそう」と言ったことを、1人のやんちゃな男子学生が面白がって真似してきた。完全に条件反射だったのだが、それを聞いた瞬間に学生に向かって「は?黙れ」と言ってしまった。ちなみに学生はそれで黙った。今度はちゃんと「ピッスカラガンネ エパー(バカなことしないで)」って言わなきゃ。
そして、授業終了後に捻くれ男子学生が昨日と同じように挨拶してきた。正直、昨日だけだろって思ってたからこそ驚いたのだ。ちゃんと出来るやんピリミラマイ!
おまけの6日目
印刷方法について教えてくれ、と言われ追加の1日。まぁいいですよ。明日はハロウィン休みだし、水出し紅茶も用意して、あとはビールを飲むだけなんだから。
動画を見せながら教えようと思ったら、ネットが遅すぎて全然動画が動かない。結局写真を見せながらの説明だったので、想定の半分以下の時間で終わってしまう。
その後はPhotoshopでデザイン課題を出すのだが、昼頃になってくると蛇のおもちゃで遊びだしたり(没収しようと思ったけど失敗した)後ろの男子学生がちょっかいかけたせいか一人の女子が泣いて出て行ってしまった。(これだから…ピリミラマイは…)
様子を見に廊下に出ると、ピリミラマイ達も出てきてニヤニヤしながら様子を見る。余計なことすんなやって気持ちになった私は、彼らの前で「この子良くない」とディモに対して言った。
その後、教室に戻ると、さっきのピリミラマイが「ミス…なんでさっきはナラカイって言ったの?」と少しもじもじしながら聞いてくる。彼の今までの行動から考えても、少々ビックリだったのだが、やっぱりそこは気になるポイントなのだろうか?しかし、こうやって直接聞いてくる所は可愛いなって思ってしまう。ちなみに今日も2人のピリミラマイがちゃんと跪いて挨拶してきた。
おまけの7日目
こうやっておまけの授業日がズルズル増えるのがスリランカスタイル。ちなみに、本来なら今日からillustratorを開始する予定だった。
朝、illustratorの導入をしていると、来週からもう一個あるクラスでillustratorの授業をして欲しいから、今日は午後にPhotoshopのチェックテストをしてくれ、と言われた。別にそれ自体は良いのだが、チェックテスト用のペーパーを私は用意していないので、それだけ欲しいとお願いしたら「ハーハー プルワン(OK 出来るよ)」と言われた。いやはやプルワンって便利な言葉だよねー。
午前の休憩でクラスの1人がお誕生日だったようで、ケーキとキリバットをもらった。ケーキも貰ったことだし、ICT講師の休憩室で頂こうと、その部屋を除いたら、自分の部署の上長と学生が何かを話していたようで、とてもその部屋に入れる雰囲気ではなかった。
その後、ディモに何かあったのか聞いたら、上長と話していた学生は辞めさせられるらしい。どうやら、その生徒は学生同士で殴り合いのケンカになっただけでなく、自分の親や弟達までも殴ったりしていたらしい。私もその学生を教えたことがあるが、教えたことはすぐに出来るようになる子だったので、正直驚きしかなかった。
とは言え、このことは大きな問題になっていたみたいで、該当生徒のいるクラスは実質授業がストップ、私のクラスも同じICTなので男子学生とかが呼び出されたり、皆順々にカウンセリングを受けに行っていた。
私自身は、実際に教師同士の話し合いに参加したものの、ほぼ聞いていただけの人間だったのだが、少し疲れてしまった。ついでに午後やる予定のチェックテストは貰えなかったし!!!(笑)