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お家探し〜はじめのはじめ〜

今年の年明け早々に、今年の目標はヤギと鶏を飼うことだ!と考えた。
今までメダカやウーパールーパーを通じて、得てきた学びをもっと大きく拡大したい気持ちとお金を媒介とした経済とは異なる循環を作りたい、と考えていた事から、いつかは野菜を育てて、鶏やヤギを飼うんだ〜とぼんやり思っていた事をとにかくやろう!という気になったのだ。

そこで、鶏やヤギを飼っているYoutubeやwebサイトを見て、参考になりそうな文献を購入し、ヤギや鶏の情報を集めつつあった。しかし、ヤギや鶏を購入するにあたり、一番最初にクリアしなければならない課題が私にはあった。それは、ヤギや鶏が平飼い出来るような家に引っ越すことだ。現在、住んでいる自宅はマンションであるため、ヤギや鶏はとても飼えるような環境ではなかったのだ。

そこで、年明け早々からヤギ、鶏が飼えるような家探しに奮闘していた。webサイトで興味のある物件があれば問い合わせる作業と同時に、私の知り合いに10Kの古民家に住んでいる人がいた為、その人にどうやって家を探したのか、聞いたりした。彼は母親の実家がその地域にあり、親戚の空き家を借りたそうだ。他にも道の駅の朝市に出店している農家さんに空き家があるか聞いてみても良いかもしれない、とアドバイスを貰った。やはり足で稼ぐことが一番なのだ。

年明けまでは論文でバタバタしていたこともあり、中々現地に足を運ぶ事も出来なかった。そこで、私は何でも良いから一度現地を訪れようと画策し、すぐに向かった。やはり、一度訪れてみると、今まで心配していた事や逆に思ってもいなかった盲点に気付き、実際にその場所に行くことの重要さを感じた。

今までずっと実家で暮らしてきた私は人生で初めての内覧も経験した。セットバックとか再建築不可とか資産価値とかローンとか今まで知らなかった事に出会った。
家の購入資金はあまりない為、当初は賃貸で考えていたが、一度購入の面でも見てみようと思い、色々と物件を見た。時にはある意味思い出になる内覧にも行けて、とても面白かった。

しかし、一度不動産屋さんでローンの話を聞いた時は、かなり心が折れそうになった。何故なら、私はあまりお金を持っていないからだ。今までお金が無い事に恐縮する経験を私はしていなかった為、ローンの話を聞いている時、言葉を発している時、全ての行為一つ一つが私の内側にある臓器たちをギューっと絞っていく感覚があった。
たぶんドラマでよく言う「お金が無くて、みっともない思いをした」的なセリフは、この感じの感情に近いのかもしれない。帰り道にふと、そんな事を考えては人生は何でも経験だな、と思った。

どの不動産屋さんと会っても、初対面では「若いですね」と驚かれる。ある不動産屋さんでは「若いのに家を買おうと思って、こうやって選択している事が凄いですよ」と言われた。確かに、私は若いし、そこまでお金を稼いでいる訳でもないのだから、驚かれてもおかしくないのかもしれない。でも、私はそれがやりたかったから、やっただけなのだ。出来るとか出来ないとかはその後に出てくる結果であり、出来ても出来なかったとしても、それらを経験した事には変わりない。
とにかくやってみないと分からないのだ。ここ最近はこの言葉を人と話している時によく口に出している。

先日、以前お世話になった先生と話が合い、一緒に内覧に行くことになった。その時に行った内覧の物件は山の中にある家だったので、先生の存在にとても助けられていた。先生はよく焚き火や野宿をしている人で、家の裏庭の山を見ている時に「鹿の糞が落ちている」とか私が知らない事をブツブツ言っていた。内覧していた物件はかなりの驚き物件だった為、私は若干呆然としており、その間に先生はテキパキと雨戸を閉めていた。私はハッとして何かやらなきゃ!と思って部屋の電気を消し始めようとして、非常ベルのスイッチを押してしまった。ほとんど忘れていたが、私はとても不器用な人間だったのだ。結局、その驚き物件とはまた別の物件に申し込みを行い、ローンの事前審査を出すことになった。

後日、その先生が私の内覧に付いて行った事をFacebookに投稿した。その投稿は気付けば私が見たことないぐらいのいいねの数とコメント数になっており驚いた。先生はその日、私にLINEで「君の生き方の応援者は思っている以上に多いよ」と連絡してきた。私はその時、あまり実感を持つことが出来なかったのだが、同じ投稿を自らもシェアした時に色んな人からコメントが来て、嬉しかった。それと同時に、既に私の周りには同じようなことに興味を持っている人がいることも分かった。あ〜、何も分かっていなかったのは私の方だったのだ。これぞ灯台下暗しである。そう感じて、紅茶をすすった。少し長い時間蒸らしたアッサムで、いつもよりコクを感じる。後味が抜けた後に、ふと埼玉の滞在制作で出会ったおばちゃんを思い出した。彼女はラーメン屋さんで出会って、ラーメンと餃子と唐揚げをご馳走してくれた。出会って1時間も経っていないのに、別れる時に互いに泣いてしまったおばちゃんを思い出したのだ。あのおばちゃん、元気かなぁ?

事前審査の連絡が返ってきた。結果はダメだった。もう一度、金額を下げてみて事前審査の申込みを行ったが、望みは薄いかもしれない。
色々考えてみると、これは当たり前の結果だったのかもしれない。そう考えた時に、おもむろに自分の通帳を見て、この残高の0が1つ多かったら、なんて考えてしまった。気を取り直す為に、紅茶と一緒にプリンを食べた。甘いプリンとスッキリとしたディンブラは相性としては最高なのに、何故か楽しめない。水を飲むように、紅茶をガブガブ飲んでしまった。

「やってみないと分からない」と言う一方で、時より本当に大丈夫かな?と不安になることがあった。しかし、心配しても仕方がない。とにかく次の策を練るしかないのだ。大学院の教授が授業で「インディペンデントであることの条件は諦めない事だ」と言った事を思い出す。今の私には諦めない事が一番大事なのだ。
一度考えていた手段がダメだと分かった時、思わずその手段に執着してしまいそうになるが、こんな時ほど私は何がしたかったのか、見直す事が重要だ。そうすれば他の手段が自ずと見つかるからだ。

きっと今の私のは1年前には考えてもいなかった事だろう。そう考えると、この1年、すごい勢いで成長したことがよく分かる。何かを経験すればするほど、学びがあって度胸が付いてきた。それぞれの人や生き物が持つ豊かさを素直に尊重出来たら、自然と自分にも自信が付いてきた。人生上手くいかないことは沢山ある。しかし、上手くいかないことでさえ、楽しめたり、面白がれたら立派なものである。諦めない、頑張る。

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にしはる
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