ホ ラ ー 官 能 小 説 「 電 動 」【3/4】
■
「ひっ?!」
わたしは胸を押さえ、狭い浴室の中を見回しました。
わたし以外、誰も居るはずはありません。
シャワーを停め、胸を押さえたまま、わたしは浴室に立ちつくします。
「きゃっ!」
今度はわたしのおへその下に、その振動する「何か」が押しつけら得ました。
それは激しい振動を続けながら、一気に太股へ降りていきました。
「なっ…………あっっ!!」
わたしは慌てて脚を閉じ、浴室の床にしゃがみ込みました。
その見えない「何か」が、さっとわたしの身体から離れます。
「何か」じゃなくて、『誰か』が居る。
わたし以外の誰かが、浴室の中に居る気配を感じました
それはわたしの前に居るとか、後に居るとか、そんな具体的な雰囲気ではありません。
浴室一杯に、『それ』は居るのです。
「ひゃっ!」
今度はお尻の間を、「それ」に撫でられました。
思わずわたしが、立ち上がった時です。
ものすごい力で、わたしの両手が目の前の浴室の壁に、押しつけられました。
「……なっ?!」
と同時に、お尻が乱暴に後ろに引かれます。
そしてわたしの脚の間に入り込んだ何かの力が、わたしの脚を左右に大きく開きました。
「いやっ!!」
あっという間に、お風呂場の中で壁に手を付き、お尻を突き出して両脚を開いているという恥ずかしい姿勢を取らされれてしまいました。
これは……まるで立ったまま後ろから犯されるときの恰好です。
「ん……くっ!」
いくらもがいても、見えない何かがわたしを押さえつけ、その姿勢から逃れることを許しません。
「……あっ……やっ……」
わたしは目を大きく見開きました。
目に見えない「手」が、わたしの両方の乳房を、激しく、乱暴に揉みあげているのです。
つまり、わたしの乳房は、ひとりでに波打つように形を変えていました。
「んくうっ……」
両方の乳首をひねり上げられます。
乱暴な手つきでしたが、そのまま見えないその指は、わたしの乳頭をくりくりと転がし恥じました。
「…………やっ! ……い、いやっ…………あっ……んっ…………やっ…………」
浴室の中にわたしの声が反響します。
しかし家の中にはわたし1人。
誰も助けには来てくれません。
いや、もし仮に助けが来たとしても、その人はこの状況をどんな風に思うのでしょうか?
女が1人で浴室の壁に手をついて、悶えているのです。
とても正気の沙汰とはいえません。
と、その見えない何かは、わたしの乳房を揉み上げながら、あの振動を、わたしの脚の間に差し込みました。
「い、い、いやあっ!」
振動の先端は、わたしのお尻の穴と、入り口の間をじらすように行ったり来たりします。
揉み上げられた乳房の先端で、わたしの乳頭は恥ずかしいほど固く突き出していました。
「ん……くっ……あっ……やっ……やあっ……だめっ……」
わたしは腰をうねらせてわたしの下半身に加えられる刺激から、逃れようとしました。
と、風呂場のガラス戸を見ると、お尻を突き出して腰をうねらせているわたしの姿がはっきりと映っています。
あまりにも淫らで恥ずかしい眺めに、わたしは顔を背け、目を固く閉じました。
下半身の振動の感触はわたしの脚の間をゆっくり離れ、わたしのお尻の肉を愉しみ始めました。
「ああっ……」
本当に自分でも情けなくなりましたが、わたしはその焦らすような動きに、お預けをくらったような気分になり、思わず振動のやってくる方向に自分のお尻を押し出し、押しつけるようにしていました。
振動はお尻の肉を味わうと、そのまま背骨をゆっくりと移動します。
それは肩胛骨の間をすりぬけ、首筋を経て、また肩甲骨の間を逆に抜けると、わきの下あたちを経て……ゆっくりとわたしの乳房を目指しているようです。
気が付くと、いつの間にかわたしを壁に押しつけていたあの強い力は無くなっていました。
その必要もなくなったからでしょう。
その頃にはもう、押さえつけられるまでもなく、自分の力でその姿勢を保っていたからです。
「んんんっ……!」
固く立ち上がった乳頭の先端に、触れるか触れないかの微妙な強さで、振動が加えられます。
ゆっくりと時間を掛けながらその振動は両方の乳頭をくすぐり、弄び続けました。
と、その時です。
もう一つの振動が、新たにわたしの脚の間に忍び込んできたのは。
「…………えっ?!」
新たに脚の間に差し入れら得たそれは、すでに濡そぼっていた裂け目をなぞると、一直線に敏感な先端を直撃しました。
「………………あああああああっっっっ…………!!」
わたしの高い声が、浴室の中に響き渡ります。
わたしは夢中で腰を振りたくりました。
その刺激から逃れるためというよりはむしろ、さらに刺激を求めるために。
わたしが腰を振りたくっても、振動はわたし感覚中枢から離れることはありませんでした。
目の前が白くなり、太股の内側に、熱い液体が流れ落ちるのを感じます。
「……ん……くっ……あっつ……や……やっ……………………いやっ!」
浴室の壁に頬を押しつけ、思い切りお尻を上げた姿勢で、わたしは絶頂を迎えました。
貧血になったように視界が白熱し、全身から力が抜け落ちます。
そのままわたしは壁を伝い、浴室の床に土下座するような格好で崩れ落ちました。
いったいお風呂場でどれくらいの時間、そうしていたでしょうか。
気が付くと、もう真夜中を過ぎていました。
浴室からはあの気配がすっかり消えていました。
わたしは冷えた身体をぐったりと床に横たえたまま、長い間気を失っていたようです。
夢だったの…………?
でも、脚の間に激しく流れた液が、すっかり乾燥していることに気づき、“夢”の線は打ち消されました。
わたしは訳もなく自分が恥ずかしくなり、慌てて脚の間をシャワーで洗い流すと、お風呂場を出ました。
寝床に入っても、先ほど浴室でわたしを襲った見えない「何か」は、消しようのない余韻を体中に残していました。
振動をあたえられた部分が、それぞれ脈打ち、疼いているのを感じます。
とても眠れるような状況ではありません。
もしかすると……。
わたしの頭に、夫の顔が浮かびました。
あれは、亡くなった夫なのでは……?
【4/4】につづく