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絶対焦がし醤油


この前、中学高校時代の同級生2人と飲みに行ってきた。

2人は同じ職業でどちらも仕事で単身赴任で東京に来ている。

先に東京に来ていた1人とは飲みに行ったり、舞台を観に来てくれたりと結構頻繁に会っていたのだが、前回会ったのが2年前の年末なので、思いの外期間が空いてしまった感がある。

で、その彼がこの度単身赴任を終え、京都に戻る事になったので、東京ラスト飲み会として集まる事になったのだ。

集合場所は新橋。

にっしゃんがほとんど行った事のない場所である。

普段暮らしている場所とも方面が全く違うし、とにかく行く用事がないのだ。

夕方、電車に乗って新橋へと向かう。

遠い。

ひたすら遠い。

前からチラホラ書いているがにっしゃんが住んでいるのは練馬である。

練馬から新橋は結構な距離がある。

ちなみにこの新橋、3人のグループライン内にていつの間にか集合場所として君臨していた。

誰が希望したのかもよく分からないまま、気が付いたら集合場所となっていたのだ。

まあどちらかの職場が近くなのだろう。

そう思いながら僕は新橋に降り立った。

ふむ。

新橋。

何か来た事あるな。

僕は何故か見た事のある光景を前にして、記憶を手繰り寄せ、そして思い出した。

そうや、新橋!

来た事ある!

コンビニの面接や!!


そう。

僕は東京に来て半年ほど経った頃、

何故か新橋のコンビニでバイトしようとした事があったのだ。

練馬在住の太った男が何故か新橋のコンビニで面接を受けたのだ。

頭おかしいんか。

何で片道50分かけてコンビニに働きにいくねん。

家の近くになんぼでもあるやろ。


何故そんな事をしたかは全く記憶にない。

何か当時のにっしゃんなりに思う所があったのだろう。

覚えている事は、面接に行った時、大学卒業から一度も就職してない事を聞かれたので「芸人をやっている」と答えると、オーナーは「バンダイ??」と返してきた。

僕は「バンダイ??」と思いもう一度「あ、いや、芸人です」と答えるとオーナーは再び「バンダイ??」と返してきた。

僕はいよいよ「バンダイ???」となり、「げ・い・に・ん、です!」と一文字ずつ区切って分かりやすくハッキリ言った。

するとオーナーは「ああ芸人ですか!ごめんごめん、"ゲーム"って聞こえてたわ!」と少し照れ笑いしながら答えた。

それを聞いて僕は思った。


いや、バンダイの人がコンビニでバイトするか!

バンダイなんや思ってんねん!

バンダイナムコなめんなよ!

ていうか仮にゲームやとして何でバンダイが一番手にくるねん!

たぶんそこ任天堂とかやろ!

確かにバンダイもゲームいっぱい出してるけど、おもちゃとか他のイメージ強いねん!

ていうか大学卒業から一度も就職してなくても別にいいやろ!

何でそんな事聞いてくんねん!

あかん、たぶんここ変なとこや!!


僕はそう確信し、もし採用の電話がかかってきても断る事にした。

そもそもめっちゃ遠いし。

そしてそれから1週間。

採用の電話がかかってくる事はなかった。

そう。

不採用である。


いや、落とされんのかい!

バリバリコンビニ経験者やのに!

ふざけやがってこの野郎!!!


あれから4年。

僕はまたこの新橋の地に再び降り立った。

改めて今思う事は一つだけ。

ほんまに何で新橋のコンビニの面接受けに行ってん、、、


そんな事を考えながら集合場所のホルモン屋へ。

何やかんやで3人揃い、飲み会スタート。

ホルモンも美味しく、とにかくめちゃくちゃ楽しかった。

中学時代の思い出話で大盛り上がり。

やっぱり思い出話ほど盛り上がるものはない。

現在の話ももちろん大事だが、こういう昔話もたまにはいいもんである。

そんなこんなで3時間半ぐらいが爆速で過ぎ去っていった。

40歳になり自分の人生について色々思う事もあるが、何やかんやずっと繋がってる昔からの友達がいっぱいいるのは素晴らしい事かなと思ったりした。


そして店を出て3人駅に向かう事に。

3人とも有楽町の方が帰りやすいとの事で少し歩く事にした。

歩き始めてすぐ、僕の目の前に"あのコンビニ"が姿を現した。

僕は心の中で

「その節はどうも。ご無沙汰しております。バンダイです」

と呟いた。

バンダイちゃうけども。

そんなこんなで歩いてる最中、誰からともなく「ラーメン」という単語が出る。

するとタイミングよく近くにラーメン屋が。

「銀座 創龍」という綺麗で高級そうなお店である。

メニューを見ると醤油がイチオシっぽい。

僕は「ここにしよう!」とゴリ押しした。

というのもちょうど醤油ラーメンの口だったのである。

テーブルに座り、店員さんにオススメを聞いてみる。

すると一番のオススメは焦がし醤油のラーメンとの事。

このお店は野方ホープが銀座にプロデュースしたお店で焦がし醤油はここでしか味わえないらしい。

野方ホープの元味のとんこつもありそちらもかなり美味しそうだが、ここは焦がし醤油一択だろう。

先に2人が店員さんにオーダーする。

「焦がし醤油で」

「焦がし醤油で」

そして最後は僕の番。


にっしゃん「とんこつで!!」


僕は自分で言葉を発しながら自分で思った。


とんこつ!?

と、と、と、とんこつ!?

え、何で!?

何でとんこつ注文してんの!?

どういう事!?

おっさん何してんの!?

つい今の今まで焦がし醤油の口やったのに!

何で急にとんこつに変わったんや!!!


自分で自分の事が信じられないまさかの土壇場での「とんこつ変更」

本当に口が勝手に反応してしまったのだ。

気付いた時にはとんこつと発していたのである。

考えられる原因としては、写真のとんこつが予想以上に美味そうだった事、先の2人が焦がし醤油焦がし醤油と来たので咄嗟に絵を変えなければ!と謎の使命感に駆られてしまった事、そんなところだろうか。

待っている間、僕は激しく後悔した。

絶対焦がし醤油、、、

今日は絶対焦がし醤油やった、、、

何であんな事を、、、

いやまあ、とんこつも美味しいやろうけどさ、、、

この流れは絶対焦がし醤油やったって、、、


程なくしてラーメンが到着する。

早速とんこつのスープを一口。

!?

美味い!!!

とんこつ美味い!!!

これはとんこつで正解かもしれん!!!

僕は一気にとんこつを食べ、その後食べ終わった2人の焦がし醤油のスープを一口もらう事にした。

レンゲでスープをすくい、スッと口に入れる。


、、、


うん。


絶対焦がし醤油♪


ハッキリ言ってめちゃうま。

甘くてキレがある味わい。

一口飲んだだけだが、これは分かる。

今日は絶対焦がし醤油である。


というわけでにっしゃんからみなさんに伝えたい。

料理の注文において大事な事。

"最初に食べたいと思った物をそのまま注文する"

これに尽きるのだ。

これが一番大事なのだ。

今回にっしゃんは改めてこれを身をもって実感した。

是非とも1人でも多くの方に知って欲しい。

願わくば将来アリとキリギリスみたいな童話になって後世に伝わってくれたらこれ幸いである。


と、そんなこんなで焦がし醤油の後悔はあったが、会自体はずっと楽しかった。

もしかしたら今月中にもう一回やるかもしれない。

ちなみに最後に一つ発覚した事。

誰も新橋から近くなかった。

じゃあ何で新橋になったんや。


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