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【コラム】暮らしに寄りそう仏教の言葉⑭「豆腐(とうふ)」
私たちの暮らしの中には、実はたくさんの仏教用語が溶け込んでいます。
その言葉たちの本来の意味を紐解いていきましょう。
寒くなって温かい食べ物が恋しい季節ですね。今回ご紹介する言葉は「豆腐(とうふ)」です。実は仏教とともに伝わった食べ物がたくさんあります。豆腐もそのうちの一つです。みなさんはどんな豆腐料理がお好きですか?
豆腐が仏教語というわけではありませんが、豆腐は中国で作られ、入唐僧(にっとうそう)によって日本に伝えられ、まず寺院に普及し、やがて、民間にも広まっていったのですから、仏教に深い関係のある食べ物なのです。
僧は、魚食肉食をしなかったので、大切な蛋白(たんぱく)源として愛用しました。油揚げ、厚揚げ、がんもどきなどの材料ともなります。
また、同じように、日本に渡来したものに味噌、納豆と饅頭(まんじゅう)があります。
いずれも寺院から民間に普及し日本化しました。
味噌は中国の鑑真が伝えたといわれ、納豆の初めは寺納豆といい、饅頭は入唐僧に随従(ずいじゅう)して来日した中国人の弟子が製造した奈良饅頭が最初といわれています。
仏教とともに渡来した食べ物は数多くあるのです。
入唐僧(にっとうそう)…日本から唐に派遣された国の使節である入唐使(にっとうし)の役目を持った僧侶
<お坊さんから一言>
11月に入ると気温が下がり、温かい食べ物も恋しい季節になりましたね。寒くなると食べたくなる料理の一つがほっこり温まる湯豆腐です。京都には、湯豆腐の有名店や老舗が数多くあります。肉や魚を使わない植物性の食事だけを食べる僧侶が多くいたため、いつしか京都の名物料理となったのではないかといわれているようです。
西本願寺では毎年1月中旬にある御正忌報恩講法要の期間中、通常非公開の国宝 書院(鴻之間)にて、おおむね江戸時代から変わらぬ食材を用いた伝統の精進料理を召し上がっていただくことができます。ぜひ、日常と少し離れた雰囲気のなかで仏門の食事規範ともいえる精進料理をご賞味ください。
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