FIFAカタールワールドカップ 日本代表対スペイン代表 レビュー

FIFAカタールワールドカップ 日本代表対スペイン代表は2-1で日本代表が勝ちました。

印象に残った前半25分の田中碧のプレー

この試合で最も印象に残っているのは、前半25分の田中碧のプレーです。

5-4-1で守る日本代表はDFとFWの距離を短く保ちつつ、スペイン代表のパス交換を活用してボールを運ぶプレーを防ごうと試みます。ただスペイン代表のパス交換のペースも速く、なかなかボールを奪う機会がありません。

ブスケッツを前田がマークすることで中央からのボールを運ぶことこそありませんが、ブスケッツが前田のマークをひきつけパスコースを空け、パウトーレスがガビにパスを出してシュートチャンスを作った場面は圧巻でした。パスコースが空いたのも一瞬で、ブスケッツに前田がついたのも一瞬。その一瞬を見逃さずパスを通し、ミスなくパスを受ける。これは代表チームの連携じゃないなとため息が出ました。

厄介だったのがペドリとガビの立ち位置です。ペドリは田中と板倉の間に立ちつつ、時よりパウトーレスの横へと移動します。この意図は田中がペドリにつられて動いたら素早く背後のスペースでダニ・オルモにボールを受けてもらうことが狙いで、この動きを繰り返すことで自身へのマークをずらし、スキあらば中央でボールを受けようという意図があります。

ガビは守田と谷口の間に立ち、あまり下がってボールを受けようとはしませんが、ガビが立つことで谷口を前に引き出し、谷口が空けたスペースをニコ・ウィリアムズやモラタに狙わせる意図がありました。動きのタイミングが合ってないので背後を狙われることはありませんでしたが、立っていることで相手を牽制する動きは厄介でした。

そして、この2人に正確にパスを狙うパウ・トーレスとロドリのセンターバックコンビ。この2人を止めない限りは、ずっとパスを回し続け、ボールを保持され、動かされ、次第にスペースを与えて好きなようにプレーされてしまうので、どこかでセンターバックのプレーに規制をかける動きが必要でした。

どこで動くのだろうと思って試合を観ていたとき、田中がスルスルと前に出てボールを持っているパウ・トーレスの前に立ちました。ロドリの前には鎌田が立ち、センターバックに対して規制をかけにいった瞬間でした。それが前半25分のことでした。このプレーの後から徐々に日本代表もボールを持てるようになります。選手交代が注目されますが、この変更は後半のプレス位置の変更に関わるファインプレーでした。

なぜ田中がプレスにいったのかというと、たぶんペドリが下がるからだと思います。ペドリが下がったら久保に対応させて、田中がパウ・トーレスにプレスをかけ、守田はガビとアスピリクエタを見ながら、鎌田が外されたら対応する位置をキープする。ガビには谷口、ダニ・オルモは板倉がマークし、マンツーマンで相手を捕まえた上で、前の5人も変則的なプレスで捕まえつつ、狙いは日本の左サイドで奪うことだったのではないかと想像します。

スペインの前の5人をマンツーマンで捕まえつつ、アスピリクエタへのマークを少し外して、他の4人に対するプレスを強め、ボールを奪いにいく。もしこうだったとしたら、日本代表はとても高度で緻密な連携が必要な戦術を仕掛けたといえます。

そして、スペイン代表もそのことに気づいていたのだと思います。アスピリクエタに代わってカルバハルを入れたのは、負傷でなければ、アスピリクエタがフリーになっていることを踏まえて、右サイドバックの位置からボールを運んでより押し込もうとしたのだと思いました。

相手の心を折る富安のプレー

もう一つ印象に残ったのは富安のプレーです。多くのメディアで語られていますが、スペインがジョルディ・アルバとアンス・ファティを出場させて左から日本代表を攻略しようと仕掛けてきましたが、富安が全く仕事をさせませんでした。有料部分で詳しく書いているので、読んでもらえたら嬉しいです。

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