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今の時代のヒール(悪役)とは

最近プロレスを観る頻度が増えた。帰りの電車の中で新日本プロレスが運営している動画サービス「njpwworld」でBest of Super Jrの試合を観て帰ったりしている。

プロレスの試合を観ていたあるとき、ふと「今の時代のヒール」が気になった。ダークヒーローなんて言葉が出てくるようになったのは「ダークナイト」という映画がヒットしたあたりのような気がするけど、今の時代は誰が正義で誰が悪なのか分かりづらい。そんな時代に悪役を担わなければならないヒールレスラーは大変だと思う。

プロレスは善玉と悪玉の戦いで、善玉が悪玉をやっつけて、観客に満足して帰ってもらうコンテンツなのだと思うので、ヒールレスラーはとても重要な役割を担っている。では今のヒールはどんなキャラクターなのか。

新日本プロレスにはヒールレスラーが集まるユニット「House of Torture」というユニットがある。このユニットは「小狡い」「自分勝手にルールを捻じ曲げる」「自分が正義だと主張する」という方法で自分たちの悪さをアピールしている。

自分たちが不利になったら味方が乱入してきて妨害して勝利を収めたり、レフェリーが見てない場面で相手に暴行を加えたりする。そんな小狡い方法と自分勝手なルールをすべて「自分たちが正義」と主張する。これが彼らなりの「悪さ」の表現なのだ。この表現方法は、トランプやプーチンといった悪く見える(実際悪い)人たちにも通底するものがあると思う。

今の時代はSNSを通じて自分の意見や自分の正義を主張できる時代になった。一方でSNSで主張された正義は行き過ぎたものであったり、自分勝手な正義だったり、正義と呼ぶには心もとないもところもあったりする。こうした時代は「小狡い」「自分勝手なルール」「すべてを自分が正義と主張する」という方法が少しずれるとヒールとして捉えられてしまうのだろう。

「House of Torture」のリーダーを務めるEVILはよく「この会社はよぉ、俺の会社なんだよ」と主張しているが、これは「自分勝手なルール」「すべてを自分が正義と主張する」というヒールの条件を満たしている。ただこうしたヒールの表現方法はとてもハイコンテクストだ。悪そうな格好をしたり、武器を持ったりするだけではヒールにはならない。なんとも難しい時代だ。

批判もあるけどEVILはとても上手くやっていると思う。新日本プロレスでいま一番脂が乗っているレスラーの一人だ。

こうしたヒールの条件は「好きなことして生きていく」「勝てば官軍」といった考え方とも紙一重なのだと思う。サッカーを観ていてもそんなことを考えたり。

追記:プロレスラーのヒールは役割。そこは間違えないように。

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