勝ち負けだけじゃないスポーツの楽しみ方vol.26「エムバペと大島僚太のこと」
今月からパリ・サンジェルマンが来日し、7月20日には川崎フロンターレと対戦しました。
今回のパリ・サンジェルマンが仕掛けているプロモーション施策や川崎フロンターレの試合を観ていて感じたのは、「パリ・サンジェルマンはエムバペのチーム」であることをチーム内外に知らしめるために様々な取り組みが仕掛けられているなということです。
エムバペのチームだと内外に示すためのプロモーションツアー
2022年5月にエムバペはレアル・マドリー移籍が確実と言われていたにもかかわらず、パリ・サンジェルマンと新たな契約を締結しました。
契約には高額な年俸だけでなく、肖像権をエムバペ側で管理することや、次期SD(スポーツディレクター)と監督の選定や選手の放出&補強など、PSGのスポーツ面のプロジェクトに関与できる権利を得たと言われています。全盛期のマイケル・ジョーダンも同じような条件を契約に盛り込んだという話を聞いたことがありますが、エムバペの契約は選手としては破格です。
こうした契約を締結したこともあり、パリ・サンジェルマンのプロモーションはエムバペ中心に行われています。
たとえばパリ・サンジェルマンのTwitterの背景画像で一番大きな画角を割かれているのはエムバペです。次はメッシ。その次がマルキーニョスとキンペンベ。誰が大きく取り扱われているか、誰が一番目立つ位置にいるか、という構図にはチームのパワーバランスが浮かび上がるもの。パリ・サンジェルマンのSNSを見ていると、チームがどうしようとしているのかよくわかります。
なお、この画像を観ていて気になったことがあります。それはネイマールが含まれていないことです。エムバペのエリアが一番大きく、ネイマールがいない。これはパリ・サンジェルマンとしては意図的にやっていることだと思います。
「ネイマールのチームからエムバペのチームへ」というのがパリ・サンジェルマンの狙いで、メッシはあくまでエムバペを引き立てる役割というわけです。FCバルセロナで王様だったメッシがその役割を喜んで引き受けているかは分かりませんが、パリ・サンジェルマンの狙いは明確です。
ネイマールは川崎フロンターレの試合を観ていても明らかにコンディションが悪く、他の選手との連携もほとんどありませんでした。一方でエムバペは欲しいタイミングでボールが出てきているように見えました。エムバペとメッシはコンビネーションがあったけど、ネイマール起点のコンビネーションはほとんどない。ネイマールが倒されてもフォローする選手もいない。こうした事実からはネイマールのチーム内での扱いが透けて見えました。
ネイマールはエムバペが力を付ける前にチャンピオンズリーグで勝てなかったことが悔やまれます。自分のチームとしての特権を活かして好き放題やっている間にタイトルが取れなかったこと、そして好き放題やっていた間にチームメイトが口にはしなかった不満への仕打ちをいま受けているのだと思います。契約からも分かるようにチームのNo1ではなくなったのです。
ヨーロッパやアメリカのスポーツクラブでは契約が全てです。いい契約を締結している選手から試合に出る権利があります。移籍金がかかった選手から試合に出る権利があります。公平なようで公平でない。目の前の実力より契約。選手によっては試合数の最低保証を契約に盛り込んでいるので、監督が自由に選手を起用できるわけではなかったりします。
No1でないのに、No1のように振る舞おうとするネイマール。新たなNo1としてチームを成功に導く役割を担うエムバペ。2人の間に立つメッシ。この微妙なパワーバランスがどうなるのか。
ただ僕がパリ・サンジェルマンのフロントなら、ネイマールをどうにかして放出しようと動きます。ネイマールの居場所はヨーロッパのトップクラブにはなさそうなので、ブラジルのクラブが獲得するか、中東のクラブが獲得するか、といった選択肢しかない気がしますが、チャンピオンズリーグを取りたいネイマールが納得できるか。こうした点からもパリ・サンジェルマンの動向を楽しみたいと思います。
大島僚太の負傷から考えたこと
パリ・サンジェルマン戦後で話題になったのが大島僚太の負傷です。負傷したのはパリ・サンジェルマン戦の前日。
パリ・サンジェルマン戦に向けた練習には参加していたと伝えられていたので、メンバーに入っていませんでした。
大島の負傷離脱の記録を調べると、公式で発表されているだけでもこれだけありました。
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