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2018年J1第15節 川崎フロンターレ対清水エスパルス プレビュー「大島僚太が日本代表の勝敗を左右する」

2018年J1第15節、川崎フロンターレの対戦相手は清水エスパルスです。まずは、Football-Labに掲載されている前節までのデータを元に、清水エスパルスのデータから分かる特徴を紹介したいと思います。

プレビューで紹介する「2つの指標」

1つ目は、「チャンス構築率」。これは、シュート数を攻撃回数で割った指標で、1回の攻撃でどのくらいの確率でシュートチャンスを作れるかを把握するためのデータです。このデータから、チームのビルドアップ(攻撃の開始からシュートチャンスを作るまで)の特徴を把握することが出来ます。

2つ目は、「シュート決定率」。これは、得点数をシュート数で割った指標で、何本シュートを打てば得点を奪えるのか、把握することが出来ます。

2つの指標ともに、10%を目安にしています。守備では「被シュート構築率」「被シュート決定率」という指標に着目することで、シュートチャンスを作らせない守備がどのくらい出来ているのか、得点を奪われない守備が出来ているのかを把握することが出来ます。

清水エスパルスのセットプレーに注目

前節までの清水エスパルスの攻撃のデータを分析すると、攻撃回数は129.0回でリーグ7位、シュート数は12.1本でリーグ12位、チャンス構築率は9.4%でリーグ12位、シュート成功率は10.7%でリーグ4位です。

清水エスパルスの攻撃のデータで気になるのは、シュート成功率がリーグ4位というデータです。シュート成功率が高いチームは、大抵ある特徴があります。それは、総得点の内訳を調べると、セットプレーからの得点が多いのです。

清水エスパルスの総得点の内訳を調べると、PKを含めたセットプレー関連の得点が、総得点の36.3%(PK2得点、セットプレー5得点)を占めています。だいたいセットプレーの得点の得点比率は、30%を超えると「多い」と僕は感じていますので、清水エスパルスはセットプレー関連の得点比率が、他のプレーと比較しても多いチームだと思います。

ただ、清水エスパルスは1試合平均の直接フリーキックの数は、12.1本でリーグ12位、コーナーキックの数は1試合平均4.1本でリーグ17位と、決して1試合を通じて、セットプレーの機会が多いチームではありません。セットプレーの機会が多くないのに、セットプレーからの得点が総得点の30%を超えているということは、よほどキッカーの精度が高いか、受け手が上手いかのどちらかだと思われます。清水エスパルスのセットプレーに注目です。

間接フリーキックとクリアの関係

清水エスパルスの守備のデータを分析すると、被攻撃回数は、131.9回でリーグ17位、被シュート数は13.2本でリーグ11位、被チャンス構築率は10.0%でリーグ10位。被シュート成功率は9.7%でリーグ10位です。

清水エスパルスの守備のデータで気になったのは、間接フリーキックの本数とクリアの回数です。

間接フリーキックの本数は、1試合平均1.2本でリーグ16位。間接フリーキックの本数は、ほぼオフサイドを獲得した回数です。このデータからは、清水エスパルスの守備はオフサイドを積極的に奪いにいくような守備をしているわけではないということが分かります。

そして、外に蹴り出すことや陣地回復など、味方につなげる意図がなく危険な状態の回避を目的として行ったプレー「クリア」の回数は、29.1回でリーグ2位。このデータから推測できるのは、「ボールを奪う位置が自陣ゴール近くなのではないか」ということです。

ここまで読んだ方は、「このような文章を読んだことがある」と思った方もいるかもしれません。実は、この間接フリーキックとクリアの関係は、前節の柏レイソル戦に書いた内容と同じなのです。

ただ、柏レイソルとの違いは、インターセプトの数が1試合平均2.3回でリーグ7位(柏レイソルは1.9回でリーグ13位)という数字にあると思います。インターセプトが多いというデータと間接フリーキックとクリアのデータを組み合わせると、DFが上手くボールを奪ったり、しっかりシュートブロックする回数が多いチームではないかと読み取れます。柏レイソルに比べると、被シュート成功率が低いのは、最後の最後で成功率が低いシュートを打たせていることが要因ではないかとおもます。

大島にマンマークをつけるチームが増えたことが、認められた証

この試合は、ロシアワールドカップの中断期間前の最後の試合ということなので、日本代表に選ばれた大島僚太について書きたいと思います。

2018年シーズンの大島は、今まで以上に相手チームに警戒されています。第2節の湘南ベルマーレ戦では松田がマンマークについてきましたし、第12節の浦和レッズ戦では、1対1の守備が上手い長澤が大島のマークにつきました。

これまで、川崎フロンターレと対戦するチームは、中村にマンマークをつけることはあっても、大島にマンマークをつけることはありませんでした。しかし、今は大島にマンマークをつけてきます。いかに、大島が相手チームに警戒される選手になっているか、そして、大島という選手が、いかに川崎フロンターレにとって重要な選手であるか、相手チームからの対策を振り返っても分かります。

大島の凄さは、攻撃だけではありません。年々大島は「ボールを奪う」プレーが上手くなっています。守るべき場所に素早く戻った後、相手のパスのタイミングにあわせて素早く動き出して、パスをカットする。相手のドリブルに対して、素早くボールと相手の間に身体を入れて、ボールを奪う。ファウルをせずに、ボールを奪う動きが、格段に上手くなりました。攻撃だけではなく、守備でも貢献出来る、トータルで凄い選手に変貌を遂げました。

今の大島は、チームの勝敗を背負うという自覚をもってプレーしているのが分かります。相手のハードな守備にたいして、やられっぱなしになるのではなく、相手に詰め寄るような場面も増えました。審判に対して、意見を言うような場面も増えました。副キャプテンになったこともあり、チームを背負うという自覚が、プレー以外の行動からも感じられます。

ハリルホジッチ前監督は、大島の能力を高く評価し、どうにかチームに組み込もうとしてきました。ただ、その度に負傷で代表を辞退するということが続きました。

ハリルホジッチが目指す攻撃は、ロングパスを使って攻撃するというよりは、相手が戻りきっていないうちに素早く敵陣深くにボールを運ぶという意図をもっていたのですが、清武、大島、小林悠などの選手がコンスタントに代表に参加できていたら、もっと日本代表のサッカーは違う結果になっていたかもしれません。ハリルホジッチにとって、自分が起用したかった選手が怪我で離脱するということが続いたのは不幸でした。

今回の日本代表のメンバーをみると、大島は日本代表の勝敗を担うキーマンだと思います。中央のMFのなかで、ボールを相手陣内に運ぶというプレーで、大島以上の選手はいません。

また、大島以上にボールを奪える選手もいません。大島が怪我をせずに、いかに力を発揮するか。そこに、ロシアワールドカップの日本代表の成績は左右されるのではないか。僕はそう考えています。三竿と大島、青山と大島というMFがスターティングメンバーに並んでいても、僕は驚きません。そのくらいの選手です。

大島がどんなプレーをみせるのか。楽しみです。

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西原雄一
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