2部 1-0 使えない漢字字典,画だけが頼り? 「青」をどう引く
小学4年生になると漢字辞典の使い方を学習する。たいていの辞典には「部首索引」「音訓索引」「総画索引」とある。
〈漢字にとって何が部首なのか?〉は分かりにくい問題だ。
例えば,「青」だ。多くの人は上半分を部首と思うだろう。じっさい,「麦」「毒」「表」「素」「責」など他の漢字でも使われている。(〈「聞」の部首は「耳」だ〉と言う話も有名だ。でも,「門」も「耳」も字として存在しており,部首にもある。しかし,「青」の上半分は字典によってはまるで無視されているので調べやすい)
この部分は伝統的な字典では部首扱いをされていない。そのため,子ども向けの字典には「部首とまちがえやすい字の形」や「検索記号」を部首一覧に入れて,便宜をはかっている辞典もある。
「部首とまちがえやすい字の形」として*をつけて,部首一覧に一緒にならべてあったのが『チャレンジ小学漢字辞典』(ベネッセコーポレーション)。この辞典は判が大きくて年寄りには見やすい。
また,「検索記号」として*をつけてあるのが『例解小学漢字辞典』(三省堂)。さすが,三省堂は伝統的な部首分けに対して分かりやすい部首を作ろうとした長沢規矩也の流れを引く会社だ。長沢規矩也が新しい部首名を作るなど創造的な仕事をしただけあり,「あおのかんむり」と命名してある。
基本的に「部首」は意味が判っていないと使えない検索方法だ。
『チャレンジ小学漢字辞典』では,「部首」を「漢字をグループに分けたときの目印となる部分を,部首とよびます」と書き,『例解小学漢字辞典』では「おもに意味を表す部分を部首といいます。部分の代表です」と説明している。
意味が判らないから調べようとしているのに,意味が判らないと使えないので「部首索引」はあまり使われていない。
また,多くの場合,読み方が判らない時に辞典を引くのだから,「音訓索引」も使えない。
日本ならばかな書き表記で探せるが,かな表記のない中国は大変だ。今の中国では小学校に入学した1学期にピンイン(拼音)…ローマ字を使った表記を習います。そのため,辞典もアルファベッド順を使用し,横書きだけの文化となっています。
結局,多くの人が利用するのが「総画索引」だ。しかし,〈画とは何か?〉については説明がされないことが多い。結局,膨大なかん字練習を通じて画数の感覚を覚えるだけとなる。
それはそれで,学校教育漢字の文化として認める。それとは別に〈初めて学ぶ人たちにとって,簡潔で合理的な体系〉を作るつもりだ。
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