15歳のぬいぐるみ
私のお部屋は天井裏
天井裏のてっぺんにガラス窓があって
そこから見えるお月様はこの世界から出られる
唯一の出口
今日は月が満ちているから
星が綺麗に見れないな
深夜2時になる頃
決まって ぎいぎい足音が鳴る
足音の主は 血を分けたとは思えない醜い姉
顔は焼夷弾の熱風で溶けたかのようで
足は赤黒くてぼっこぼこ
埃っぽい天井裏に入っては 泣きながら私のお腹に
日頃の鬱憤を委ねてくる
痛い 痛い でも いつからか 何も感じない
私は可愛いぬいぐるみ
醜い姉の可愛いぬいぐるみ
今日も私の下着は 赤く染まる
赤は好き だから醜い姉も受け入れる
ありがとうありがとう
でもこんな世界から抜け出したいな
深夜3時 月に手を伸ばして
今日も届かない
だから眠ろう
微睡みと共に おやすみ
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