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茨城県立歴史館

by noriko


 「歴史館の開館五十周年記念特別展」ということで、いつもなら庭園を散歩しただけで通り過ぎてしまうところだが、今回は展示品を観てみたくなった。ポスターにあった「馬のモチーフの冠」に魅かれたからだ。中央部分はリボンを結んでいるようでもあり、全体にドットのような装飾が散りばめられていて、今でこそ剥がれてしまっているが、銅に金メッキが施されていたという。耳元で揺れる耳飾りもあった。光に反射してどれほど輝いていたことか。想像しただけで瞼が眩しくなる。
 交通手段が馬だったのか。荷物を運んだかも知れない。あるいは戦いか。いずれにしても馬が大切にされていたのだろう。
 出土したのは霞ケ浦付近の三昧塚古墳とのこと。この近くには、他にもたくさんの古墳があるようだ。霞ケ浦がそばにあることにより、豊かな生活があったに違いない。水、陸両方の食べ物が豊富にあり、水運もできるとなると、古墳に埋葬されるような豪族も多く現れたことも納得である。
 少し北の方に行くと、埴輪製作所の遺跡も見つかっており、先日「西光院」に行ったときに見つけた、埴輪や土器を作る人を差す「土師」という地名は、そこからそう遠くない所にある。職人さんが住む集落だったのかも知れない。

 これまで、歴史には疎く、あまり興味を持たない分野だったが、こうして辿ってゆけば、おもしろいように繋がっていく。
 展示品は他に犬やお相撲さんの埴輪もあった。埴輪工場で作り、古墳への埋葬があると、たくさんの埴輪が運ばれて行く様子を思い浮かべると、今の時代の生活とあまり変わっていないようにも思われる。
 漁や農業が盛んで、財を成す人も次々に現れ、亡くなると大きな墓に埋葬される。副葬品の埴輪は工場で作られ、輸送されて墓に届けられる。
 こんな副葬品がいいなどと、希望して注文したりしていたら……おかしい。「終活」ではないか。



by reiko


 茨城県立歴史館の「開館50周年記念特別展」に行ってきた。名品ゾクゾク~歴史館の半世紀~と銘打たれた展示は、刀剣、書状、徳川家の馬具など、さまざまな名品が並んでいた。

 物珍しくておもしろいなと思ったのは、地元出身力士・武双山の優勝額。つい先々月、大の里の優勝額が両国国技館に掲げられるのを大相撲中継で見ながら、コレってどのくらいの大きさなんだろう?と考えていたのだが、本物の優勝額をここで見ることが出来るとは。

 相撲つながりでいえば、古墳時代の展示品の中に、力士の埴輪があった。腰にまわしをつけた人型の埴輪である。当時は首長の継承儀礼で相撲が行われていた、と考えられているらしい。そんな昔から力士がいて、今と同じ出立ちで相撲をとっていたのか!?とビックリである。1500年前から……。連綿と続くもの。すごい。

 様々な展示品の中でも、私が興味を惹かれたのは土器や埴輪だった。
 装飾が施された大型の土器。胴部は大きく広がっているが、底部はぎゅっと小さくすぼまっている。すぐにコロンと転がってしまいそうなバランスだ。安定感がなさそうな形なのに、こんなに大きく作って上手く使えていたのだろうか?と自分の感覚で素朴な疑問を抱いたり。

 かと思えば、中型の壺型土器の頸部には人の顔の象った飾りが付いている。なぜ顔?不思議に思いながらまじまじと見てしまう。人面土器…この時代の「人」の造形は可愛らしいデフォルメで好みだ。

 犬の埴輪もあったが、これを作った人々は特徴を捉えるのが上手いのだなと思った。現代の私が見ても、ちゃんと犬なのである。

 土器や埴輪などの土もの。大人になった今それを眺めると、当時の「人の気配」を感じる。土をこね、形を作り、窯で焼くという工程や、それを生業とする現代の職人さんたちを知っているからかもしれない。
 古墳時代も、私たちと大きな違いはない人達がここにいたんだろうな。と、遠い過去の人々に想いを馳せながら見てまわるのが楽しい展示だった。





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