物忘れ日記 ときどき猫とか本とか映画とか:Vol. 17 嵐の夜に

台風が来たかと思ったら、続いて秋雨前線の登場。なんとも忙しいお天気の日々。ニュースでは、気象関係ことが多くとりあげられる。不安だけが増すようなことには、耳を塞ぎたくなるのは、ココロが弱いせいだろうか。

台風で勢いを増す風の音を聞いていると、いつも思い出すことがある。

両親が働いていたので、学校から家に帰ると、両親が帰宅するまで兄と二人で留守番をしていた。そんなある日、台風が九州に上陸して、そのころ住んでいた長崎県佐世保市に向かって、一直線にやってきた。まだ、私も兄も小学生だったころだ。高台に建っていた我が家は、いつでも結構風が強かった。ましてや台風である。不気味な風の音は時間とともに強まり、留守番をしていた兄も私もだんだん無口になった。夕方を過ぎて、風は勢いを増し、まわりは暗くなっていった。

そんなとき、電話が鳴った。当時の建設省に勤めていた叔父からだった。台風が向かっていることを知り、近くには貯水池もあるので、心配して電話をしてくれたのだった。

「なんね。こがん日に、お父さんもお母さんもまだ仕事ね。気をつけんばよ」

電話から聞こえてくる叔父の言葉に、ココロにぽっと灯りがともった。どこかで心配してくれている人がいる。ひとりぼっちじゃない。そんなふうに思えた。

そのときの台風は、一晩中強風で、家が揺れているような気がしたが、翌日には台風一過。おかげさまで被害もなく、ほっとした気持ちで朝を迎えることができた。

優しい叔父の思い出はこれだけではないけれど、台風というとこのときのことを思い出す。そして、私も、ヒトのココロをあたためる言葉を発していきたいと思う。

おじちゃん、あのときはありがとう。


オキラクかあちゃんのココロをあたためるにゃんキャンドル

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