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【2024年10月、双葉大熊富岡取材その11】消えた大野銀座

「有料」とありますが、基本的に全て無料で読めます。今後の取材、制作活動のために、カンパできる方はよろしくお願いします。
〜〜〜〜〜

<続き>


 2日目の10月27日は、いつも通り朝5時に起きた。前日土曜日、いわきで何やらビジネス関連のイベントがあったおかげで、僕は朝食付きプランの部屋しかとれなかったが、朝食は朝6時から。しかし僕はいつも通り、取材2日目は朝食抜きで朝5時45分にはホテルの部屋を出て、いわき駅6時9分発の原ノ町行きの電車に乗る。ホテルも少しくらい融通をきかせろと思うが、決して安くはしてくれない。

大野駅ホームから見えた巨大建造物

 この時期の朝6時はまだ暗い。暗いなか、コンビニで昼食用のカロリーメイトと水を買い込み電車に乗り、この日は大野駅を目指す。2月に訪れた、大熊町の熊町地区までまた行こうと思っていた。

常磐線車内で日の出を迎えた。
駅のホームから巨大建造物が見えた。

 大野駅に到着すると、まず大きな建物が目についた。かつての風景は全て解体され姿を消した大野駅西口に、巨大な建造物が出来ていた。ここには、商業施設と住居が出来るというが…果たしてここで商売が成り立つのだろうか? ハコだけ作ってあとは野となれ山となれ、とは何と無責任なことだろうか?

 目的の熊町地区に行くには東口から出て行くのだが、僕はその「巨大建造物」が気になり、西口側へ降り立った。あの建物を見てから、六国まで歩いて行こう…少し予定を変更した。

大野駅西口へ

かつては駅構内でも0.3μSv/h以上あった。
西口の階段を降りるとこのざま。

 大野駅西口は工事中で、非常に行ける範囲は限られている。案内に従って歩き、かつて大野銀座と呼ばれた商店街のあった場所へ立つと、いつものようにため息だけが口をついて出た。

巨大建造物と大野駅。
広大な更地。
線量はだいぶ下がった。2020年3月の立入規制緩和時はまだ帰還困難区域だったのに…

消えた大野銀座

大野銀座北側。道さえ消されてしまった商店街は、新しい町へ生まれ変わろうとしているが……

 かつての大野銀座があった場所は、道路も全て張り替えられ、おかげさまで空間線量は0.2〜0.3程度まで下がっていた。しかし未だ道は完成しておらず、数百メートル西に進んで、KUMA・PREなる施設の前を通り、大野病院をぐるっと回る形でなければ「巨大建造物」は見に行けない。

大野銀座南側。本当に商店街があったのか…
西へ進む。
南。
北。
何やら新しい住宅街のようなものが…

駅から少し離れると上がる空間線量

遠くには古い家屋もまだ数軒残っている。
この辺りは以前から線量は高め。

復興住宅?

やはり新しい復興住宅が建築中のようだ。
大野病院。

フラワーショップ花道

花屋のところを右折し、北へ進む。あの花屋もいずれは解体されるのだろうか。
工場?がまだ残されている。ここもいずれ…

基盤整備工事?

ここをまっすぐ行けば大野駅に行ける。しかし今は通行止。「基盤整備工事」と書いてあるが、
僕の記憶では、この大野病院前の道路も高線量だった。フォローアップ除染中なのでは?

KUMA・PRE

KUMA・PRE。

 遠くに新しく出来た復興住宅?のようなものを眺めつつ、更地に囲まれた道をKUMA・PREまで移動、そこで北に向かって進む。かつて立入規制緩和直後、案内看板のあまりのわかりにくさに、徒歩ではまだ通行出来ないのに歩いてしまった道。この道を歩くのはあの時以来だろうか…

KUMA・PREから西を見る。特定帰還居住区域に指定され、現在は除染中だ。

KUMA・PREのすぐ隣の高線量地帯

 ふと、広い歩道が立入禁止になっていることに気付いた。理由は特に書かれていない。もしやと思い、車道から歩道に入ってみると、案の定、手元の線量計がけたたましく鳴り始めた。数値は1.0〜2.0μSv/hの間を行き来している。

立入禁止と書かれていた歩道へ入ると、手元の線量計がけたたましく鳴り始めた。
1.0〜2.0μSv/hの間をフラフラしていた。

 ここはKUMA・PREの目の前の歩道である。立入禁止と書かれてはいるが、どこからでも、大人でも子どもでも誰でも入ることが出来る。KUMA・PREでは様々な、子どもも参加する形でのイベントが開催されている。にもかかわらず、震災前の25〜50倍の空間線量の場所が隣接している。この数字は、立入規制緩和直後に、僕が間違えて侵入してしまった時とほぼ変わりない。つまり、KUMA・PREがオープンしてから2年も3年も経つというのに、その間、一切フォローアップ除染がされてなかった。何という怠慢か。

 KUMA・PREは大野病院(閉鎖中)の駐車場に建っている。22年4月30日に初めて訪れた際、駐車場内には2.0μSv/hに迫るほどのホットスポットがあった。脇の歩道がフォローアップ除染されずにそのままということは、駐車場内のあの場所もそのままなのでは? そんな場所で、キッチンカーを集めて子どもとともに飲食とは…

 そんなKUMA・PREも、実はもうすぐその業務を終えるのだという。新しく出来る巨大建造物、「CREVAおおくま」とやらにその機能が移転するのか、本当にただなくなるのか、定かではないが…

 初めてKUMA・PREを訪れた際、そこでは2人の夫婦がともに働いていた。話を聞いて、素敵な二人だと思ったが…一体あの夫婦はどうなってしまうのだろう。

大野病院を横から見る。
ん、この家は…
遠くには鉄塔と住宅街、そして墓地が見える。あの住宅街は特定帰還居住区域で
現在除染中のはず。ということは、これから解体され姿を消す…

<続く>

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