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【2024年10月、双葉大熊富岡取材その14】「復興」してますか?

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<続き>


「復興」とは程遠い地

 溜池脇の工事中の遊歩道を抜け、かつての住宅地へ。ここは、住宅街というほどではないが、僕が初めてここを訪れた2022年の時点ではまだそれなりに家屋も残っていた。今はもう、更地と耕作放棄地と…人の気配もなく、「復興」などというには程遠い状況だ。

家屋が解体され、「放射性廃棄物」としてフレコンバッグに詰め込まれる。残酷な光景。

「偉い人」は何を見ているのか

 何やら、楢葉町でアドバイザーをやり、国の働き方改革推進委員だか何だかの役職についていた人物が、ふらっと大川原地区のおおくまーとに日帰りでやってきて、よく確かめもせずに「大熊は復興した」とかSNSで息巻いていたが、一体何を見ているのかと。

荒れ果てた更地。
植物に呑み込まれる家屋。

 こうした風景は、国の「なかったこと」にしたいという方針の下、次から次へと消されていくので、記録としてきちんと残さなければいけない。

なかったことにさせない

 日本は「脱被曝」という概念を捨て、チェルノブイリとは違う「除染して帰還する」という方針を決めた。ある意味、その時点で「なかったことにする」という方針が決まったのだと思う。これは有権者が決めたことではなく、密室で、「御用」と言われる学者たちが、極めて政治的な「科学」という基準によって決めたものだ。政治によってどうにでも捻じ曲げられてきた「科学」のツケは、既に現れつつある。

左手の森には除染の跡が見られる。奥の方まではやってないとは思うが。
決して線量は低くはない。いや、高い。

寮のような建物

 県道251号、小良ヶ浜野上線の少し手前、寮のような建物へ。ここは、どこかの会社の寮なのだろうか。その割には、風呂もトイレも食堂も共同で、2階は見ていないが、おそらく二段ベッド…学生寮なのだろうか。初めて訪れた際は除染の直後で、建物前の広場には軽自動車が置きっぱなしだったし、砂利が敷き詰められてスッキリしていたのだが、今では見事に荒れ果てて…

寮のような建物。見てわかるように、除染はされている。
2階通路上部がすっかり蔦で覆われて、昼でも影で薄暗い。
右の建物が食堂。奥には共同のトイレと風呂がある。
この日は、特にここが目的地ではないのでスルーした。

 前日、双葉で感じた「荒れ果てている」と同じ感覚を、ここでも持つことになった。ひと通り除染をし、避難指示解除をすれば、後は野となれ山となれ。双葉なら伝承館の周り、大熊なら大川原地区、そこにハコモノさえ作れば「復興」。浜通りを訪れて歩けば歩くほど、ただただ表情は険しくなるばかり。

もう一つの小さな人工の湖。ここはこのまま残すのだろうか。
この周囲は0.6〜1.2μSv/hと決して低くはなく、
この湖の底にも相当な放射性物質が溜まっていると思うのだが。

県道251号小良ヶ浜野上線

 小良ヶ浜野上線から六国を目指す。ここも何回歩いただろうか…まだ全ては解体されていないが、少しずつ少しずつ、かつての建物は減ってきている。帰還困難区域との際のこの道も、どんどん殺風景になっていくのだろう。ランドマークのようになってしまったたばこ屋も、いつまで残っているだろうか…

県道251号。小良ヶ浜野上線。
すっかり緑で覆われている。
ソーラー発電所。
雑草で覆われて、奥の家まで行くことが出来ない。
すっかり荒れ果てている。
このたばこ屋もいつまで残るのだろうか…

<続く>

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