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2018年5月福島、夜ノ森

<続き>

引き続き、美しい緑を眺めながら、境界線を歩く。

この真新しい家も、汚染された。
それは誰がなんと言おうとまぎれもない事実だ。

放射線量は相変わらず0.6μSv/hを超えている。

世界には、もっと放射線量の高い都市もあるかもしれない。しかしそれは元々自然に存在するものだ。ここは事故前は0.04μSv/hだった。今ではその17倍近い放射線量を叩き出す。

美しい緑とフレコンバッグ、廃墟の隙を抜け、夜ノ森桜トンネル着。

有名な夜ノ森も、ふと横に顔を向けるとそこは主のいない家。ここは管理されている様子で、まだマシだ。

有名な夜ノ森も、少し歩くと帰還困難区域とぶつかる。この一本先の交差点は渡ることは出来ない。

夜ノ森駅へ向かう。昨年11月、約1.5μSv/hあった場所。

半年前と比べてもスッキリした。

夜ノ森駅着。あのホームの上は帰還困難区域。

線路の向こうに見える駅舎。帰還困難区域のため、許可を得なければ行くことは出来ない。

夜ノ森駅を見下ろすこのポイントの放射線量は高い。最も高い地点で1.93μSv/hあった。去年11月と比べて、若干上がっている。

夜ノ森駅目の前のこのアパートでは、人が生活している。洗濯物も外に干されている。片や手元のエアーカウンターからは、放射線の感知を知らせるアラームが常に鳴り響く。

フィギュアが落ちていた。僕はアニメは見ないのでわからないが、ワンピースやNARUTOといった類のものだろうか。

その後、富岡第二中学へ向かう。

日差しは強く照りつけ、空も緑も美しい。野鳥のさえずりが響き渡る。ここの雰囲気はまるで、地上の楽園のようだ。見えない放射能の存在を除けば。

自分の住む街の何倍〜何十倍もの放射線量がある土地に人が生活しているのを見ると、いつも頭がクラクラする。これは現実なのかと。しかし現実に自分は“今は”何の影響もなくその場に立ち、目の前で生活している人もいる。これが現実なのだ。

もし自分のふるさとがここなら、もう40代だからとここで生活を再開するだろうか。…我が家には犬がいる。ともに家の中で生活している。無理だ。

<続く>


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